0110. ダンジョンはオートロック
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それから四半刻ほど、二人が天堂の中をサクッと調べたけど、怪しいところや危ないところは無かったようだ。まぁ、当然だよね。そんなに広くないし、それに私の訓練用ダンジョンの入口建屋なんだから、危なかったら、入れなくなっちゃうしね。そのへんはしっかりと考えて作ったようだね、誰か分からぬ名もなき神様よ。
「姫御子様、建屋の中を調べましたが、怪しいところ、危険なところはありませぬ。残りは、我らが近づけぬ、あの扉のみになりまする。いかが致しますか。姫御子様が近づきまするか」
「あの扉の周辺以外は、調べて安全であるなら、あの扉に近づいてみるしかないわね。どんな事になるのか、わからないから、みんな、私の後ろにいてね。何かあったら、隠れるのよ。
まぁ、神様達が作ってくれた鍛錬の場であれば、問題はないと思うけどね」
さて、あの扉って、どこかで見たことあるなと思ってさっきからずっと思い出そうとしていたのだが、ようやく思い出したわ。
あの扉はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂の「聖年の扉」を模倣したモノじゃないかな。そうすると、やっぱりここを造ったのは、私を転生させたあの4人じゃなくて、あっちの神話の神様なんだろうね、さすがは三千世界ね。まぁ、誰が造ってくれてたのでも良いだけれども、もう少しこの時代にあわせた外観にしてほしかったわ。
今さら、言ってもしょうがないが、言い訳を考えるのも大変なので、次回以降は考慮してもらえると助かるわ。どうせ、観察してるだろうからお願いしますね。
「今から名乗りを上げて、あの扉に近づいてみるわ。氏兼達は近づくと弾かれるだけで、他に何かされることは無いのかな」
「はい、弾かれるだけで他に何もございませぬ」
よかったわ。弾かれたときに電気ショックがあったら、トラウマになっちゃうから、その親切設計はありがたいことね。
「それじゃぁ、氏兼、行ってくるわね」
「宇迦之御魂神様、我、貴方様の御使いたる琴、今、この扉を開け、御身のもとに参上仕る」
それっぽい言葉を唱え、みんなが弾かれるところを抜けるため、扉に向かって歩き出す。
「「うぉ~」」、「「おぉ~」」、「「きゃぁ~」」
後ろから、感嘆と驚き悲鳴の声が聞こえる。無事に通り抜けられたようだ。
「氏兼、たき。無事に私は通り抜けられるようです。ここは、神様から姫御子たる私に与えられた修験場かもしません。そのため、私以外は通れないのでしょう。そうであるならば、あの扉もきっと開くと思いますので、試してみます」
そう言って扉の前に立ち、扉を開く。幼稚園児には、開けそうにないぐらい重厚な扉に見えたが、以外にも重さは感じずに、サラッと開いてしまった。
「どうやら、先ほどの予想通りのようです。ここは私の修験場で決まりですね」
「姫御子様、おめでとうございます。さらなる力を付けるべく、宇迦之御魂神様が修験場をこの世にお造りになられるとは、そこまでのご寵愛をお受けしているのですね。氏兼、感激しました。殿と御方様にご報告しておきまする」
「それとこれからいかが致しますか。我らは、その扉に近づくことが叶いませぬ。宇迦之御魂神様の修験場とはいえ、如何なる危険があるか分かりませぬので、しばらくは入らず、そっとしておきますか」
氏兼、何言ってるのよ。せっかく、ダンジョンに入れるチャンスなのに、入らぬ意味がわからないわ。
「中を確認せず、帰るは宇迦之御魂神様に失礼極まりない事かと考えます。それにこの時期に修験場を用意してくれたということは、今の私が入っても、危険は無いと言うことだと思います。
危険があるのであれば、私が成長したときにこの扉が現れるか、もしくはここに近づけるようになっていたはずです。そうなさらなかったということは、今の私が中に入っても安全であると言うことの証だと思います」
「確かに、おっしゃられる通りかと思います。それでは、中を確認なされると言うのであれば、我らは、ここでお待ちするしかありませぬ。くれぐれもお気をつけいただきたく、無理をなされずにお願い申し上げます」
「氏兼、たき。それに沙門に筑馬。少し確認してきますので、待っててね」
そう言うと、私は、扉の中に入っていったのだ。さて、ダンジョンの中は、どんな感じになっているのかな。ワクワクが止まらない。