32.青空料理
野菜消費回です。
エイシェルはみんなに野菜スープを振る舞うため、アリスに協力してもらい料理をしていた。
「アリス、この鍋に水を頼む」
「はーい、ウォーターボール」
「アリス、この木の枝に火を点けられる?」
「はいよ、ファイアボール」
「アリス、野菜洗いたいんだけど」
「ほいさ、ウォーターボール。そんでもってシャワー」
エイシェルはアリスに水と火を提供してもらい料理をする。
「……なんというか」
「便利ね」
「一家に一台?」
依頼人のメルカさんとフラム、フルーム姉妹はそれぞれ言葉を発した。みんなある程度は魔法は使えるがアリスほど緻密で繊細な操作は出来ない。それに人によっては飲み水ひとつ出すのに疲労を感じる人もいる。
それなのに、あんなに高度に操る魔法をぽんぽん使うのだ。
この光景だけでもアリスが魔法使いとして優秀であることが伺える。
「エイシェルー?この鍋の火強くない?弱めようか?」
「え?弱めることもできるの?」
「うん。そーれ」
「「「…………」」」
外野の3人は考えることを辞めた。
そうこうしているうちにエイシェル特製の野菜スープが出来上がった。
「みんなお待たせ。熱いから気をつけて食べてくれ」
エイシェルはそう言いながら持ってきたお椀に野菜スープを入れていく。
エイシェルは料理を振る舞うために宿屋のおばあさんからお椀を借りてきたのだ
「これは美味しそうだな……」
「匂いがもう……」
「お腹すく匂いだよね」
「あぁ……手伝った甲斐があるわね……今日も食べれるなんて嬉しいわね!」
4人は各々感想を述べる。アリスに至っては昨日も散々食べていたはずなのにとても楽しみにしている様子だった。
「「いただきます!」」
アリスとフルームが我慢できないと言わんばかりに食べ始めた。
「あむ!………!?なにこれ!なにこれぇ!!?」
「はむ。……あぁ……いい……」
フルームは騒ぎ出し、アリスは恍惚とした表情を浮かべる。
「美味しい……これ本当に野菜スープなの?」
「驚いた。サッパリしてるかと思いきやしっかりとしたコクがある。でも具は野菜だからヘルシー……これは流行るぞ……」
アリスとフルームに遅れてメルカとフラムもスープを口にする。フルームは素直に驚き、メルカは不穏なことを言っている。
4者4様の反応をしているのを見て満足げなエイシェル。こんなに大人数で食べるのが久しぶりであったが、やはりいいものだと思った。
「すっかりご馳走になった。こんなに美味しいものを食べれるとは思わなかったよ」
「いえ、俺としてもみんなに食べてもらえてよかったです」
持ってきた野菜を消費し、あんなにたくさん作ったスープはいつの間にか無くなっていた。
……主に2人がたくさん食べたおかげで。
「うぷっ。もう食べられない……」
「そう?美味しいものは別腹って言わない?」
「アリス……。あなたのお腹どうなってるのよ……?」
「え?」
とても賑やかなひと時に思わず顔が綻ぶエイシェルだった。
次回、やっと話が進む予定です。




