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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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88.船内初日(昼)

エイシェルとアリスが船内の散策をしているともうお昼時になっていた。

時間もちょうどいいため、一旦フルームの様子を見に戻る事にしたのだ。



「ただいまー。フルーム大丈夫?」


「あ、アリスおかえりー。うん、だいぶ良くなったよ。2人はもう戻ってきたの?」


「もうお昼だからね。みんなでご飯食べにいこうかと思って」



アリスはフルームが元気になった事を確認するとお昼ご飯に誘った。

フラムとフルーム的にはそのまま2人で食べてきてもらっても良かったのだが、せっかく戻ってきてくれた為、4人で食べる事にした。

そう考えたところでフラムが違和感に気づく。



「…….なんか、エイシェル固くなってない?」


「ふ、フラム!?なんの話だ……!?」



エイシェルは焦った。アリスに突然キスされてからずっと意識してしまっているのだ。

そうなると思春期の男の子である為言わずもがな仕方ない事になる。

そのためフラムの質問はとても破壊力があった。

しかし、当のフラムはなんとでもないように話を続ける。



「…….いや、表情というか動きというか……」


「……」


「あ、あはは……気のせいじゃないかな?それより、ご飯行こうよご飯!」


「そ、そうだな!お腹もすいたし早く行こう」


「なんでアリスまで答えるのよ……?」



フラムの言葉にエイシェルは拍子抜けして咄嗟に言葉が出なかった。

そんなエイシェルをみたアリスは、エイシェルが言葉に詰まり困っているように見えてしまい、さっきの出来事がバレてしまうと思ったアリスは思わず口を挟んでしまったのだ。


アリスはつい雰囲気に呑まれてキスをしてしまってからエイシェルがぎこちなくなっていたのを感じていた。

ただ、居心地悪い感じではなく、むしろイタズラ心くすぐられるようなぎこちなさだったのだ。

……それがお昼になっても治らないとは思わなかったが。



「私もご飯行くのさんせーい!早く食べに行こう!」



フルームがそう言うとベッドから跳ね起きる。

アリスと目が合うとフルームはニヤっと口元を釣り上げた。

その瞬間、あ、これダメなやつだ。と思うアリス。

アリスはきっと夜に始まる質問攻めをどう回避するかを考えながら4人でお昼に向かうのだった。






4人が船内の食堂に到着すると様々な料理がテーブルに並んでいた。どうやら各自好きなだけテーブルに置かれた料理を取り分けて食べれるのだという。

中には見たこともないような料理もありアリスとエイシェルは目を輝かせている。

しかもその料理がなんと無料なのである。


乗船券が高額な分、船内でのサービスは行き届いており食事だけでなくお風呂も大浴場があったり、簡単なトレーニング器具があるなど乗客を飽きさせない為の設備が無料で利用できるのだ。



「うわぁ!!これ本当にぜんぶ食べていいの?」


「足りないものは追加で作ってるみたいだから他の人の分は気にしなくていいみたいよ?……ただ、これ全部って何人分あると思ってるのよ…….」


「アリスならやりかねないね……流石に私も全部食べきれないよ……でも、こんな豪華な食事を目の前にしたら……今ならいけるかも……?」


「フルーム……さっきまで寝込んでたよな……?」


「ふっふっふ……エイシェル?気にしちゃ負けだよ?」


「あなたは気にしなさい。私が取るからどれ食べるか言って?」


「お、お姉ちゃん?お姉ちゃんの手を煩わせるわけには……」


「このままほっとくと煩うのよ。大丈夫。ちゃんと"適切な量"で取るから」


「そ、そんな〜」



そんな様子を見ていたアリスはフルームを可哀想な目で見つめる。

いかにも他人事でわたしは食べますと言った雰囲気を出している。

それを見つけたフラムがアリスにも忠告した。



「……アリスも注意しないと太るわよ?フルームみたいに走り回ってるわけじゃないんだから」


「な!?」



結論から言って効果は抜群だった。

アリスとて太りたくはない。最近ちょっと危ないかなと思っていたが、まだ若いから大丈夫かなとも思っていた。

……ただここ数日密かに二の腕が気になり始めていたこともありフラムの言葉はアリスに突き刺さったのだ。

そんな様子を見ていたエイシェルは微笑ましく3人を見ていたのだった。













食事を終えた4人の中でひとりだけが動けずにいた。



「く……苦しい……」


「はぁ……完全にノーマークだったわ。どうしてこんな事に……エイシェル?」



普段暴食をしているフルームとアリスを押さえ込む事に成功したフラムだったが思わぬ伏兵に頭を抱えていた。



「お姉ちゃん。エイシェルは悪くないんだよ」


「そうよ、強いて言うならこんなにたくさん料理の種類があるからいけないのよ」


「……なるほど。元凶はこの2人ね……。フルームもアリスもちょくちょくエイシェルが料理取りに行く時について行ってたけど何をしてたのよ」


「あー、いや、ね?エイシェルって料理得意じゃない?だから食べたもの再現出来る?って聞いたらもともと作ってみる気でいるって言うから……」


「私達がちょっと希望を言って何度か味を確認してもらってただけだよ……?ちょっと色んな種類があったから量が多くなっただけで……」


「……まさか……全種類食べたの……?」



フラムの質問にエイシェルは手を上げて反応する。

手をよくみるとサムズアップしている事から肯定を意味していた。



「はぁ……肩を貸すからエイシェルの部屋に行くわよ。フルーム手伝って」


「はいよ」



エイシェルを運ぼうとフラムとフルームが肩を貸そうとした時、ふと思い出したようにフラムが確認した。



「あ、忘れてた。…………それで、ここの料理は作れそうなの?」



エイシェルはゆっくりと再度サムズアップした。



「…………じゃあ運ぶわね。ゆっくりでいいから」



フラムの対応が少し優しくなった気がしたエイシェルだった。








その後エイシェルは動けなくなり、翌日までベッドの上でうなるのだった。


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