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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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64.普通の討伐依頼

セルロから高級回復薬(試作品)をもらった翌日、4人は冒険者ギルドに集まっていた。



「それじゃあ、今日の依頼を探しましょうか!」


「お、アリスやる気に満ち溢れてるな」


「早くこの町から出たいのよ……歩いてるとなんとなく見られてる気がするのよね……」



噂は広がっているようで帽子亭だけでなく道中でも視線を感じるようになっていた。



「今どんな話が広まってるんだろう?」


「ウサギモドキの話も広まってるんじゃない?ランクアップもすぐに広まったじゃない」


「……頭が痛くなってきた。ほら!早く依頼を見にいきましょう!」



アリスはそういうと依頼ボードを確認しに行く。3人もその後に続いた。


依頼ボードを見ると昨日まで無かった依頼が張り出されていた



「あれ?こんな依頼あったかしら?」


「昨日はなかったと思う。ウルフの群れ討伐かぁ。北の街道でウルフの群れが現れたから討伐してほしい……港町へいく途中の街道ね」



アリスが新しい依頼を見つけ、フラムが読み上げる。どうやら港町へ行く途中のあの草原に魔物が現れたらしい。



「これならすぐ出来んるんじゃないか?あそこなら見晴らしもいいしすぐ見つけられると思う」


「ウルフなら私とお姉ちゃんの得意分野だね!今度こそ活躍するんだから!」



エイシェルの言う通り見晴らしのよい草原地帯に群れでいるのだすぐに見つかるだろう。

そしてここのところあまり活躍出来ていないと思っていたフルームは張り切っていた。



「じゃあ、わたし受付してくるわね!」



善は急げと言わんばかりにアリスは依頼の受付に向かった。



「セラスさん!これお願いします!」



アリスは剥がした依頼書を机に置いた。



「あら、アリスさん……これを受けるんですか……?」


「はい!……あれ?なにか問題ありますか?特に制限とかない依頼だと思いますが……」



アリスが依頼者を出しセラスが確認するが、セラスは怪訝そうな顔をする。

アリスはその顔を見て不安そうに確認した。



「あぁ、ごめんなさい。いや、何も問題はないのだけど……あなた達が魔物討伐する時ってだいたい何か起こるから……これ普通の討伐依頼だからね」


「今までの依頼は普通じゃなかったんですか」


「はい!これで受付完了です。頑張ってくださいね」



セラスが思わず心の内を曝け出す。確かにアリス達が討伐に関わった魔物はイレギュラーばっかりだった為、そう思っても仕方がないように思えた。

アリスは思わず突っ込んだがセラスにスルーされる。

セラスが営業スマイルで送り出すとアリスはそれ以上何も言えなかった。





依頼人の元に向かい依頼について確認すると可能であれば毛皮も欲しいとの事だったので台車を借りることにした。

討伐した魔物も運んでくれれば報酬を増やすと言われた為せっかくなので台車で運ぶ事にしたのだが……

メンバーから考えるとエイシェルが台車を引くのは確定していた。



「ごめんね、台車引かせちゃって」


道中歩き始めた4人だったが、エイシェルが台車を引く流れになってしまった為アリスはエイシェルに謝った。

当のエイシェルは全く気にしていないようだ。


「気にしなくていいよ。むしろ乗っていくか?」


「いや、流石に悪いわよ」


「乗っていいの?私乗る!」


「あなたねぇ……」


「いいよ。フルームだけじゃなくてアリスもフラムも乗ったらどうだ?」



結局、エイシェルの提案に3人とも乗る事にした。

討伐では動き回るであろうフラムとフルームはもちろん、特にすぐに息が上がってしまうアリスには体力を残して欲しかったのだ。



「それじゃあちょっとスピード上げていこう」


「おー!」


