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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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72.ワイバーン

グオオオオオオォォォォォォォォ!!!


空から降りてきたワイバーンが威嚇してくる。

どうやら逃してくれるような状況ではないようだ。



「くそ!追いつかれたか!?なんでおれたちを狙うんだ?」


「分からないけどすごくピンチなのは分かる!」


エイシェルがアリスを地面に下ろしながら悪態をつく。

フルームも最初はワイバーン狩りをしたいと言っていたが実物を見てこれはヤバいと分かった。

話に聞くドラゴンほどではないが、ぱっと見で背丈がフルームの3倍はあり、翼を広げるとかなり大きく見えるのだ。

それだけでこの先へは進めないと分かった。


……そうなるとどうするか。考えるまでもない。逃げられないのなら倒すしかないのだ。


4人は最初こそ戸惑ったがすぐに覚悟を決め、戦闘体制に入った。

しかし、既に獲物を狩る姿勢であったワイバーンに先手を取られてしまったのだ。


ワイバーンが大きく息を吸った次の瞬間、口から火が吹き出てくる。



「はぁ?!」


「ウォーターボール!」



エイシェルは驚き立ちすくんでしまったが、

横にいたアリスが水球を発生させすぐに幕状に変化させる。

お陰でワイバーンの放った火から全員の身を守ることが出来た。



「おいおい……火を吐けるって生き物としてどうなんだ……?」


「一応竜種だから……ドラゴンが火を吐けるならワイバーンも火を吐いてもおかしくはないってことかしら……?」


「こうなると、火除けのマントとか盾とか持って来ないと詰むんだけど……アリスがいてくれて助かった……」


「わたしだって伝記読んでなかったら生き物が火を吹くなんて思わないからね!?……もしかしてと思って構えてて正解だったわ」



エイシェルの言う通り生き物が火を吹くなんて通常は考えられない。

生き物は本来、本能的に火を怖がるものである。狩りをして生活していたエイシェルにとって異常としか思えなかった。


ただ、何事にも例外は存在する。

それがドラゴンでありだ。

巨大な身体で空を制圧し、空から火を吹き荒らす。

ドラゴンが現れた都市は瞬く間に廃墟と化すと……そう言われている。

20年前にもひとつの都市が滅んだと聞いた。

まさに力では生き物の頂点と言える存在であった。


そして、亜竜種であるワイバーン。"亜"とつくが竜種である。火を吹いてもおかしくは無い。実際にワイバーンが火を吹く瞬間を見た4人はそう考えた。そう考えるざるを得なかったのだ。

4人ともワイバーンについて詳しくはなかったため手探りで戦うしか無かった。




(でも、なにか変ね……。火を吐く時になにか違和感が……)


