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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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87.船上デート

エイシェルとアリスのターン!

フルームを部屋で休ませたエイシェルとアリスは、フラムがフルームを見てくれると言ってくれたため2人で船内を探索する事にした。



「さて、まずどこへ行きましょうか?」


「うーん、まずは甲板じゃないか?せっかくの船なんだし外の景色とか気になるな」


「いいわね!それじゃあ行きましょう!」



エイシェルとアリスは最初に外の景色を見る事にした。エイシェルもアリスも初めての船で実はとても楽しみにしていたのだ。

特にアリスは父親の話を聞いていた為、実際に見る景色はどんなものだろうとすごくはしゃいでいた。

アリスが無意識にエイシェルの手を握り甲板まで引っ張っていく。

無邪気に笑い甲板に行く姿はとても楽しそうだった。


手を引かれているエイシェルは始めはちょっと緊張していたが甲板に向かっているうちに自然とアリスにつられて楽しくなっていた。







甲板に出た2人はその景色に目を奪われた。

目の前にはあたり一面に広がる水平線。雲ひとつない青空と海との境目がずっと続いていた。

後ろを見るとさっきまで居た港町や何回か通った街道が目に入った。



「うわぁ!風が気持ちいい!海ってこんなに広いんだ!目の前に何にもないよ!それに、この船結構早いのね!もう港町があんなに小さくなってる!さっきまであそこに居たのにね!」



アリスは自然と思ったことをどんどん口に出していた。

それほどまでに目の前の光景に感動していたのだ。

ずっと父親の話だけで想像するしか無かった光景。それが今目の前に広がっている。

この光景だけでも街を出て旅に出た価値はある。アリスはそう思っていた。


そんなアリスを見たエイシェルも気分が高揚していた。それもそのはずである。

今まで山で狩りをして育ってきた為、海なんて見たこともなかったのだ。



「あぁ、そうだな……風が気持ちいいし、空を飛んでいる鳥も気持ちよさそうだ。……きっと、村で暮らしてたら一生見る事は無かったな」



エイシェルは村の人々を思い出していた。

みんなこの景色は見たことがないだろう。

いや、オージンは見たことがあるのかもしれない。

今度会った時に聞いてみよう。そして、今見ている景色がどれだけ素晴らしいか、村の人にも伝えよう。

そう思いエイシェルは目の前の景色を目に焼きつけていた。



「そうね、これもエイシェルがどうしても船で行くんだーって言ったおかげね!そうで無かったら今頃は馬車を乗り継いで陸路だったもの……」



アリスはそう言うとふと以前フラムが言った事を思い出した。



(あれ?よく考えたら今ふたりっきりじゃない!?フラムが時間を作るって言ってたけど……まさか!フラムもフルームもこれを狙って!?)



アリスはこの状況をフラムとフルームが仕組んだものと考えた。

よくこうも自然に今の状況を作り出せたものだと感心していたのだ。

アリスは2人に感謝してやるべき事をやろうと考えた。



(って言ってもどう話せばいいの!?いきなり過ぎて何も考えてないわよ!面と向かって話すのは恥ずかしいし……恥ずかしいけど……うぅ……恥ずかしがってたらいつまで経っても言えないわね……!)



アリスは覚悟を決めたのだった。



「あ、あのね?エイシェル」


「ん?どうしたんだ?」


「そのー……なんというか……いつもありがとうね」


「……おれこそいつも大事な時に助けられてるよ。ありがとうな。でも、突然どうしたんだ?」


「いや、なんというか……普段のお礼、的な?ほら、いつも心配かけちゃってるでしょ?イノシシの魔物討伐の時も助けてもらったし、風邪ひいた時もずっと看病してくれたし。……わたし体力ないからすごく迷惑かけちゃってるのに、それでもわたしのことを考えてくれて歩く早さとか気をつけてくれたり、山を歩くときは無理してないかずっと見ていてくれてたし……。それに、セルロさんの依頼の時にすごく心配して戻ってきてくれたよね?……ふふ、あの時のエイシェルったらすごく焦ってたね。ちょっと面白かったかな……でも、それ以上に嬉しかったの。だから、ありがとうね」



アリスは思ったこと感じたことをありのまま話した。

一度話し始めればなんてことはない。

あとは思ったことがどんどん口から出てきた。

最初の話出しだけ勇気が必要なのだ。


アリスの言葉を聞いたエイシェルは照れ臭くて顔を赤くしながらそっぽを向いた。

あまりにも真っ直ぐなアリスの言葉に少し恥ずかしくなったのだ。



「ま、まぁ、おれだってアリスに助けられてるし……お互い様だよ。……おれは、あの地面が崩れて広い空間に落ちた時にアリスに助けてもらったんだ」


「あれはとっさに体が動いたというか、そうしないとわたしも死んじゃうし……」


「いや、そっちもだけど、アリスの言葉が嬉しかったんだ」



エイシェルは顔を上げアリスに向き直り真面目な顔をして答えた。

さっきはアリスが気持ちを真っ直ぐに伝えてくれたため、エイシェルはどうしても言わなければならない気がしたのだ。



「……おれ、親が死んでからはなんでもひとりで出来るようにと思って生きてきたんだ。村のみんなはおれを心配してくれて世話をしてくれたんだけど、いつまでも心配させるわけにはいかないって思って。それが、いつのまにか誰も心配させちゃ"いけない"って思うようになっていたんだ。その事にずっと気付かなかったけど……アリスが頼っていいって言ってくれたでしょ?それで気づいたんだ。心配させないようにしているつもりが、逆に心配させてしまっているんだってことが……それと、頼ってもいいんだってことも。その一言がおれにとってはすごく頼もしかったし、嬉しかった。……だから、おれからもありがとう。……ほら、お互い様だろ?」



エイシェルは自分の思いを伝えると気恥ずかしくなったのかまたそっぽを向いてしまう。

そんなエイシェルを見てアリスはニヤっとしたいたずら顔で答える。



「そうね、あの時のエイシェル子供みたいに泣いちゃって可愛かったわよ?」


「あ、あれは忘れてくれ……」


「ふふ……わたしはエイシェルが頼れる数少ない人みたいだし……一緒にいてあげないとね」


「え?」



エイシェルがそっぽを向いたままアリスの話を聞いていると、頬になにやら柔らかい感触があった。

驚きアリスの方を見るとアリスが唇に指を当てて顔を赤くしながらモジモジしている。



「あ、アリス?今のは……」


「フラムとフルームには内緒だぞ?それじゃ、次は船内見に行こー」


「あ、え?」


「ほらほら!行く行くー!」



放心状態のエイシェルを引っ張ってアリスは船内に向かうのだった。


足りないところは補えばいい。ひとりでなんでも抱え込まないで、信頼できる人と一緒に助け合えばいい。

そんな当たり前の事がすごく難しい。


エイシェルとアリスはお互いに思っていた事を伝え、お互い信頼できる相手となるのだった。

こっちも進展してきましたね。物語も進展させねば。。

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