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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第四章 王都防衛戦
119/224

119.転生

3日連続投稿!

今回も説明回です!

「転……生……?」


「そんな事が……?」


 アリスとエイシェルは予想外の回答について行けなかった。当然である。いくら魔法が便利と言っても転生なんて普通は出来るはずがない。そもそも、そんな魔法があるのならみんな使っているはずだ。そんな事を考えていると魔王が続けて話し続ける。


『そう。記憶を持ったまま次の生を始める事が出来る。そんな魔法。……これ一族にしか伝わらない禁忌魔法って言われてて、本当は使っちゃダメって言われてるんだけど、当時はそんなん知るか!?って1000年後に転生してやる!って使っちゃったのよね……』


「……それで1000年後に……あれ?でも転生って今のような状態なのか?普通に考えたら魔王ひとりで赤ちゃんから始める事になると思うんだが。なんでアリスの中に?」


 魔王の説明を受けエイシェルは疑問に思った。今の状態を作っているのがその魔法だとすると転生が上手くいっていないように思えるのだ。


『そこよ。なんで私だけじゃなくこの子もいたのかが分からないの。もちろん私も赤ん坊の頃からいるにはいたわ。ただ、映像を見てるだけの傍観者だったけどね。色々動けるようになったのはこの子が誕生日を迎えてから。多分だけどちょうど1000年経ったんじゃないかしら?普通は意識、記憶が混ざり合って思い出すように同化する筈だったんだけど……主導権はこの子にあって、今はこの子の中でもがくことしかできないもの』


 魔王の説明を聞きアリスはぞっとした。もしかしたら自分がなくなっていたかもしれないのだ。身体を乗っ取られるかもしれないと考えていたが本当に危なかったようだ。


『……さっき魔法の解き方は分からないって言ったわよね?それは間違いないんだけど、今の状態になった原因はなんとなく見当がついてる』


「ジェミニの魔法……」


『ご明察』


 魔王が原因について心当たりがあると話したところでアリスが呟く。解く方法すら分からない魔法な上、転生時に復活してるのだ。どのように影響しても不思議はなかった。


『普通レナトゥスの魔法は発動させたひとりだけが対象のはず。にも関わらずエイシェルの中に勇者までいた事を考えるとジェミニの魔法が影響してるのは間違いないわ。……まったく面倒な魔法を使ってしまったわ……私の答えられるところはここまでね……。ところでこれいつ終わるの……?』


 魔王が質問したことでエイシェルとアリスは気付いた。自分達が質問をし続けていた事に。


「「あれ?」」


「あれ?じゃないわよ。さっさと戻ろうと思ったのに。……どうなってるのよ?」


 3人は転魂箱の効果が終わらない理由を考えた。そして言い合って気づかなかったがひとつの仮説が出来上がる。


「もしかすると……アリスの質問に答えてないからか?」


『「え?」』


 よく考えてみると確かにアリスの質問に答えていなかった。全てエイシェルが質問するか魔王が勝手に喋っていたのだ。


「道具の使用者が質問し、それに答えてもらう。本来の用途は自分の分身に自問自答するものだから他人が質問することを想定してないんじゃ……?」


『なによその欠陥。じゃあ早く質問を……』


 そう言ったところで魔王は止まった。自由に話せる今の状態を放棄して良いのかと。魂が箱に移っている分リスクはある。箱が壊されれば魂がどうなるか分からないしただでさえ感情のコントロールが難しいのだ。しかし、それは大したリスクではない。箱は破壊が難しい素材で出来ているようだし、感情のコントロールは訓練すればいい。将来的に箱から別の何かに魂を移すことができるかもしれない。そうなれば自由に動けるようになるのでは……?魔王はそう考えて言葉を切ったのだ。そして、魔王は提案する。


『ねぇ、2人とも?このままにしておくのはどうかしら?』


「え?」


「いいのか?」


『その子の質問には答えられないけど、なにか役に立てるかもしれない……なによ?』


「いや、その……ありがとう」


 魔王が協力してくれる事が意外だった。正直に言うとそんな感想だ。アリスは意外だったと言いたげだったが言葉を飲み込み素直に感謝を伝えるのだった。


 ひとり仲間が増えた事を報告しに女子3人部屋へ戻ってみると何故か怯えたフラムとフルームがいた。話を聞くと、どうやら風呂に行こうとしたところでエイシェルの部屋から言い合う声が聞こえたようだ。2人は心配になり扉越しに話を聞こうとしたのだが、よく声を聞くとアリスがひとりで言い合いをしているように聞こえ本気で心配になったのだ。

そこでなんだか怖くなり部屋に戻って来たとの事。


「2人とも……わたしがおかしくなったと思ったわけね……」


『実際おかしくなったじゃない?』


「……今はややこしくなるからやめて」


「やっぱりおかしくなっちゃった……」


「アリス……辛い事があるなら相談乗るからね。ひとりで会話するの辞めよう?」


「違うって!?」


 ひどい誤解をされたアリス。本気で心配する2人がアリスを可哀想な目で見る為さっさと紹介する事にした。


「これよ。こ れ !」


 アリスの手には転魂箱が握られていた。不思議に思った2人が質問する。


「え?だってこれ使えなかったんじゃ……」


「勇者出てこなかったよね?」


「実は、その中に魔王が入ってるんだ」


 フラムとフルームの質問にエイシェルが答える。アリスや魔王が答えるとまたややこしくなりそうだった為仕方なく答えるのだった。


「魔王が……?」


「え、その箱の中にいるの魔王なの?」


『……ご想像にお任せするわ』


 アリスの声が箱の中からすることにフラムとフルームは驚いた。しかし、先程のアリスのひとり芝居のようなやりとりを思い出し納得した。ただ、フルームの質問に対して歯切れの悪い回答をする魔王にその場にいた4人は不思議に思う。そんな中アリスが話し始めた。


