0001. ???が部屋の前に待っていた
初投稿になります。プロローグ(6話)は、毎日更新します。
それ以降は、3月末までは週2回更新(月木AM7時予定)をしていきます。次話は1月3日7時です。
暖かい目で見てもらえればと思います。
定期的に長く投稿しようと思いますので、ブックマークと☆、「いいね」で評価をしてもらえると嬉しいです。
1話1話は、短めかもしれないですが、慣れてきたら、少しづつ長くしていきたいと思ってます。
あと、ゆるめの感想とご意見もらえると、嬉しいです!!
「里見〜、悪いが明日の∀社とのミーティング資料の修正、あとはよろしく頼むなぁ、ちょっと、これから接待に行くことになったんで」
笑いながら、課長が私に声をかけてきた。
「そんなぁ~、今日は残業出来ないって、前から言ってたじゃないですかぁ」
令和も、もう平成と変わらないくらい過ぎたのに、何も変わらね社会事情。ブラック企業は絶滅せず、強かに生き残っている。そんな一社が私が働いている会社なのだが。
「オレも行けないって、言ったんだけどな。部長がどうしてもって言うから、まぁ、今度、何かするから頼んだぞぉ〜。最近半年は、いろんな理由付けて残業を避けて来たんだから、今日ぐらいは残業して、会社に貢献しろよ」
課長はパワポの操作が苦手で、修正が自分だと間に合わないと考え、部長に自分の接待参加をお願いしたはず
ヽ(`Д´)ノプンプン
私に一言かけると部長と課長は、笑顔でオフィスからサッサと出ていってしまった。
相変わらず、昭和、平成初めの古い価値観を押し付けてくる、長い時間働いているのが会社への貢献ではないのだ。部長や課長も昭和なんて知らないのに、まぁ、うちの会社もなんだかんだで昭和からあるらしいから、そのときの社風が引き継がれているのだろうけど。古くからある社風は、良いけど、悪しき社風は、廃れてすぐに無くなって欲しい。
「あぁ~、今日も今日とて、前と一緒の安定の残業かぁ~、せっかく、八百幻のイベントなのに。
残業できる限り避けて来たツケが今日に来るなんて。
狐火ちゃんをかわいく、モフ度上げられたのになぁ~、運営も1日限定のイベントをするなんて、酷だよ〜〜」
私は、今、この春から始まった和風VRMMO【八百万の幻獣物語】『プレイヤーからは八百幻と呼ばれている』にハマっていて、180日連続ログインを先日達成したばっかだったのだ!
そして、今日が少し遅れた半周年記念イベント日で、今日1日しかやらない特別な日なのだ。そんな特別な日に残業だなんて。
「それにしても、課長と部長め、自分達だけ先に帰って、楽しみやがって、くたばれ、ケガしろ、毛が抜けろ! 飲む前に自分で仕事終わらせろ!」
むなしく自分の声だけが響くオフィスで一人毒を吐きつつ、仕事はしているのだが、はぁ~(TдT)
ーーー
ときどき毒を吐きつつ、どうにか仕事を終え、とりあえず今日も【八百幻】に入って、連続ログインは維持できそうだと思いながら、自宅に帰っていると、マンションの私の部屋の前に変な格好をした人が待ち構えていた。
「あっ、あのぉ、すみません。私の部屋の前で何をしているんですかぁ、部屋に入れないのでどいてください!こんな夜中に、警察呼びますよ!」
ちょっとイベントに参加出来なかったイライラと課長、部長へのストレスを八つ当たり的に強い口調でぶつけてしまったが、こんな時間に人の部屋の前の廊下にいるほうが悪い。
「おっ、なんじゃ、やっと帰って来たのか! 待ちくたびれて、強制転生させるところじゃったわ。ヌシ、仕事のし過ぎじゃろ」
「へっ、強制転生? 何、変な事言ってるんですか!な〇〇小説じゃ無いのに、バカ言わないでください。そんな事より、どいて帰ってください!私はあなたと話をしている時間はないんですよ、イベントに参加出来なかったけど、狐火ちゃんをモフりたいので、ジャマです。どいてください」
「わらわは、ヌシに用があって来たのじゃ、早う、入れてくれ、まぁ、勝手に入るがの」
目の前の変な女性?は、部屋の扉を勝手に開けて、私の部屋に入ってしまった。
あれぇ、朝、鍵締めて部屋を出たはずなのに、どうやって、開けたの?
