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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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56.買取結果

いざ買取完了へ

翌朝、エイシェルがギルドに到着すると3人が既にいた。


「おはよう3人とも。……あれ?どうかした?」


「昨日ちょっとね……。3人同じ部屋に泊まったんだけど、夜遅くまでか話し込んじゃって寝不足なのよ……。ふわぁ……」


エイシェルの質問にアリスが答える。

心なしかアリスはフラムとフルームをジト目で見ていた。


「そうだったのか……。アリス?少しでも体調が悪くなったらすぐ言うんだぞ?」


「うん、ありがと」


エイシェルがアリスを気遣う言葉をかける。

すると、その様子を見ていたフルームから非難の声が上がる。


「私たちも寝不足なんだけどなー?なんでアリスだけなのかなー?」


「フルーム、自業自得って知ってるかしら?……まぁ楽しかったわね」


ただ、その声は姉であるフラムによって収められるのであった。……一部本音が漏れたが。

昨日、最初の方はお互いに家族のことなど無難な話題で盛り上がったが、突然フラムとフルームが仕掛けてきたのだ。


いわゆるガールズトーク……という名のアリスへの質問攻めである。


アリスは家族話があまりにも衝撃的で余裕がなくなっていたところに攻め込まれどんどん墓穴を掘っていった。その弁明に追われた結果夜遅くなってしまったのだ。今眠いのは大体フラムとフルームのせいだった。




「悪い悪い、3人とも無理せず何かあったら遠慮しないで話してくれ。……アリスは特に、身体弱い方でしょ?だから気をつけてあげなきゃいけないと思ったんだ」


「うぅ……お手数をおかけします……」


「まぁ、そういうことなら……許す!」


「あなたね……。まぁいいわ」


エイシェルは理由を話すとアリスは反論出来なかった。正直、今日無理すると熱が出る気がしたのだ。

フルームはもともとエイシェルの反応が気になり、冗談で非難するような発言をしたのだ。

正直、昨日のアリスのように面白い反応が得られなかったためすぐ引き下がった。

そのことをわかっていたフラムが何か言おうとしたが言葉を飲み込んだ。



「はは……それじゃあ買取カウンターに行こうか。流石にもう金額出てるだろうし」


エイシェルはフルームの回答に笑って返し、今日の目的を果たしに行く事にした。





「おじさーん!きたよー!」


「……ここではやめてくださいと何度も……はぁ、もういいや……。おぅ、どうしたフルーム?」


フルームが元気よくフラターに挨拶する。フラターがギルドでは丁寧な喋り方をする決まりなんだと、話し方を合わせてくれとお願いしていたが、毎度来るたびに元に戻るのでフラターはとうとう諦めた。

セラスに何か言われたら流石に身内と話す時に素に戻るくらい大目に見てくれとでも話しておこう。


「こんにちは!」


「おぅ、嬢ちゃんも一緒か。ということは例のイノシシの件だな?」


「あぁ、そろそろ買取終わってるかなと思ってきた」


アリスが声をかけた事で買取の件だと予想したフラター。その予想が正しいものであるとエイシェルの言葉が裏付ける。


フラターは事前にフラムとフルームが2人の旅について行くと聞いていた。だからエイシェルとアリスが戻ってきた時、フラムとフルームを呼びにいったし、今も一緒にいるのを見て不思議とは思わなかった。



