0103. ヲタダンス攻防戦
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こっちに引っ越し来て、一週間ぐらい経ったかな~と、ぼんやり、部屋の外を眺めてると、氏兼がやって来て、秋の収穫祭りをする日取りが決まったと言ってきた。ついに収穫祭りをすることになったようだ。まぁ、今日、明日でやるのではなく刈り入れが落ち着いた、来週だけどね。
いやぁ~、でも、楽しみだね。この世界に転生してきて、まだ一度も村の祭りを見たこと無いからねぇ。太鼓とか出囃子とかするのかな。それとも、戦国時代だから、そんなことしないで、ただ、みんなで飲み食いするだけかな。どんな感じになるんだろう。
祭りのことを想像していたら、まつとゆきが声をかけてきた。
「そう言えば、姫御子様は、先日の奉納の舞の準備は、よろしいのですか。どのような音に合わせるのか、わかりませんが、私が見たことある舞とはかなり違い、激しく動かれていましたから、大変ではございませんか」
のぉ〜、すっかりそんなこと、忘れてたよ。調子のって、ヲタダンスなんかを待っているときにやっちまったからなぁ~、どうやって、この場を切り抜けようかな。
「そうですね。そんな舞の話がありましたね。ただ、こちらに引っ越しをしてきて、あれから鍛錬もほとんど出来てないのよね。それよりも、舞をするための楽器もないし、演奏をできる人も居ないので、今年というか当面の間は、披露出来ないでしょうね。演奏できるようになったら、披露することにするよ」
楽器がないから、披露できないってことで、十分でしょう。
「えっ、お披露目しないのですか。せっかく、準備していたのに、どうしてですか。あんなに激しく動く舞の鍛錬をしていたのに。町の人達もあの舞を見たら、びっくりしながら喜ぶと思いますよ」
「音も無いのに、奉納の舞をしてもね。みんな、よく分からないでしょう。だから、みんなが分かるようになってから、ちゃんとしたのを見てもらいたいのよ。神々にもちゃんとした舞を奉納して見てもらいたいし、見たいと思っているでしょうから。だから、今回は、舞を奉納しないわ」
どうせ神々に観察されているのだから、中途半端のを見せたくないし、見られたくないのよね。変なのだとあの人達に笑われそうだし。
全力で拒否るが、どうしてもやるならきちんとしたい。
二人に、ヲタダンスはしないとはっきり伝え、これで当分、この話は沈められるなと思っていたら、後ろから氏兼が声をかけてきた。
「姫御子様、今回の収穫祭りは初めて姫御子様が参加する祭りになりまする。参加していただき、皆の様子、祭りの様子を見ていただくだけでも、十分でございますが、ここは、皆の一年の頑張りを労っていただくためにも、その奉納の舞をしていただけないでしょうか。
音が無く、きちんとしていないのは、理解しますが、是非ともお願い致しまする」
氏兼が、ググッと私の顔の前まで近づいてくる。圧がスゴイ、圧が。
氏兼はこの時代には珍しく、令和にいても大柄ながっしりとした体格をしていて、今の私の子どもの体からすると、デカすぎて怖いのだ。泣いて、チビリそうになるが、ここは頑張って、拒否ろう。
「氏兼、その気持ち、私も持っております。皆の頑張りを労い、宇迦之御魂神様に感謝をお伝えする。このことは必要で大切な事だと思います。
ただ、私も姫御子として、中途半端な舞を奉納する訳にはいかないのです。そんなことをしたら、御神託で怒られてしまうかもしれません。氏兼には申し訳ないけど、今年は私の舞は無しとします」
「承知しました。そこまでお考えであれば、私からは何も申せませぬ。ただ、皆が期待しておりましたので、改めて、皆に今のお話をしていただければと思いまする」
ぐぉ〜、みんなに自分で説明するなんて、出来るわけないじゃないか。みんなの前で断ったら、落胆しちゃうじゃないの。町巡りのときでさえ、パレードになったんだから、私が前に出ただけで、期待しちゃうでしょ、みんな。
氏兼めぇ~、やられた。そうやって、退路を断ってきたかぁ。どうしよう〜。