「ちょっ、ちょっ、ちょっと、勝手にはいるんじゃないわよ! それにどうやって、鍵を開けたの? 目の前で遠慮なく窃盗、強盗に入るんじゃない!」
「そんな、些細な事を気にするでない、はよ、部屋に入って、座れ!」
部屋の主より、主らしく言われて、つい従って、部屋に入り、イスに座ってしまった(¯―¯٥)
「さて、ヌシには、戦国時代に転生してもらう。拒否権は無いので、今から行くぞ」
「は?はぁ?はぁぁぁぁああ!? 何言ってるの、あなた、正気? 頭、大丈夫?? イカれてない!」
目の前の女性のすました顔での言葉に思考が止まり、大声をあげて、つい下手なツッコミをしてしまった。
「わらわは、まともじゃ、クトゥルフのようなものと一緒にするでない。そんな事より、ヌシには戦国時代に転生してもらうのじゃ、正しくは、並行世界の戦国時代であって、ヌシらの世界の戦国時代にタイムリープするわけではないので、安心するのじゃ」
もういろんな情報がありすぎて、何言ってるのか、理解が追いつかない!クトゥルフ?並行世界?戦国時代?タイムリープ?
何を言ってるの?私は、何を聞かされてるのかな?夢、夢なのか?残業し過ぎて、明晰夢を見ているのか!バチバチン、私は、両頬を自分で叩いてみたが、目の前の女性は、消えなかった。
「ヌシは、いきなり自分の顔を叩くとは、酔狂な趣味をしておるのぉ~、最近の世は変わっておるのぉ~、それが今の時代の流行りなのかぁ」
「やぁ、いやぁ、違うの、そんな趣味はありません。世間一般でも、普通にそんな趣味を持っている人は少ないです! っていうか、そんな話をしてる場合じゃないわ!どういう事ですか!クトゥルフ!並行世界!戦国時代!タイムリープ!って、どういう意味ですか?」
「なんじゃ、ヌシは、クトゥルフも並行世界も戦国時代もタイムリープも、知らんのかぇ。」
「クトゥルフは、クトゥルフ神話に出てくる神で、ヌシの世界では20世紀アメリカで創作された神話の神とされておるが、実在するのじゃ!並行世界は、ヌシらの世界とは、別世界の事じゃ、ヌシらは、異世界と言ったほうがよいかの、戦国時代は……」
「ちょっ、ちょっ、ストップ!そんな言葉の意味は、知ってるよ~~、そうじゃなくて、なんで、そんな話になるのかを知りたいんです」
声をかけてから、ペースが乱されて、『何だこの状況は!』って、なってるよ。部屋に居るのも違和感ないし。普通、知らない人を初対面で自分の部屋に入れるなんてしない。何か心理的な誘導や催眠術にでもかかったのかな?
「おぉ、そうなのか。どういう意味って言うから、言葉の意味を知らんのかと思ったんじゃがのぉ~」
少しニヤけた顔して言う態度から、ゼッタイに私のことをイジって遊ぼうとしている。狐火ちゃんをモフれないこの時間と課長、部長へのストレスがピークになる。
「もうそんなイジりはいいので、私に会いにきた用事を話してください。早く狐火ちゃんをモフって、一緒に遊んで、寝たいので」
「つまらんヤツじゃのぉ、ヌシは。こういうノリとツッコミは、異世界転生モノの様式美では無いのかぇ~」
「そんな様式美、私は知りません!とっととしゃべる、話す、説明する!」
「全部一緒の意味じゃが、まぁ、ええかのぉ、そろそろちゃんと説明のじゃ」
目の前の女性は、そういうと、持っていた扇子をパチンと開いて閉じた。
その瞬間、部屋から色と音が消えた。