「流石にな、しかも今回は解体する前から是非買取たいってやつが現れてな。報酬も用意出来てるぞ」


フラターが丁寧に説明をしながらカウンターの下を覗く。そして、フラターはドヤ顔で金貨の入った袋を取り出した。


「そら、金貨150枚だ!!」


頑張って高く売り捌いた結果、これだけの額を渡せることが出来たのだ。

どうだと言わんばかりに胸を張るフラター。

当然4人の反応が気になる。これだけの大金なのだ、きっと腰を抜かす程驚くだろうと思っていた。

……そう、普通はそうなるはずであった。





「わー!また金貨ざくざくだー!」


「フルーム?これはイノシシの買取報酬だからアリスとエイシェルのものよ?」


「あのイノシシ美味しかったもんな……それくらいはいって当然だな」


「…….あの猿の魔物の報酬より高いのね……お金に困ったらイノシシ狩りかしら……?」


強いていえばフルームが一番喜んでるように思え、他は大した感想は出てこなかった。



「……おい、ちょっと待て……反応薄くないか?金貨150枚だぞ?何でそんなに反応薄いんだよ」


「あー……うん、確かにすごい大金なんだけど……」


「なんか昨日驚いたばっかりだから……」


「正直に言うとここ数日驚くことが多すぎて感覚が麻痺してると言うか……」


「あのイノシシは最高傑作だ。そのくらいなっててもおかしくないかなって思ってな」


「……さいですか……」



4人の回答を聞いたフラターは色々諦めた。この4人の感覚は壊れてしまったんだと。そう思う事にしたのだ。


「これだけの大金かあれば船で王都まで行けるんだけどな……」


フラターは思わず思ったことを口に出した。フラターがぱっと思いつく高価なものを言ったまでだった。

しかし、アリスとエイシェルにとって今の言葉は効果抜群だった。


「そうよ!航路!これで航路使えるんじゃない!?」


「そうか!確か……Cランクは金貨100枚、Bランクは金貨75枚だったよな?今何枚ある?」


「あれ?2人とも王都行くの?」


「あら?言ってなかったかしら……?魔法について調べるために旅をしてて、ヒントを探しに王都に行こうとしてるって……?」


「……あの時私、情報過多であまり頭働いてなかったから……。でも、聞いてない気がするなー」


「……あー、言ってなかった気がするな……。とにかく、金貨の枚数確認してみなきゃな」



アリスとエイシェルはよくよく思い返してみると、旅の目的は伝えていたが、次の目的地までは伝えていなかった。

しかし、目的地が変わることはないのでエイシェルとアリスは反省をしつつ金貨を数える。


「メルカさんから貰った金貨が2人で10枚、昨日の報酬が2人で50枚、今回の報酬が150枚だから……210枚!Cランクの乗船券2枚に届くぞ!」


「でもまって?フラムとフルームもいるのよ?2人はBランクだから金貨75枚でしょ?……2人で150枚、4人合わせると360枚必要になるわ。2人は金貨150枚なんてあるの?」


エイシェルが今まで貰った報酬をざっと計算してCランク2人分ならなんとかまかなえることがわかった。

食事や宿代は2人のもともと用意していたポケットマネーで何とかなるだろう。

ただ、今は4人パーティなのだ。流石に2人を置いていくわけにはいかなかった。


「あー……ちょっとその金額は厳しいかなー……」


「……今手元にあるのが60枚くらいかしらね……全財産って感じになるけど……」


フラムとフルームは最低限のお金で1ヶ月の冒険者修行に出ていた。その流れでそのままついてきてしまったため、貰った報酬程度の枚数しか残ってないのだ。

ただ、2人は奥の手があった。


「あ、でもパパの付き添いって事に出来るならAランク冒険者付き添いの金貨50枚に出来るかも。今回の討伐終わったから帰るはずだし」


「それでも2人で金貨100枚必要なんだよね……」


「そっかぁ……それじゃあ今は航路は厳しいかぁ……」


フラムの提案で少し減らせそうだったが、それでも4人で金貨300枚が必要になる。

今の手持ちは4人合わせても270枚。

そうそう金貨30枚の依頼など転がっているはずがない。今までの報酬がイレギュラー過ぎたのだ。


アリスが諦めるような発言をした時、エイシェルは不思議と急にとてつもない不安に襲われた。

早く王都に行かなければ取り返しのつかない事になりそうだと。


何か金貨30枚分を捻出する手段はないか考えているとセラスの言葉を思い出した。




『……お二方に関しては、本当はランクBにあげたかったのですが、まだ達成依頼数が圧倒的に少ないため、今後達成した依頼件数が規定数に達した時に改めてランクを上げさせていただきます』



これだ!エイシェルは閃いた。まだ船が出るまでに14日ほどあると聞いた。それなら、それまでにBランクに上がればどうか?

そうすれば、フラムとフルームはAランク付き添いが必須だが金貨250枚で足りる事になる。

半ば賭けのようになるが、それでもエイシェルは今回を逃したくなかった。


「……いや、今回の船に乗る」


「え?でも足りないじゃない?陸路で行くか、次回以降の船にしなきゃ……」


「いや、ダメだ。時間がかかり過ぎる。おれに案がある。フラムとフルームには悪いんだが……おれたちがBランクになるのを手伝って欲しい。あと依頼17件でBランクになれるんだ」


「ち、ちょっとエイシェル?何をそんなに焦ってるの?ゆっくり行けばいいじゃないの?」


「それは……と、とにかくおれは今回の船で行きたいんだ!」


エイシェルは言えなかった。アリスが何か別のものに変わりつつある。そんな兆候を先日感じた。

あと1ヶ月も悠長に旅をしてたらアリスはアリスじゃなくなってしまうかもしれない。そう思ったのだ。

アリス自身は気付いていないようで、指摘してしまうとまたアリスが不安になってしまう。

そんな事は出来なかった。したくなかったのだ。

そのため根拠にかけたただのわがままのような発言になってしまった。


……それでも想いは伝わった。



「やりましょう」


「フラム?」


「依頼を17件やるだけでしょ?確か、あと14日くらい?ちょっと前後するかもだから10日くらいで終わらせておきたいわね」


「10日もかからないよ!今日1件終わらせれば、明日から1日2件ずつ終わらせるとして、あと8日で終わるよ。私もがんばる!」


「ちょっと?フルームまでどうしたの?」


「ええーいいじゃん?最速Bランク冒険者が王都に行くってなんかカッコ良くない?」


フラムとフルームがやる気になってくれたのだ。


フルームがアリスと戯れてる間にフラムがエイシェルにそっと耳打ちする


「あなたがそこまで言うって事は何かあるのよね?私達も協力するわ。……もともと私達の乗船券が問題だったしね」


「フラム……ありがとう……」


エイシェルは心からフラムとフルームには感謝した。


「よし!それならすぐにでも依頼を探そう!」


「「おー!」」


「……なんか、置いてけぼりにされてる……。もー!わたしもやるわよ!」



方針が決まりアリスも吹っ切れたところで依頼を受けに行く事にした。

そして、この決断が後に大きな意味をもつことになるのだった。

買取始めてから終わるまでにかなりかかった気がします。。

次回、依頼を受けまくる

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