16.初めての依頼
本日2本目
依頼ボードの前まできたアリスは貼られた依頼を眺めた
「結構たくさんあるのね……」
一面に貼られた依頼。一枚一枚に依頼の内容が書かれていた。
「あ、薬草の収集依頼がある……う…量、3kgほど。条件、摘みたて(1時間以内)のもの。報酬、銅貨5枚……さっきの買取って実はすごくオマケしてくれたのでは……」
アリスが持ってきた量の倍以上かつ採れたてを指定しての銅貨5枚。受付の人がかなりオマケしてくれたとしか思えない金額だった。
「このままだとまずいわね……せめて今日泊まる分は稼がないと……ん?銀貨5枚?なになに……畑を荒らす大きなイノシシの魔物討伐……これなら出来るかしら……?」
アリスは報酬と内容を見比べて出来そうと判断した。両親に魔法を教わっていたアリスは火、水、風、土と一通りの魔法は使えるのだった。
「そうと決まれば誰かに取られる前に受けなきゃ!」
アリスは依頼の紙を手に取り受付のお姉さんの元へ向かった。
「こちらの依頼お願いします!」
意気揚々と依頼を受けようとするアリス。受付のお姉さんは依頼書を受け取る。
「はい。確認しますので少々お待ち下さい。…….ふむ……ふむぅ……申し訳ございません。アリスさんはこの依頼は受けられません」
「えっ?なんでですか?」
「依頼書の備考欄に書いてあるのですが、Eランク冒険者では危険なため、自信があったとしても2名以上で受けるようにと記載があります。ですので、この依頼を諦めるか、どなたかとパーティを組んで依頼を受けるようお願いします」
アリスは依頼書をよく見ると確かに記載がある。……とても小さく
(こんな端っこの小さい文字なんて読まないわよ!どうしよう……こんな条件の良さげな依頼他に無さそうだし……報酬半分になってでも誰か捕まえるしか……。ん?)
アリスはギルド内を見渡すと明らかにこの町の住人ではないであろう人を見つけた。
茶髪で背はアリスより少しだけ大きい少年。
体つきはかっちりしているが比較的細身の印象を受ける。ただ、一点特徴を挙げるとすると、その少年は"野菜"
を背負っていた。
「あの……あの本棚の所にいる"野菜を背負った人"も冒険者なんですか?」
「あぁ、あの方ですね?はい。アリスさんより少し前にいらして新規で登録された方です。」
(新規で登録……!ということは同じEランクね。それなら対等に喋れる!ツイテるわ!)
「ちょっと勧誘してきます!」
アリスはそう言い放つと野菜を背負った少年の元へ向かい話しかけた。
「こんにちは!あなたも冒険者なんですよね?急ですみません。依頼を手伝って欲しいのですが……お話聞いてくれませんか?」
挨拶した後に手を合わせしっかりと腰を折って頼む。
……からの秘技。上目遣い。相手は落ちる。
「え?お、俺に話して、ます?」
「他に誰がいるんですか?」
「あ……は、はい、まず話を聞かせて、ください」
(よし!)
「ありがとう!こっちまでお願い!」
アリスは少年が普通に話せる相手だと分かるとフランクな態度に変えた。
少年は緊張した面持ちだったが問答無用でアリスが手を引く。
「えっと、畑を荒らすイノシシの魔物の討伐なんだけど、Eランクの冒険者だと2人以上じゃないと受注できないみたいなの。だから一緒に受けてもらえたら嬉しいんだけど……どうかな?」
アリスは依頼内容を説明し少年の反応を伺う。
「その、イノシシの魔物の大きさは分か…りますか?」
「えぇっと……」
「依頼内容によると高さ2mほどある大きなイノシシの魔物のようです」
アリスが回答に困ったところを受付のお姉さんが回答してくれた。流石ギルド職員。しっかりと仕事をこなしてくれる。
「2m……結構な大物だな……。この前のヤツよりちょっと大きいかもしれない……」
少年がぶつぶつ言っているがアリスはよく聞き取れなかった。
(まずい……!そうよね、そんなに大きな魔物相手だと普通躊躇うわ……登録したてなんだからなおさらのこと……!どうしよう、なんとかフォローしなきゃ)
アリスはどうすれば受けてくれるかを考える。
(そうよ!もともとわたし一人で受けるつもりだったんだし着いてきてもらうだけで良いってことにしよう!それなら……ワンチャンある……かな……?)
アリスは咄嗟に思い浮かんだ案で行こうとするものの、本質的には何も変わらないことに気づく。現地に向かうということ自体危険を伴うのだ。アリスの実力も知らない少年にとってはただ危険地帯に向かうだけである。
……それでも他にこの場を乗り切る方法が分からない為ダメ元でお願いした。
「えぇっとー……どう、かな……?討伐自体はわたしがやるから一緒に受注してくれるだけでいいんだけど……?」
アリスは少年の様子を見て心配そうに確認する。たとえ報酬が半分になってもこの依頼を逃すのは惜しいのだ……!
「……分かりました。俺も依頼を受けます」
(え!ほんと!?)
「やったぁ!ありがとう!上手くいった時の報酬は半分こでよろしくね!」
「ただ、俺にも討伐やらせて、ください」
意外にもやる気になっている少年にアリスは嬉しくなる。
なんとなく言葉遣いも無理してるなと感じていた為普通に話してもらおう
「うん!よろしく!……あと、敬語じゃなくていいわよ?なんか喋り辛そうだし」
「そ、そうか?それなら助かる。あまり慣れてなくて……」
少年を引き込むことに成功したアリス。これで今日の宿代は稼げたことになる。
「お姉さん!この依頼2人で受けます!」
元気よく宣言するアリスに受付のお姉さんも微笑む
「ふふ…でも気をつけて下さいね?相手はDランク相当の魔物です。手慣れた冒険者でも手傷を負うこともあります。危なくなったら逃げて下さいね」
「「はい!」」
2人は元気よく答え、依頼者の元へと向かうのであった。
やっと合流出来ました。ただ、話進めるのはもうちょっとしてからです。
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