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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
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52.旅の目的

焼肉回!……のはずだった……!

エイシェルの誘導により焼肉店でお祝いをすることになった4人はコース料理が運ばれてくる前にそれぞれ気になることを確認していた。


「そういえば、フラムとフルームはどうして戻ってきたんだ?港町に用事があったはずじゃ?」


エイシェルは本当なら出会ってすぐ確認すべき内容を確認する。お祝いする流れになったので聞くタイミングを逃していた。


「そうそう!2人に会いにきたのよ。港町での用事はすぐ終わったから2人を探したんだけど見つからなくて、もしかしたらこの町に戻ってきたんじゃないかと思ってすぐに戻ってきたわけ。2人の旅について行くためにね」


「え?わたしたちの旅について来るって……どう言うこと?」


フラムが用件を伝え、アリスが疑問の声を上げる。旅の目的も何も話していないはずだ。何故ついてこようと思ったのかが分からず首を傾げるアリス。そこへフルームから説明が入る。


「お姉ちゃんも、私も、あなたたち2人に憧れてるの。私を助けてくれた時のような判断力。エイシェルが穴に落ちた時のアリスのような決断力。仲間を守ろうと絶対に諦めない強さのようなものを感じた。私達もその強さが欲しい。……一緒に旅ができれば私達に何が足りていないかがわかると思うの。だから……お願いします!」


「お願いします!」


フルームとフラムが真剣に頭を下げて来る。エイシェルとアリスはこの2人が本気なんだと理解した。ただ、そうなると色々覚悟しなくてはならない。


謎に包まれた勇者の魔法、エイシェルを襲った喋る魔物、勇者と魔王の存在。どう考えてもこの先安全とは言えないのだ。


今まで秘密にしていたことを話す覚悟。道中2人を危険に晒してしまうかもしれない覚悟。……考えたくはないが最悪な事態も覚悟する必要がある。

あの森で戦った猿の魔物よりも恐ろしい魔物が既にエイシェルを襲ったのだ。次に来たら無事では済まないだろう。


エイシェルとアリスは顔を見合わせ困った顔をした。何を言っても2人はついて来るだろうと思ったのだ。


「……はっきり言っておく。もしかしたら死ぬかもしれない。それでもついて来るか?」


「……2人がいなかったら、私は死んでた。私は助けられるんじゃなくて、助ける側になりたいの。……危険は承知。そのくらいの覚悟は出来てる!」


「私も覚悟はできてる。……それに、もう誰も見捨てない!例え私が犠牲になろうとも絶対に!」


エイシェルの言葉にフルームとフラムは自分の覚悟を伝える。案の定2人の決意は固かった。

そんな中アリスも2人に対して言葉をかける


「……誰が敵になるかもわからないわよ?それこそ世界中が敵になるかもしれない。それでもついて来ると言うの?」


(アリス……?)


突然スケールが飛躍する様なことを話すアリスにエイシェルは不思議に思った。そしてアリスの言った言葉を思い出す。








『ほんとうのわたしってどれだけ残ってるんだろうって……』






(まさか……本当に……)