「それより聞きたい事を聞きましょう!なんで魔法を無くそうとしたのか教えて欲しかったの!エイシェル聞いてもらえる?」


『…….あなた頭良いんじゃなかったかしら?さっきの質問答えられなかった意味をわかって欲しいのだけど……』


 アリスの質問に魔王が呆れてしまう。もはや振りかと思うくらい清々しいミスをしてしまった。

 魔王の話を受けてエイシェルが気付き説明し始めた。


「……なるほど。そういうことか。まずフラムとフルームに話しておかなきゃな。魔王がこのまま旅に同行してくれるらしい」


「箱のままってこと?」


「そう言う事だ。でも、この箱は条件付きで、ひとつだけ質問に答えたら効果がなくなる。そこまでは分かっていると思う」


「そうね」


「その肝心の条件なんだが、箱の使用者、この場合アリスになるが、アリスの質問に答えなければ箱の効果が続くらしい」


 エイシェルの説明にフルームとフラムが合いの手を打つ。エイシェルが肝心の条件を口にした瞬間2人とも今なにがまずかったのか理解した。


「……だからアリスはエイシェルに聞くようにって言ったのね」


「でも、もう答えられないね」


『理解が早くて助かるわ』


「え?どういうこと?」


 ひとり置いてけぼりにされたアリスは説明を求めた。そこへエイシェルが続けて説明をする。


「つまり、最初にアリスが"あなたは魔王ですか?"という意味の質問をしたけど、その質問がずっと有効になっている可能性があるってことだ。他の人から同じ質問をされて答えたらその有効になっている質問にも答えた事になってしまう。そうなると箱の効果は終わるんじゃないかなと。……それでだ。今さっき"魔法を無くそうとした理由を知りたい"ってアリスが言った。直接的な質問では無いにしろそれは知りたい事だ。それに答えてしまったら箱の効果がなくなるかもしれない。だから答えられない。というところかな」


 エイシェルの説明にアリスはきょとんとしていたが、意味がわかるやいなや慌て出した。


「そ、そんな!じゃあ理由を聞いたら箱の効果が消えちゃうって事?」


「その可能性が高いな」


 ただただショックである。簡単に答えが手に入るはずだったのに自分のせいでその機会を失ってしまった。アリスは今後の対応についてすぐに考えた。

 まず考えるのが今後の助力を断って答えを得る方法だ。もともと一回使ったらおしまいと考えていた為これでも良いのだ。しかし、聞きたい事はまだまだある。今後も助力を願う場面も出てくるかもしれない。そう考えると一番の選択とは言えない。

 次に思い浮かぶのがしばらく同行してもらい頃合いを見て教えてもらう案だ。しかしこれではいつまで同行を続けるのかがわからず、それまで魔法を無くそうとしている理由がわからない。ただ問題を先送りしているだけの消極的な案となる為、この案の採用はない。

 そうなるとどうするのが一番良いのか。答えも聞けて魔王からの助力も得られる方法。そんな方法があるのか。そう考えた時にふと閃いた。この転魂箱を売ったステラはこの箱を作ったと言った。つまりもうひとつ作る事が出来るはずである。値段は高いが答えを得られるなら安いものである。つまり、最適解としては魔法を無くそうとした理由を答えてもらい、新しい箱に入ってもらうこと……いや、もし可能なら新しい箱へ勇者に入ってもらい、勇者から聞くことだろう。もし勇者からも協力を得られるならそれが一番だ。

 珍しく頭をフル回転させたアリスはまとめた考えを提案をした。


「ねぇ、この転魂箱をもうひとつ買うのはどう?魔王さんを新しい箱に移してもいいし、魔王さんをそのままにして勇者さんに入ってもらうとかも出来るかなって」


「なるほど……。同じように勇者を呼び出して魔法を無くそうとした理由を他の人に質問して貰えばいいのか。いいんじゃないか?」


「いいと思う!私勇者の話も聞きたい!」


「私も話を聞いてみたいわ」


『なるほどね。それが叶うなら是非とも頼むわ。文句言いまくって1000年分の鬱憤を晴らしてやるわ。ふふふ……』


 その提案を聞いた他の4人の反応は好感触であった。ひとり恐ろしい事を言っているが気にしない事にしよう。そう思うアリスだった。


 方針が決まったところでお開きとなる。転魂箱はアリスに預けられ肌身離さず持ち歩く事になった。また明日道具店に行くことになるのだが、この時ステラとの再開がもう少し先になる事を誰も想像できなかった。





「そういえばエイシェルとなんもなかったの?」


「ん?ワンピースもらったわよ?」


「そうじゃなくて、フルームの聞いてる意味わかるでしょ?何か進展なかったの?」


「……いや、特には……」


『……この子いきなり生着替え始めようとしたわよ?』


「「!!?」」


「ち、ちょっと!!!」


 寝る前にいつものやりとりが始まる。そこへ魔王も加わるのだった。

やっと部屋での話終わりました。次回からまた街に繰り出します。

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