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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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98.囁き

戦闘パート2

船上では相変わらず触手の魔物との戦いが続いていた。

エイシェル達4人とフェルスの攻撃によりいくらか触手を切り落としていたが、どうやら再生しているようだった。



「ちょっと!これ切ったとこからまた生えてきてる!!このままだとキリがないよ!」


「ファイアボールで燃やしたところは回復が遅いみたいだけど、このままだと竜玉の魔力も尽きちゃいそう!」


「俺の矢も何発か当てないと効果がなくなってきてる!」



フルーム、フラム、エイシェルがそれぞれ悲鳴のような声を上げる。

このままだとジリ貧なのだ。


何か決め手がないと難しい状況。

アリスはどうすれば事態をひっくり返せるかを考えていた。



(切っても燃やしても回復するんじゃキリがない!燃やしたら回復しにくいならいっそ全部の触手を燃やす?ううん、もっと根本的な解決策じゃないと意味ないわね。……本体を狙うにもどこにいるかわからないと手が出せないし……ん?手が出せない……?それだ!)



アリスは何やら思いつくとエイシェル、フラム、フルームに声をかける。



「エイシェル!フラム!フルーム!ちょっと聞いて!」


「なんだ!」


「手短にー!ウォーターカッター!!」


「なにか作戦あるの?!」



3人は戦いながらもアリスの声に耳を傾ける。

誰もが今の状況を打破したいと願っていた。



「ちょっと時間を稼いで欲しいの!みんな足を8本一気に切り落としてみる!もしかしたら逃げられるかも!」



要するに船を掴む手が無くなれば文字通り手が出せないのだ。

そうすればまた逃げることができる。

うまく行けばそのまま、悪くても体勢を整えるくらいは時間が稼げるだろう。

アリスはそう考え3人に提案した。



「具体的に何するのか分からないが……分かった!時間を稼ぐから頼んだぞ!」


「なるべく早くしてね!このままだと魔力が尽きそう!」


「それなら私も手伝えるかな?必要なら言って!」


「助かるわ!それなら左の2本お願い!」


「2本も!?うーーん、たぶんいける!タイミングは教えて!」


「分かったわ!」



アリスは打ち合わせ終えると空に向かって魔力を込め始めた。

アリスが担当していた場所をエイシェル、フラム、フルームが代わる代わる受け持ち、なんとか持ち堪えている。


頭上には蜃気楼のような空気の歪みのようなものが徐々に現れ、そのまま5分ほどすると風の渦のようなものが出来上がっていた。



「みんな準備できたわ!フルーム、お願い!」


「はいよ!」



アリスの合図を聞きフルームは走り出した。

今まで全方位カバーできるため船の中央にいたのだが触手を二本切り落とすとなると出来るだけ近づく必要があった。

その為、フルームは走り出し、一気に最大出力の魔法をぶつけるつもりなのだ。



「はいはいー!そこのお兄さんたちどいてー!本気で行くよー!ダブルウォーターカッター!!」



フルームが叫ぶと両手に巨大な円盤が現れる。

気をつけないと船を傷つけそうな程に大きかった。



「アリス!もういい?これ維持するの結構しんどい!」


「いいわよ!わたしも!ウィンドカッター!!」


「それじゃあいっくよー!そーれ!!」



アリスが作った風の渦から放射状にするどい風の刃が広がった。一部フルームがいるところを除き鋭利な風の刃が6本の触手の根元を断ち切ることに成功した。

一方のフルームも竜玉の魔力全てを使い切った攻撃を放ちアリス同様、残り2本の触手を根本から断ち切った。



「よし!」


「いけた!」



触手を抑え込んでいたエイシェルとフラムはアリスとフルームの攻撃が成功したことに喜び安堵した。



「できた!これでなんとか逃げられないかしら!?」


「船長!全速力で逃げてくれ!」



フェルスが叫ぶと船長室に声が届いたのか再度速度を上げようと船が動き出したではないか。

フェルスが最初に逃げるように申告した際に窓を開けるように言っていたことが功を奏したのだった。



「これで逃げられる、みんなありがとう。特にフラム、フルーム、エイシェル君にアリスさん。4人の力が無かったら今頃海の底だったに違いない。本当に感謝する」


「お礼は無事逃げ切ってからにしてください」


「でも触手8本切ったからしばらく襲われないんじゃないかな?」



完全に逃げ切ったとフェルスの総評にエイシェルがつっこむがフルーム含めてみんな逃げ切ったものと信じて疑わなかった。


そんな時フルームの背後に突然触手が現れる。



「なっ!?もしかしてイカだった!?」


「「「フルーム!」」」



触手が凄い勢いでフルームに迫る。

フルームは咄嗟に持っていた剣で触手を受けた。

しかし、触手が剣に触れた瞬間、剣が真ん中からポッキリと折れたのだ。

最初の特訓の時にフルームは自分の剣で土の柱を切ろうとして刃こぼれしており、そこから折れてしまったのだ。



「ちょ!?」


「フルーム!!」



咄嗟に床に張り付くように身体を逸らしギリギリでかわすフルーム。

その様子を見ていたフラムは援護するためにフルームの元へ駆け出す。

しかし、いつの間にか現れていたもう一本の触手がフルームに迫っていた。



「ヤバっ!?……うまくいって!アクアソード!!」



フルームが叫ぶと目の前に先ほどまで使っていた剣が現れる。

魔法の剣を瞬時に生み出すことはまだ練習していなかったため、ぶっつけ本番になったが無事に成功したようだ。

しかし、今度の触手は地面スレスレで迫ってきたため逃げ場はなさそうだ。


それを見たフルームは覚悟を決めた。

フルームは汗で滲んだ手で持っていた折れた剣を捨て、目の前に現れた剣を掴むと今度は触手に向かって切り掛かったのだ。



「ダメかもだけどやるしかないもんね!!」



フルームが叫ぶと迫ってきた触手に剣を振りかざした。すると見事に触手を切断することができたのだ。







「やった!!……ぇ……?」







しかし、切断した触手の裏に2本目の触手が迫っていたことにフルームは気付かなかった。

そのままの勢いで無防備なフルームの身体が触手に弾き飛ばされフルームがいた反対側の船のヘリに衝突する。



「がっ……は……ぁ…………」


「フルーム!!!!」


「嘘だろ!」


「そんな……!」



皆あまりの出来事に動けずにいた。

そこへ容赦なく触手が追撃を加える。



「だめえええええええ!!」



フラムが叫ぶも無常にもフラムからは助けられる距離では無かった。



ガキンっ



触手がフルームにトドメを刺そうとしたその瞬間、何やら硬いものがぶつかる音がした。



「俺の目の前で娘は殺らせねぇ!!」



フェルスが間一髪で割り込み触手を剣で往なし軌道を変えたのだ。

お陰で即死は免れたが依然余談を許さない状況だった。



「はやくヒールで助けないと!」


『なんで?チャンスじゃないの?』


「えっ……」



アリスがフルームに駆け寄ろうとした時、アリスの頭の中に声が響くのだった。

まだ戦闘が続きます

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