0106. 朝のバタバタと伝説の移動手段
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翌日の朝はドタバタと歩き回る音で起きた。町の収穫祭りなのに、何で社のみんなもそんなに動き回っているのかなと思いながら、みんなの邪魔にならないように自分で着替えたり、顔洗ったりと朝の準備をしていると、急にたきが、入ってきた。
「姫御子様、おはようございます。起きていらっしゃいましたら、お声がけいただければ、朝の準備をいたしますので、よろしくお願い致します」
朝から、何を勝手にやってんのよと言った顔でお小言を言われてしまった。
「いやぁ、みんな、ドタバタ歩き回っていたから、自分でできることは自分でしようかと思ってね。いつもの着物も着てみたんだよ」
「そのお心遣いありがとうございます。ですが、本日は、収穫祭りでございますので、いつもとは、違う着物で行くことになっておりまして、今、お持ちしましたので、そちらにお着替えをお願いします」
のぉ〜、せっかく、手間がかかる着物を着たのに、間違ってますって、余計な事をしたかもしれない。たきの目線が冷たい、冷たすぎるよぉ~。
「そうだったのね。たき、ごめんなさいね。余計な手間をかけたようで」
ここは素直に謝罪の一択。謝るときは謝れる女なのだ私は。
「姫御子様、そのような謝罪は不要です。何かしたいことがあれば、してください。ただ、事前に確認だとか、話をしてもらえると私達も動きやすいので助かります」
そうだね。報連相確を忘れてたわ。うわぁ~、社会人失格だわ。もうそんな立場じゃないけど、人として、大切な事だから、忘れないようにしようっと。やらかし厳禁だね。
「わかったわ。今後は、注意するわね。それで、こっちの着物を着ればいいのかしら。って、だいぶ豪華な着物だけど、いいの」
なんか、成人式、いや、七五三参りで着たような豪華な着物が衣桁に掛けられていた。いや、やり過ぎじゃない、それは。いくら祭りだとしても、町の人の普段の着物と比べたら、浮くよ。着なくても分かるよ。それぐらい。
「姫御子様の初めての祭りの参加になりますので、最上の着物を用意致しました。これは殿と御方様からの贈り物になりますので、是非とも、お着になってくだいませ」
そっかぁ、父上と母上からのプレゼントかぁ。祭りで、私の立場をしっかりと見せて、安泰にしたいのかな。そんなに気遣いしなくても、大丈夫なのにね。まぁ、せっかくの気持ちを無駄には出来ないから、恥ずかしいけど、着ますかね。
「わかりました。義実と真里の気持ちを無下にするわけにはいかないので、それでは、この着物を来て行きましょう」
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着物を着替え、予想通り七五三参りのような感じになったが、父上と母上の希望なので、気にせずおすまし顔をして、自室を出て、外宮に向かおうとしたら、たきから声をかけられた。
「姫御子様、その着物で歩かれると時間がかかりますので、馬を用意しましたので、馬に乗って参りましょう」
馬って、この格好では跨げないよ、馬に。こっちに来るときは小袖に裳袴だったから、跨いで乗ったけど。もしかして、横向きに乗るのか。昔の青春ドラマ・アニメであったと言われている伝説の恋人の自転車の後ろに女性が乗るときに横向きになって乗ったという、その乗り方をするのか。いやぁ~、恥ずかしい、ハズ、ハズ。
「たき、馬にはどうやって乗ればいいのだろうか。この格好では、馬に跨ぐことはできないと思うのだが」
「そうですね。氏兼が轡を引きますので、姫御子様は、横向きになって乗っていただければと思います。少し危ないかもしれませんので、手綱を持っていただけますか」
おぉ~、やっぱり伝説の乗り方するのかぁ、しょうがない。ここは、なんてことはないって、すました顔して乗るとしよう。
「わかったわ。それじゃ、その乗り方で行きましょう。遅れて、皆を待たせてはいけませんからね」
恥ずかしい乗り方は、10分ちょっとぐらいだったし、お供のみんな以外には見られなかったので、よしとしよう。みんな、高舞台のところでもう待ってたよ。早すぎない、集まるの。