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おれの、わたしの、痛みを知れ!  作者: えいりす
第二章 出会い
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5.街での目覚め

アリスのターン

夢を見ていた。何度も同じ場面を繰り返し。

あたかも誰かが何かを伝えようとしているかのように何度も何度も繰り返される。


(わたし……死んだのかしら……)


不思議と落ち着いた状態で考えることが出来た


(あぁ……18歳になったばかりなのに死んだんだ……旅に出て、もっと魔法の勉強をして、楽しいこともたくさんしたかった……恋もしてみたかったな……)


アリスが深い悲しみに暮れていると夢の内容が進展する












     ※ ※


『『全てはこの星の為に』』


勇者と魔王が煌めく光に包まれ閃光を放ち辺りを白く照らす。光が消えた部屋には何事もなかったかのように2人が佇んでいた


『しかし、よかったのか?魔王?わたしが死ぬとお前も死ぬんだぞ?』


『もう十分に生きた。それに、そのくらいせんと人間どもは安心せんだろ?長きに渡り魔王は悪の象徴とされて来たと聞く』


『違いない。わたしも世界中旅してきたから顔は知られてる。勇者と魔王が声明を出せばみんなも協力してくれるだろう』


『それでなくては困るのだ。文字通り命を賭けた賭けなのだから』


『ところで、この後各地をそれぞれ巡ることになるが、つぎはいつどこで落ち合おうか?また魔王城に来た方が良いか?』


『いや、流石にここは遠いだろう。1年かけて各地を巡り、ひとつひとつ説得してまわろう。周りを固めた後に人間族の王都には2人で行かねばなるまい。そこで、ノードゥスの出番だ』


『ノードゥス?』


『貴様は勇者のくせに勇者の魔法に疎いな……ジェミニの魔法を行使した後にパートナーの位置を確認できるものだ。厳密には、これは魔法ではないがな。魔力の消費なしで発動することができる。単に生命力の繋がりを気配で感じるだけだ。ちょうど1年後互いに位置を確認し中間点で合流しよう。近くに気配を感じたら私がこの魔法で場所を知らせる』


そう言って魔王は夜空に火球を放った。空高く上がった火球は空中で爆発しまるで大きな花のような模様を描いた。


『ほぁー…キレイだな。魔王って何でも知ってるんだな。わかった。また1年後に会おう!』


    ※ ※















この夢はどういうことだろう。1000年前に存在したと言われる勇者と魔王なのだろうか。

しかし、伝記には"勇者が魔王と刺し違えた"と記されていた。


(御伽噺じゃない……?そして事実が捻じ曲げられている……?いや、この夢自体ただの私の妄想って可能性も……)


アリスが夢の内容を考えていると急激に意識が遠のく


(あぁ……もう時間切れなのね……さようなら私……願うならば来世は大往生できますように……)









「……はぇ?……ここは……私の部屋……?私……生きてるの……?生命力も十分に回復してそう……時間は?朝8時、気絶してからだいたい10時間ってところかしら?」


アリスは冷静に現状を把握し、夢の内容や昨晩起きたことを踏まえ何が起きたのか整理していく


「まず、本を読んでる時にヘンテコな夢をみた。夜中に激痛が起きて、生命力が一気に無くなり気絶。再度ヘンテコな夢を見た。これが私に起きたこと。……次に夢の内容。魔王と勇者がジェミニの魔法とかいう勇者専用の魔法を使った。その結果勇者と魔王は生命力が共有され、痛覚も共有される……ほぅほぅほぅ……」


アリスは気付きたくない事に気付いてしまった


「私、この魔法にかかってない……?もう片方の人が昨晩何をしたかは知らないけど、めちゃくちゃ無茶したせいで死にかけたのでは……?」


アリスは頭をフル回転させ仮説を立てた


「そうなるとあの言葉よね……ノードゥス!」


言葉を唱えた瞬間、西方に気配を感じた


「!!……あちゃー……いちゃいますかぁー……」


アリスとしては単なる夢で終わらせて欲しかったがそうも言っていられなくなった。


「考えることが多すぎてパンクしそうだけど……まずは相方が何者で、何をしてこんな無茶をしたのか問い詰めないと……文字通り命がいくつあっても足りないわ……!」


このままでは死活問題と思い急いで旅の準備をするアリスであった。

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