「意外と乗り心地いいわね」


「……なんか、いえなんでもないわ」


フラムは売られる家畜を想像しながら揺られる。

そんなこんなで4人は街道を進んだ。





1時間ほど進んだところで前方に魔物の群れを見つける。



「あれだ。みんな行けるか?」


「任せて。ついて行くんだからそろそろ活躍しないとね」


「私も頑張るよー!」


「ちょっと!2人とも早い!」


フラムとフルームが意気込み台車から飛び降りる。

アリスもゆっくりと台車から降りると戦闘態勢に入った。


ウルフの群れもこちらに気づき、群れで迫ってきた。



「よーし!サクッと終わらせるよー!」


「流石に剣は弾かれないよね!」


フルームとフラムが魔物の群れの中に切り込んだ。


「えいっ!」


「はぁっ!」


フルームとフラムは一匹、二匹、三匹と次々に斬り伏せる。

Aクラス冒険者の父に教え込まれた剣術は伊達ではなかった。

2人はまるで踊るように、流れるように動き魔物を次々に討伐して行く。


「7、8!」


「6、7!お姉ちゃん早い!……この!8、9!」


2人は討伐数を数えて競い合いながら討伐していた。

その様子をエイシェルとアリスはただ見ていた。

正確に言うと戦闘に加わろうと思った時にはほとんど片付いてしまっていた為、出番がなかったのだ。



「10!」


「へへん!11だもんね!」



フルームが勝利宣言をする。ものの数分で21頭の群れは全滅したのだった。



「今回おれたち何もしてないんだけど……」


「エイシェルは台車運んだじゃない……私なんて運ばれただけよ……」



討伐で何も出来なかった2人はポカンと立ち尽くすのみだった。



「あーあ、負けちゃった」


「最後は密集してたからね。一気に稼げたよ」


エイシェルとアリスが固まっていると談笑しながら2人が戻ってきた。

戻ってきた2人にもエイシェルとアリスは声をかける。


「2人ともお疲れ様。すごいな。あっという間じゃないか」


「本当に早かったわね……わたしたち出番なかったわ……」


「ざっとこんなものよ。ここ最近まともに剣が通る相手じゃなかったから久しぶりに暴れたわ」


「いつもはこんな感じだったんだよ?」



フラムとフルームの実力を改めて認識したエイシェルとアリス。

猿の魔物やウサギモドキでの戦闘で傷を負わずに攻撃を捌き続けるといったことからかなりの実力がある事は分かっていたが、攻撃が通る相手だとこうも圧倒するものかと認識を改めた。

フラムもフルームも自身の持つ剣術に関しては自信を持っており大抵の相手であれば負けないと自負していた。



「それじゃあ魔物を積んで帰りましょう?」


「あ、魔物積むのはやるわ。2人は休んでてちょうだい?」


「えー!こんなの動いたうちに入らないよ。私も運ぶー」


「ちょっと!フルーム!わたしの仕事を取らないで!」



アリスは今回本当に何もしていない為、少しでも役に立とうと必死になるのであった。


「おれも台車引くことしかしてないな……」


エイシェルも同じように思い、討伐した魔物を台車に乗せるのであった。





「流石に重いな……」


魔物を積んだ4人。台車にはパンパンに魔物が乗っていた。


「流石に一人で引っ張るのは無理でしょ」


「そうね……みんなで押しましょう?そうすれば少しはマシかもしれない」


「乗せてもらった分帰りは押すよ!」


流石にエイシェルだけに任せるのは可哀想なのでフラム、アリス、フルームの3人は後ろから台車を押して町まで戻る事にした。





その後何もなく依頼者に魔物をわたし、受付証明書のサインと追加分の報酬をもらう。


ギルドに戻りセラスに依頼完了連絡をすると逆に不思議がられてしまった。


ともあれ無事午前だけで依頼を1つ達成できたのであった。


エイシェル、アリスランクアップまであと13依頼

活躍の場が無かっただけで実は剣士2人は超優秀です。

しばらく依頼を進める予定

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