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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第二章 出会い
23/223

23.依頼達成?

続、山の中

アリスとエイシェルは依頼を達成した。

……のだが、依頼者に確認してもらう必要がある。

山の中で倒した為確認してもらう方法が分からず途方に暮れていた。


「……どうしよう……」


「……どうするかな。あのおじいさんに確認してもらうか?」


「ここくるのに1時間はかかったわよ?おじいさんの足だと何時間かかるか……」


エイシェルは、あのおじいさんなら1時間かからないんじゃないかと思ったが、沈黙は金なり。である。

提案したものの依頼者に来てもらうのはやっぱり違う気がしたので特にコメントはしなかった。


「ねぇ、エイシェル。この魔物を山の下まで……」


「運べないからな。というか分かってて言ってるだろ……」


エイシェルが冷静に突っ込むと、チッ。ダメか。といったような顔をするアリスだった。

時に無茶振りをしてみる。出来れば儲けものなので実は大事なのかもしれなかった。


「仕方がない。ここで少し解体して、素材を達成証明に使おう。出来れば肉も調達しておきたいところだが……」


「エイシェルはイノシシの解体できるの?」


「まぁ、猟師だしな。……まずは洗浄用に水が欲しいところだが……川は無いよな……」


エイシェルは初手で手詰まりを感じた。野生動物の皮膚にはダニなど害虫がかなりいる。場合によっては運搬中に害虫に刺され感染症にかかるなんてこともある。

血抜きもしないといけないがこんな何も無いところで血抜きをすると他の肉食獣が近くにいた時に臭いで誘き寄せてしまう。水で少しでも薄めたいところだが、飲水程度しかない為難しかった。


エイシェルが途方に暮れているとアリスが話しかけた


「水を出せればいいの?」


「水が川にいるように使えれば楽なんだが、そんな簡単に用意できるのか?」


「出来るわよ?はい。ウォーターボール。あ、シャワー状の方がいいわよね?」


アリスの目の前に水球が現れ、水球からシャワー状に水が流れ出る


「おぉ…これならきれいに解体出来そうだな。……というか、アリス。こんな便利な魔法あるなら水筒いらないんじゃ無いか……?」


「!?」


盲点だった。小さい頃から街外れの丘へピクニックに出かけていたがお弁当と水筒が定番であり、水筒を持ち運ばないという概念が無かった。さっきも水筒が空になったとしても魔法で水を生成すれば問題ない。

アリスにとって魔法は対象物に使うものであり、飲料としての用途は考え付かなかった


「……まぁいいや、血抜きするから少し水量増やしてくれ。……アリス?」


アリスは自身の固定観念を打ち破られた衝撃で固まったままだったが名前を呼ばれて、はっと我に帰った。そしてエイシェルに言われた通りにシャワーの水量を増す


「ありがとう。ちなみに水の温度って変えられたりするの?肉を持ち帰れるかもしれないし、出来るだけ冷やしたいんだが」


血抜きをしながらエイシェルはアリスに確認する。せっかくなら出来るだけ鮮度を保ちたかったのだ。自分で食べる事も考えている。


「出来るわよ?基本は火属性魔法の応用だから、熱を奪うようにすれば氷もできるわ」


「そうなのか……魔法って便利なんだな……ん?」

エイシェルは閃いた。


「なぁ、アリス。この水球を球の状態で氷に出来る?」


「んー、やった事ないけど……やってみる」


アリスはそういうと小さな水球を生み出し、その水球の熱を奪う

徐々に冷えていく水球。最後には見事な氷の球が出来ていた。


「出来たわね。……まさか、エイシェル?」


「御明察。このイノシシの魔物を氷の球で包んで転がそうかなと。出来るだけまんまるにして欲しい」


エイシェルはイノシシの魔物を氷の玉にして山を転がそうと考えたのだ


「なるほどね……あなた色々思いつくわね……大きいからちょっと時間ちょうだい。一回半球で作るわよ?ひっくり返してもう半分やるわ」


「それで構わない。頼むよ」


アリスは集中して魔力を注いだ。これだけ魔法を使っても生命力に余裕があるアリスは流石だった。


(転がせるならそのまま依頼者のもとへ運んだほうが良いからな……)


エイシェルは魔物を転がして山の下へ持っていくことに決めた。ここで解体すると持ち運ぶ素材を選ぶことになる。依頼者が納得する討伐の証明に足りない恐れが出てくるため、どうせならまるまる運んでしまおうと考えた。

……これで肉が手に入ると思ったのは内緒だ


「しかし、水で溺れさせることが出来るんなら、今後の討伐依頼楽なんじゃ?」


「そんなに簡単なものじゃないわよ?座標を定めるのにある程度は近づかなきゃダメだし、座標の固定に時間がかかるから、今回みたいに闇に包んでじっとしてくれる相手じゃないとダメね」


「そうか……、そう簡単にはいかないのかー」


エイシェルもできれば楽をしたいのだ。



アリスが魔力を込めてから10分くらいで半球の外側が凍ってきた。中は比較的まだ液体だが凍ってる部分は割れない程度の厚さの氷ができている


「やっぱり私が熱を操作できるのは作った水の部分だけみたいね……イノシシ辺りはまだ暖かいみたいで、わたしでは熱を奪えないわ」


水の熱を奪い続ければいつかは完全に凍らすことは出来るだろうが、それまでにはかなり時間がかかりそうだった


「いや、十分だ。ありがとう。……ちなみにひっくり返す魔法とかってある?」


「流石にあなたでも厳しいことくらいはわかってるわよ。アースニードル」


アリスは先ほど使った土のトゲの壁を半球の片側に生み出した。すると半球はひっくり返り器のような状態になる。


「はい。また半分作るからちょっと待ってねー」


「……魔法って本当に便利だな……」


エイシェルは魔法を無くすなんてとんでもないと思い始めていた。





しばらくすると、イノシシの魔物をカプセルした氷の球が出来上がった。


「これなら冷えてるし鮮度も保てそうだ。早速転がすかな」


エイシェルはそういうと氷の球を押した。当然重力があるので氷の球は山を下っていく。……徐々にスピードを上げながら。


「やば」


「アースニードル」


エイシェルは焦り、アリスは魔法で防波堤を作る。アリスの作った防波堤により氷の球は止まった


「あなたねぇ……まさかとは思うけど転がしてそのままって考えてないわよね……?」


エイシェルは、正直ふもとまで転がればいいと考えていた。

転がり始めた瞬間におじいさんの家を思い出し焦ったのだ。


「仕方ないわね……私に任せなさい!」


アリスは役に立てていることに喜び、少しずつ氷の球を転がして山を下るのであった

やっと下りました。次回はギルドに到着です

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