27.手料理
手料理回です。
3人は一度ギルドに戻った。フラターは氷の塊を回収しないといけない為、回収の業者や解体の業者に手配をかける為一度別れる事になった。
どうも氷漬けになってるとちゃんと査定出来ないと言う事で買取の報酬はまた後日受け取る事になったのだ。
エイシェルとアリスはギルドから出るとやっと自由時間になったとばかりに羽を伸ばした。
なお、エイシェルは背中に野菜の籠を背負っている。
「ふぅー、おつかれさまー。このあとどうするの?」
「とりあえず宿探しかな。昼飯にしたいけど少し節約しないとだし、厨房借りれる宿を探すよ」
「あれ?エイシェルって料理できるの?」
「あぁ、一人で住んでたからな。ある程度は料理できるぞ?良かったら食べるか?ちょっと時間かかりそうだけど」
「え!いいの?」
「あぁ、もともと野菜が多くて1人だと食べきれないと思ってたしちょうどいい」
「やったぁ!」
アリスは食事代が浮くことと、エイシェルの作る料理が気になったため、ついていく事にした。
エイシェルとアリスはかなり遅めのお昼ご飯を食べるため、エイシェルの泊まる宿を探す事になった。
「あそこの宿はどうだろう?」
一見古民家のような外見をしているが宿のようだった
「なんか古めかしいわね」
「こういうところなら厨房貸してくれるかなと思って」
まずは聞いてみようと2人は宿へ入った
「すみません、少し聞きたいことがあります」
「はい、なにか?」
カウンターにいたのはおばあさんだった
「何泊か泊まりたいんですが、部屋はあいてますか?」
アリスの様子を見てたエイシェルは少しずつ敬語が自然に話せるようになっていた。
「空いてますよ。2部屋でいいかい?」
「いえ、1部屋です」
おばあさんがなにかニヤリとした気がした
「あ、あのー、私は別で宿を取ってるのでこの人だけですよ……?」
アリスはなんだか雲行きがあやしく感じた為すかさずフォローに入った。尚、昨日の宿は一泊だけだったので本日分は取っていないが、取っている事にしたほうがいいと感じた。
「あぁ、そうだったのかい。わたしゃてっきり……」
「あーー、あと聞きたいことがあるんですーー。ね、エイシェル」
「そうなんだ、ここの厨房を貸してもらえないかと思って」
アリスはわざとらしく話を遮り話題を変え、エイシェルは何事もなかったかのように話し出す。
(変に意識しないようにしてたんだからやめてよね!)
アリスはしばらくエイシェルと行動を共にする為、変に意識しないようにと気を付けていたのだ。
宿屋のおばあさんはつまらなさそうな顔をしたが、エイシェルの注文に少し困惑した表情を浮かべた。
「厨房……?別に、ちゃんと片付けてくれれば使っていいよ?」
「ありがとうございます!」
厨房の使用許可が下りてエイシェルはまず5日分宿を取った。
聞くところによるとしばらくは食事などは出しておらず素泊まりしか受け付けていないとのこと。見た目の通り設備が古いこともあって一泊銀貨1枚で泊まることが出来る
アリスも値段を聞いた時はこっちに移ろうか迷ったが、実際に部屋を見て考えを改めた。
余談だが、アリスは昨日泊まったところが他の宿よりも比較的高い部類である事に気付きリサーチする事に決めたのだった。
エイシェルは荷物を部屋に置き、厨房で料理を始めていた。アリスはずっと動きっぱなしだったので休ませてもらっている
少しエイシェルの部屋で休んでいたアリスが厨房に降りてくる
「おぉー、エプロン付けてるんだ!」
「あぁ、アリス。どうしても気付かないうちに汚れたりするからな。エプロンはあったほうがいい」
エプロンをつけたエイシェルは少し雰囲気が違った。弓を構えた時と同じように真剣な顔つきで料理を作っている。
エイシェルは野菜を鍋で煮ていたようでグツグツと煮えて美味しそうな香りがしてくる。
「あれ?これ、アク取らないの?」
アリスは当然不思議に思った為質問をする。
アリスだって料理の基本くらいは分かっているのだ。
エイシェルは、あぁ、そうかと言わんばかりの表情を浮かべ理由を話す
「あぁ、それはアクを取る必要のない野菜だからだ。アクには身体に良いアクと悪いアクがあるんだ。悪いアクを食べるとお腹が痛くなったりするが、いいアクは逆に身体にいいんだよ」
アリスは眉唾だったがあまりにも堂々と話すエイシェルを見て騙されたと思って食べてみようと思った。
しばらく煮込み野菜スープが完成した。
「一品だけど勘弁な。そのかわり量は多めに作ったから、もし気に入ってくれたらどんどん食べてくれ」
エイシェルの言葉にアリスは大した自信ねと思っていた。せめてパンを2人分買って来れば良かったかなと部屋で休んでいた事を少し後悔していた。
でも、せっかく作ってくれたのだ。文句ではなく感謝して食べる事にした。
「ありがとう。ごめんね、部屋で休ませてもらった上にごはん用意してもらって」
「いいんだ。ほら、せっかくだから暖かいうちに食べよう」
エイシェルはそういうとアリスにスープを勧めた。
「では、いただきまーす。…………んん!!?」
アリスはスープを口に入れ味わった瞬間に衝撃を受けた
「な、なによこれ!めちゃくちゃ美味しいじゃない!野菜だけなのよね!?」
「野菜だけじゃなく少し手を加えてる。まぁ、あとは少し時間かけたからな。これは村の薬屋のばあちゃん秘伝のレシピだ。バターとか使ってる」
「バター!?野菜スープにバター入れれば美味しくなるの!?」
「そんな単純じゃないんだけどな……」
エイシェルはアリスの食いつき具合に苦笑した。それと同時に作った料理にここまで喜んでくれたのを見て嬉しかった。
いつもはひとりで食べていた為、自分が美味しく食べる為に作っていたが、今日はアリスもいた為、いつもより気を使ったのは確かであった。
(……確かに、いつもより美味しいかもな)
一緒に食べる人がいるだけで、いつもより数段美味しくなった気がしたエイシェルであった。
誰かと一緒に食べるごはんっていいですよね
今は難しいですがいつかまたみんなで食べれるようになりますように(-人-)
これにて2章終わりです。
イノシシの買取が全然進まない……




