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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
74/223

74.なんでもあり?

なんとかワイバーンを討伐出来た4人は倒したワイバーンの周りに集まっていた。

ちなみにフラムとフルームの剣はアリスが魔力の供給を絶ったことで通常の剣に戻っている。



「アリスぅ……水出してぇ……」


「私も口をゆすぎたいわ……」


「口もそうだけど、見た目が凄いことになってるわよ……?」



フラムもフルームも口の中が気持ち悪く、アリスに水を頼んだが、そもそもワイバーンの血で全身ずぶ濡れなのだ。

もはや全身ベトベトである。正直、そのまま町に帰ったら卒倒する人が続出しそうな程であった。

アリスは少し考えて、人ひとり入れるほどの水をふたつ出すことにした。



「ウォーターボール!2人とも口ゆすいだら全身入ったら?そのままでいるよりも少しでも落とした方がいいと思う」


「そうね……ありがとう、助かるわ」


「ありがとー」



フラムとフルームはアリスの提案に甘えることにした。






しかし、口をゆすいでから全身で入ると、外から見ているものにとっては若干ホラーであった。

いや、もはや口をゆすいでる時ですらホラーである。口から真っ赤な液体が何度も出てくるのだ。

そして全身が水に入った時は透明だった水が一気に真っ赤になった。

真っ赤に染まった水。そしてフラムとフルームが出てくる時はまるで赤い卵から生まれる何かだった。

……そして一回では取りきれないようで、何回かやる必要がありそうだ。



「あのワイバーン……そんなに血がドロドロなのか……」


「エイシェル……やめて……わたし我慢してるんだから……」



アリスは洗い始めた時の光景を見た時にあまりの光景に血の気が引いたのだ。

仲間が命がけでワイバーンを倒したのに、自分から提案しておいて倒れるわけにはいかない。

正直倒れずに魔法を維持できたことを褒めてもらいたいくらいであった。


エイシェルは紳士的に2人が口をすすぐところは見ないようにしたが、アリスの様子が少しおかしく感じ振り返ると真っ赤な水の球があったのだ。



エイシェルはそこからは周りを警戒するようにフラムとフルームから背を向けていた。



アリスは魔力を維持する必要があるためそう言うわけにもいかない。

ただ、3回目あたりから水がうっすら色づくくらいで済むようになり、4回目にはすっかりきれいになった。





「いやーだいぶマシになった!アリスありがとうね!」


「アリスありがとう。洗ってみて初めて分かったけどかなり濃いのね……ってどうしたの?顔色悪そうだけど……」


「な、なんでもないわ!ほら、風邪ひいちゃうから暖かい風にでも当たって服乾かしてよ!」



4回目ともなるとアリスの気分も戻ってきたが、本調子ではなかった。

フラムに心配されたが、ショッキングな光景でしたとも言えるわけもなくアリスはなにもないと言い張ることにした。


話題を変えるついでに、前回のアリスが風邪を引いた時の反省を込めてまた服が濡れた時に濡れた服を乾かせるように考えた方法を試すことにした。

自分の洗濯物には何度か試して温度を確認済みだが、ひとに試したことはない。

アリスは少し緊張しつつ温風を出してフラムとフルームに当てた。



「おぉ!あったかい!」


「ほんと……これなら髪もすぐに乾きそうね。」


「あ、それいいかも!服をどうやって乾かすかしか考えてなかったから思いつかなかったわ」


「服も張り付いて気持ち悪かったから助かるわ」



3人が話している間、エイシェルは背を向けていた。

2人の服が張り付き前回のアリス同様の事態に陥っていたのだ。

しかも今回は日が高く、姿がうっすら見えるとか言うレベルではない。

とても反応に困るので勝手に見張りをしていたのだ。


そんなことは知らない3人は服を乾かしながら会話を続けていた。









そんなこんなしているとフラムがふと気になっていたことを話し出す。



「そういえば、今のもだけどアリスって時々魔法を唱えないで発動してない?」


「あ、それ私も思ってた!矢を作る時とか料理を作ってる時の火加減調整とか!」


「へ?魔法を唱えないで……?………それ」



アリスは指摘されて初めて気付いた。

そして、ほんとかと思い試しにウォーターボールをイメージして使ってみると目の前に水の球が現れた。


完全に無自覚であった。魔法はイメージが大事だが通常魔法の名前を言葉で発して発動させる。

魔法の名前は有名なものならみんな知っており、みんながその名前を口に出して魔法を使う。

そのためみんなが使う魔法は似たり寄ったりになるのだ。


しかし、アリスは無自覚に魔力を操作することを覚えた。いや、"最初から知っていた"かのように自然と使っているのだ。


その結果、本来なら言葉で発しないと発動できない魔法を何かしらの方法で発動させることができ、他の人が使ったことのないような魔法の使い方が出来た。



「……できたわね……全然気づかなかった……」


「すごいじゃないの!そんなの聞いたことないわよ?」


「私はアリスだから何でもありなのかなって思ってた」


「いや、流石に何でもありってわけじゃ……ない……と思う……」



アリスはフルームの言葉にそんなことはないと言いたかったが歯切れの悪い回答になった。

最近自分が使った魔法を思い浮かべたら結構とんでもなかったのだ。


イノシシは氷漬けにするし、火力調整とか以前は考える事すらなかった。

魔力を込めて魔法を強化する事も知らなかったはず、もっと言えば物質に魔力を込めて強化するとか我ながらどういう発想でそうなるのかとアリスは思った。

イメージだけで魔法を発動させるのもそうだし、足を生やしたのも普通では考えられない。


フルームの何でもあり発言があながち間違ってないのではと思うアリスであった。





「……えーと……まだ、終わらないのか?」



エイシェルは完全に忘れられていた。

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