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神ハ二物ヲ与エナイ  作者: 玄武岩
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1話 〈混乱〉

目を覚ますと、そこは白い部屋だった。窓の外には青空が広がっているのがわかる。

恐らくここは病室だろう。俺はベットに寝かされ、腕には点滴が付いている。

「あら、起きられましたか。」

そう言って薄い桃色の服を着た異国の女性が俺の点滴を抜いた。どうやら敵意は無いらしい。

「あ、ああ。」

咄嗟に声を出したのでうめき声のような声が出る。

「何か飲み物持ってきますね。先生も呼んできます。」

少し顔を引きつらせた女性はそう言ってどこかへ行ってしまった。


体を起こすと足に違和感があった。足首が動かせないのだ。

不思議に思いかけられていた布団を捲る。すると足首には鎖が繋がれていた。

(拘束されている…のか?)

鎖を引き千切ろうかと迷ったが知らない場所であまり騒ぎは起こしたく無い。

なので鎖はそのままにしておくことにした。


それから数分たってから、医者と名乗る小太りの男がやってた。

「体調はどうでしょう?検査の限りでは特に異常は見られませんでしたが。」

この男からも敵意は感じられない。

「ああ、体調は、いい。」

「おお!やはり外国人でも言葉は通じるんですね!

言語が世界で統一されていると言うことは幼い頃から知識としては知っていましたが、なにせこうして外国人と話すのは初めてなので!少々私は興奮しておりますよ!いや〜、あなたのこと、聞いてますよ!詳しくは知らされていませんが何やらとんでもない犯罪者らしいじゃないですか!起きた瞬間問答無用で襲われるかとも思いましたが、こうして言葉を交わせるということは聞いていたほど凶悪な人物でもないということなのですかね!がははは!」


なんだこの男は。息継ぎもせず、顔を真っ赤にしてよほど興奮しているようだ。

ここは有益な情報を集めるとするか。


「それよりここはどこだ、とりあえず説明をしてくれないか。」


「え?ああ…すいませんね。私としたことがつい取り乱してしまいました。

ここは帝国直営カルベ病院です。そして私はここで院長を勤めているアマガエと言う者です。」


このように始まった小太りの話はおよそ30分にわたった。

結局この男は一方的に話すばかりだった。

早口すぎて聞き取れない部分も多かったが得られたものは多い。

ここはやはり異国の地らしい。その名はジパング帝国。


ジパング帝国は100年前、完全に外国との交易、情報のやり取り、観光客を遮断し、国内に在住するすべての外国人を強制的に国外へ退去させたそうだ。詳しいことはわからないそうだがその強行に出るためにかつてのジパング共和国は帝国主義と言う形を取らざるを得なくなり、即座に皇帝を擁立、その後、今のジパング帝国になったという。

話を聞いただけではあまりピンとこない。


そして俺は今、帝国内で大きな話題となっているようだ。それもそのはず。何故ならおれはこの国にとって”100年ぶりの来客”だからだそうだ。


「しかし、残念だが元気になったのなら君の身柄は国に引き渡すことになっていてねぇ。君の話も詳しく聞かせて欲しいところなんだが、先ほど助手が連絡を済ませたところだからもうそろそろ”彼ら”が来ると思うよ。」


「国に、ですか。」

今から処刑される人間をわざわざ治療し、回復させてから連行するということは帝国が欲しがっているのは俺の持つ他国の情報か…?

しかし変だ、俺が他国のスパイという線は考えなかったのか?

こんな手薄な警備で俺が逃げ出したらどうするつもりなんだ?

考えても仕方がない。

ただ、この状況は非常にまずい。

この国が欲しがっているのが俺の持つ情報だとすれば俺が記憶を失っていることを知れば間違いなく処刑、またはスパイであることを疑われ拷問などにかけられるだろう。


そう俺は考えていたまさにその時、


刹那、


ほんのまばたきをした瞬間、事態は動いた。


黒いスーツとサングラスを身に纏った男が十数人、瞬きの間に突然、そこにいたのだ。

「迎えに来たようだね。」

これが”彼ら”か。一体どういう原理なんだ。明らかに人智を超えている。

まるで初めからそこにいたかのような。不思議な感覚、違和感を強く覚えた。


一番背の高い黒服がこちらへ歩み寄る。そのどこからも感情が読み取れない。

俺の前に来た黒服は片膝を床につき、左手は後ろに、右手を胸の前にやり、深々と頭を下げた。その姿はまさしく完璧そのものだった。


そして彼は低いが、はっきりとした声で言った。


「ネロ様、ですね。皇帝陛下がお待ちです。」

俺の脳内はパンク寸前だった。いや、もうパンクしたと言っても過言ではない。自分の知らないことが多すぎる。その自分すら知らないのだからどうしようも無い。ネロ、とは俺の名前なのか?別の誰かと勘違いしている線はないのか?考えてもキリがない。

俺に「様」などと敬称をつけたり、皇帝が俺を待っていたり、

何か俺が知らないといけないことがあるはずだ。

まずは俺の情報を得るべきだ。

もう流れに身を委ねるしかあるまい。


「ああ、俺がネロだ。俺はどうすればいい?」


動揺は顔に出さない。

俺はそういうことができる人間だと、


何故かそう確信していた。






どうも玄武岩です。

文章量的に0話と1話を足したらちょうど良さげに見えてきたので来週あたりにでも統合しようかなと思っております。初めての執筆活動でわからないことも多いですが、温かい目で見ていただけると幸いです。

いやー、文章を書くのって意外と難しいんですね。

共通テストが近づいてきたので次の更新は来週もしくは再来週になるかもしれません…

出来るだけ早く更新しようと思いますのでよろしくお願いします。

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