3.村への襲撃
見直せば見直すほど修正が……
長いので分割
エイシェルが村の出入り口にたどり着くと大人の身長程あるイノシシの魔物が村の門を破壊しようと突進を繰り返していた。
既に駆けつけていた村の男衆が武器を持って入り口にバリケードを張っている
「おっちゃん!あいつが鐘のやつか?」
「おぉ!エイシェルも来てくれたか。見ての通りデカブツが一匹だ。こんな夜に来なくてもいいのになぁ」
両親が死んでから何かと面倒を見てくれる道具屋のオージンだ。道具屋に似つかわしくない程隆々とした筋肉が自慢らしい
「お前の弓で高台から狙えねぇか?俺の槍で突こうにも門の隙間からだと届かねぇ」
「あれだけ的が大きければ数撃ちゃ当たるって!おっちゃん!ちょっと行ってくるわ!」
「急所じゃなきゃ意味がねぇ。眉間を狙うんだぞ!流石のあいつも頭ぶち抜かれればおしまいだ!」
「いや、おっちゃん?あの高台そこそこ距離あるんだが……?」
ちょっと不安を覚えながらも門の横にある高台に弓を担いで登り魔物の様子を見る
「……暴れすぎだろ……このままだと狙えんな…」
どうする、こちらから仕掛けようにも暴れすぎて狙いが定まらない。……いや、もとより一発で仕留められるなんて思ってない。数撃ちゃ急所に当たるだろう……矢は有限だけど。まず一発だ、そう思い弓を構え目の前の獲物に集中した。
「...............?」
なんだ?いつも弓を引いている時と感覚が違う……身体がいつも以上にいうことを聞く気がする
「これならいけるかもしれない!」
魔物の動きを予測し直線上の1点を捉えた。
「ここだ!」
パシュっ
「グゴゴゴゴゴオォォ!!?」
ズーーーン
見事に魔物の額に矢が突き刺さり制御を失った魔物はそのままのスピードで門に激突し、そしてそのまま動かなくなった。
「おう!エイシェルやるじゃねぇか!正直狙えと言ったものの本当に一発で当てられるとは思わなかったぞ!」
はっはっはっと大きな声で笑うオージン。やっぱり無茶振りだったのかよ!
「これが俺の実力だっての!」
大きな声で返してやったが正直自分でも驚いている。なんというか、身体が軽いのだ。
仕留めた魔物を男衆で村の中に運び込んだところで魔物のお腹に模様があることに気付く
「なんだこの模様は……?」
それは突然だった
「……なっ?!!!」
突然模様が光り出し、黒い煙を噴出させたと同時に3メートル程の影が浮かび上がる
「なんだぁ?!おいみんな!そいつから離れろ!!」
オージンさんが叫び村のみんなが一目散に離れる。黒い霧が薄れて影の正体が露わになっていく。
「……!!あれはっ……!?」
「ば、化け物だぁ!!」
村のみんなが恐る。忘れもしない。あの大きな毛むくじゃらの身体。でかい猿のような魔物。2年前にエイシェルの両親が撃退した魔物だ。
「みんな!逃げろ!あいつは2年前に来たやつだ!お前らじゃ太刀打ちできねぇ!!俺が抑えてる間に避難するんだ!!」
村の男どもは村に危険を知らせる為その場から逃げ出した
「おい!エイシェル!お前も逃げるんだよ!」
「いやだ!俺も戦うっ!」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!!あいつは2年前に来た化け物だ!お前じゃ相手にならねぇ!!」
オージンの言う通りかもしれない。俺一人増えたところで何も変わらないかもしれない。でも多少は戦えるように鍛えてきたつもりだ。いつか両親の仇が打てるかも知れない。そう夢見て。オージンだって道具屋の主人があんな化け物とやりあえるなんて思ってないはずだ。
「……あいつは親の仇だ!この2年この日が来た時のためにと鍛錬してきたんだ。足手まといにはならない!」
「自惚れるんじゃねぇ!2年前におめぇの両親が守った命だ!もっと大切に……」
『ミツケタ』
オージンの言葉は魔物によって遮られた