38.できること
地上サイドのお話です
エイシェルが地震による崩落に巻き込まれ、アリスが穴へ飛び込んだあと、取り残されたフルームは狼狽し、フラムはフルームを落ち着かせようとしていた。
「2人とも落ちちゃった……どうしよう!お姉ちゃん!助けに行かなきゃ!」
「落ち着いて!穴に近づいたらまた崩落するかもしれない!落ちたら普通助からないわ」
フルームは涙を流し、どうしようもないことを分かっていながらフラムに助けを求めた。
フラムなら何か2人を助ける方法を思いつくかもしれないと考えたのだ。
しかし、フラムが残酷な現実を突きつける。
フルームはフラムの言葉に憤りを感じた。
「……なんでそんなこと言うの!助けたいと思わないの!?」
フルームにとって命の恩人なのだ。どうにかして助けたいと思うのは自然であった。
ただ、フラムも気持ちは同じだった。少し冷静に考えていただけなのだ。
「フルーム、落ち着きなさい。私は"普通"助からないって言ったの。例えば、私たちが追いかけたところで地面に衝突して終わりよ。だけど、あの2人が普通だと思う?」
「……思わない」
「あの2人ならどうにかなるはず。私たちが今するべきことは、2人が無事を信じて、助けるにはどうするか考えることでしょう?」
「!……そう……だね……」
フラムの指摘に素直に従うフルーム。少しだけ冷静さを取り戻していた。
もちろんフラムが言っていることは根拠がない。ただ、フルームを安心させるため、いや、自分自身も安心するために2人の無事を信じたのだ。
「おーい!無事かー?」
その時、1人離れていたメルカが合流する
「メルカさん!さっきの地震で地面が崩落して……エイシェルとアリスが落ちました」
「なんだって!?」
メルカは驚き辺りを見回すと地面に穴が空いているのを見つける
「……確か荷台にロープがあったはずだ。……正直どれくらい深いのか分からないが、何もないよりマシだろう。私がとってくる。街道に出てから馬に乗ればそんなに時間がかからないはずだ。ただ、あの海の大きなのが出たらおしまいだがな」
「私も手伝う!危なくたって、ここでじっとなんか出来ない!」
メルカの提案にフルームが応える。何もしないでいるよりも身体を動かしていた方が不安を忘れられる。知ってか知らずかフルームはメルカを手伝いに行くことにした。
海から来た何かよりも、何もせず後悔する方が怖いと判断したのだ。
「私は……ここでなにか出来る事がないか探ってみるわ」
フラムは自身でできることを探す事にした。2人とコンタクトを取れればなにかできることがあるかもしれない。
速やかに3人は行動に移した。
メルカとフルームは馬を引き連れて急ぎ街道へ足を進めた。
残されたフラムは慎重に穴へ近づき、穴の中を確認した。
「……あれ?何か浮いてる……?」
フラムがよく見ると大きな水の球のようだった。
「!……水をクッションにして底に降りたんだわ!それなら2人は無事ね!」
2人の無事が濃厚になり、フラムは喜んだ。
しかし、声をかける前に地の底で何かが這いずる音が聞こえた。
「……?何か音が聞こえる。落ちないように……もうちょっと中を……」
フラムは地面がさらに崩落しないようにと気をつけながら穴の中を確認した。
「!?」
確認した事を後悔するほどに絶望を感じ、恐怖からその場を飛び退いた。その姿が見えなくなってからも身体の震えが止まらない。
……海から来たであろう真っ白な大蛇が姿を現したのだ。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
穴の中から2人の叫び声が聞こえてくる。
フラムは恐怖で、いや、本能で身動きしてはならないと感じ何も出来ずにいた。
(な、なによあのバケモノ……あんなん……人間がどうこうできるものじゃない……今の叫び……きっと今はもう……)
フラムは悟った。あの2人は助からないと。
もし、見つかれば次は自分の番だと。
理不尽な現実に2人の無事を信じていたフラムの心は折れてしまったのだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
1人すすり泣く声が他に誰もいない森の中へ溶けていった。
ちなみに、今のところですが、出てくる巨大生物はすこしサイズを増してるところもありますが、近いサイズで存在していたものを参考にしています。世界にはいろんな生き物がいるんですね……!