アリスが考えていると火を防がれたワイバーンは空へと飛び立ち翼を大きく羽ばたかせた。

すると無数の風の刃のようなものが迫る。



「なんだ!?」


「あれって!?……間に合って!エアカッター!」



アリスが魔法を唱えるとアリスからも無数の風の刃が生まれる。

風の刃同士が触れるとその威力を相殺し消えた。


ここでアリスは先程感じた違和感の正体に気付いた。

ワイバーンが翼を大きく羽ばたかせる瞬間にワイバーンから魔力を感じたのだ。

つまり、あのワイバーンは"魔法"を使っている。それはこの後どんな攻撃を仕掛けてくるか分からない事を意味していた。



「みんな!気をつけて!あのワイバーン魔法を使ってる!」


「竜種って魔法も使えるの!?」


「そんなのでたらめじゃない……!それに、空飛んでる相手なんてどうやって倒すのよ……!」


「……アリス、あいつが飛んでる時は魔力を感じるか?」


「ううん、今は感じない……と思う。多分だけど自力で飛んでるんだと思う」


「なるほど……できるか分からないけど翼膜を狙ってみないか?穴が開けば空も飛べなくなるかもしれない」



エイシェルは上空を旋回し続けるワイバーンを見ながら行った。

あんなに動かれてしまうとアリスの水で窒息戦法もルミナレクイエムも狙えない。まずはどうにかして地面に落とす必要があるのだ。


そうこうしていると、ワイバーンが改めて襲ってきた。


翼を大きくはためかせて再度ウィンドカッターを発生させる

それと同時にワイバーンが大きく息を吸い込んだ。



「!?……それはちょっときついわね……ウィンドカッター!ウォーターボール!」



アリスが2つ魔法を唱えるのとワイバーンが火を吹くのとほぼ同時だった。

ウィンドカッターで風の刃を相殺し、火を水で防ぐ。

無事に攻撃を防ぐことができたが、4人とも同時に攻撃してきた意味を理解した。

そして、最悪の事態だった。



「おいおい嘘だろ……?」


「今のって、アリスの魔法に対抗する為に同時で放ったんだよね……?」


「……あのワイバーン……知性がある!」



初見で2発防がれたのを見て、同時であれば防がれないと考えたのであろう。

そう、"考えた"のだ。


火を吐いても水で防がれる。風刃を起こしても相殺される。

なら、風刃を相殺されている間に火を吐けば良い。

水の壁だけで守るものならば風刃が貫通し攻撃が通っていただろう。


同じ失敗は繰り返さない。どうすれば目の前の獲物を狩れるかを考える。

……その思考はまるで狩りを楽しむ人間のようだった。


その証拠に2発同時で魔法を放っても防がれた為、再度上昇し上空で旋回を始める。

どう攻撃しようか考えているのだ。


このままでは守るばかりでいずれ体力の限界が来る。

その前に攻撃に転じて倒さなくてはならない。


エイシェルの提案は大雑把で具体性に欠けていたが、今考えられる最善はまず地上に落とすことだった。



「おれが弓でやってみる。アリス、前みたいに氷の矢を作れるか?」


「氷だけじゃなくて石でも、わたしが出来るものならなんでも用意するわ」



そう言うとアリスは早速矢の生成を始めた。

右手に槍ほどの長さの氷の矢が、左手には同じ同じサイズの石の矢が生成される。

アリスは生成されたそれぞれの矢に魔力を込め強度を強めた。


以前に比べるとかなり短時間で作れるようになっていた。



「流石アリス、頼もしい限りだ」


「これくらいなら任せてちょうだい」



アリスが作った矢を受け取ったエイシェルはすぐに弓を構えた。

受け取った矢を2本とも構え、上空を狙う。


しかし、ワイバーンは旋回をしているものの不規則な軌道を描いていた。

どうやら本当に知能が高いらしい。


このままだと避けられる。そう感じたエイシェルはアリスに追加で頼んだ。



「アリス、ものすごく眩しい光とか出せる?」


「……なるほどね、お安い御用よ。もうやってもいいかしら?」


「頼む」


「それじゃあ行くわよ!……フラッシュ!!」



あたり一面が白い光に包まれる。エイシェルは上空を見上げ、光源を見ないように気をつけて狙いを澄まし矢を放った。


ーーーッ!


辺りが真っ白で音も無くなったかと錯覚する不思議な空間が出来上がっていた。


そのためいくら警戒していても矢の接近に気付けない。気付いたとしても手遅れなのだ。

ワイバーンが矢に気付いたのと同時に2本の矢が両方とも左の翼膜を貫いた。



グオオォォォォ??!!



盛大な雄叫びをあげるワイバーン。

懸命に翼で羽ばたこうとするが、膜が破れてしまった翼では十分に空気を掴むことが出来ず落下する。


高度高く逃げていたことが災いしワイバーンはものすごいスピードで地面に衝突したのだった。









「めがあぁぁぁ!」


「フルーム……会話から察しなさいよ……」


ひとりだけ違うものと戦っていた。

次回、第二ラウンド

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