エイシェルは突如不安に襲われた。そんなエイシェルのことは誰も知らず会話は進む。


「……それで試してるつもりならぬるいわよ?私は誰も見捨てない。世界が敵になるのであれば、共存出来る道を探すわ。絶対に孤立なんてさせない」


「……私は質問の意図が汲み取れてないけど……何があっても2人の味方でいると誓うよ」


「そう……。ですって?エイシェル、わたしたちも覚悟を決めましょう?」


「あ、あぁ……」


何を言われても揺るがないフラムとフルーム。全てを話して一緒に旅をするしか無さそうだと2人は思った。ただ、エイシェルはアリスのことがただただ気がかりだった。






「……あんなに真剣に話してたら運べないじゃないの……」


肉の準備はとっくに出来ていた。店員があまりに真剣な空気に近づけずにいたのだ。まだ続きそうだと店員は悟り、仕方がないので落ち着くまで他の仕事をすることにした。

そんなこととは知らず4人の会話は続く。







「まず、わたしたちが置かれている状況を伝えるわ。……ここから先は後戻りできない…….って言っても無駄ね。エイシェル?ちょっと痛いけど我慢してね?」


アリスはエイシェルの手をとりひらかせる。そしてナイフで自分の手のひらを軽く傷つけたのだ。


「な、何をしてるの!?」


「それ痛いやつだぁ……」


アリスの手のひらから血が出る。すると不思議なことにアリスが負った傷と同じ形の傷がエイシェルの手のひらにも現れたのだ。


「ヒール」


アリスはエイシェルの手にヒールをかける。

するとエイシェルの傷だけでなくアリスの傷も治ったのだ。


「……どう言うこと……?」


「アリスにキズができると、エイシェルにもキズができて……エイシェルを治すとアリスも治って……なんで……?」


フラムとフルームは混乱している。無理もない。このような事は普通あり得ないのだから。


「これがわたしたちが旅をする理由。ジェミニって言う勇者の魔法ってやつの効果らしいんだけど……」


「ち、ちょっと待って、勇者って1000年前にいたって言うあの?」


「私もあの伝記読んだよ!なに?勇者の生まれ変わりなの?」


「……生まれ変わりとか詳しい事はまだ分からないけど、1000年前の勇者と魔王が関係してるとわたしたちは思ってる。……わたしたちは突然同じ夢を見たの。勇者と魔王がジェミニの魔法を使って"生命力や痛覚を共有する"ことになったって。その夢の後から、わたしたちの"生命力"が共有されることになったの。当然片方が死ねばもう片方も死ぬわ。そんな状態になってしまった。だからわたしたちはこの魔法を解く方法を探しているの」



アリスはかいつまんで要点を説明する。

説明が足りない部分はあるが余計なことを話すより、まずは大枠を分かってもらおうとしたのだ。

ただ、ことがことなだけありフラムもフルームも頭がパンク気味だった。


「じょーほーせーりにじかんをください」


「……ごめん、ちょっと話について行けてない。なんで、勇者と魔王はそんな危険な魔法を使ったの?あと、何でそれがアリスとエイシェルに…….ってそこは分からないのか……」


「あぁ……何でおれたちがってのは心当たりがない。ただ、勇者と魔王が何でそんなことをしたのかはなんとなく見当がついてる。……恐らくだけど勇者と魔王はこの世界から魔法を消し去ろうとしてる。そのためには争ってきた魔族と人間族の協力が必要。強大な力を持った魔王は自ら勇者と、それこそ命をひとつにすることで人間族側に少しでも信頼してもらおうとしたんだと思う」


「ぷしゅー……」


フラムの質問にエイシェルが答える。そこでフルームの頭が限界を迎えた。


「……フルーム、壊れないで……私も同じ気持ちよ……。この世から魔法を消し去るなんて……いったい何のために……?」


「その理由も探してるのよ、夢が中途半端すぎて肝心な所がわからないのよね……。ちなみに、この魔法の効果の代わりと言っていいのか分からないけど、わたしもエイシェルも急に戦闘能力が上がったわ」


「おれなんてあの夢以降弓矢を外したことがないし、勇者の魔法も使えるみたいだ。ただ、この力せいであの森であった猿の魔物よりも厄介なのが現れて襲われた」


「……例の言葉を話す魔物ってやつね。この前は聞きそびれたけど、そんな魔物が……でも、倒せたんでしょ?それならそこまで危険な相手じゃないんじゃ……?」


「今回は勇者の魔法を使って倒すことができたが……2年前はおれの両親が殺された」


「!?……ごめんなさい。そうだったの……」


「それに勇者の魔法も万能じゃなくて、消費する魔力が尋常じゃないんだ。その結果、生命力が枯渇寸前まで無くなって死にかけた。当然生命力を共有しているアリスも死にかけたんだ。これからもそんなことが起こるかもしれない。だからおれたちが2人に確認した事は十分に起こりうることなんだよ」




フラムは神妙な面持ちでエイシェルの言葉を聞いていた。本当に危険なのだと。本当に死ぬかもしれないのだと。フラムに恐怖が襲って来る。


……ただ、その恐怖は以前感じたものとは別物であった。



「……怖いわね……。うん。怖いわ。ここであなたたちについて行かないと"2人を失いそう"で怖い!そんな危険が待っているのなら守る人が必要でしょう?私達にその旅、手伝わせてちょうだい!」



フラムはもう強くなっているのかもしれない。そうエイシェルとアリスは感じていた。

フラムの言葉を聞いてとても頼もしく思えたのだ。


「あ、お姉ちゃんずるい!私だって2人を守るって決めたもん!聞いたからにはついて行くからね!」


フルームも負けじと宣言する。2人とも頼もしい限りである。


「そういえば、伝記には勇者が魔王と差し違えて倒したって書いてあったと思うんだけど、今聞いた話だとけっこう違うよね?その違いってなにかわかってるの?」


「そこもこれから調査ね。夢の内容が事実なら、伝記は事実を隠すように作られているわ。本当はどんなことが起きたのか、そこも調べたいところなの」


「……考えることが多くておれも分からなくなりそうだ……」


フルームが伝記の内容との差異を気にしていた。アリス同様に疑問を持ったからだ。


目標が複数複雑に絡み合っている上に、先程のアリスの様子をみて、早く何とかしないとと焦り、エイシェルも頭がパンクしそうになったのであった。





4人が落ち着いたところで店員がやってくる


「…….あのぉ……そろそろいいですか?お肉持ってきました……」


空気を読んでずっと待っていた店員さんに4人が謝ったのはごく自然なことであった。

焼肉は次回に持ち越しです

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