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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第四章 王都防衛戦
118/224

118.不安定

2日連続投稿です!

『さっきっから黙って見てればいちゃいちゃいちゃいちゃ……もっと話す事あるでしょ!!?』


 突然机の上の転魂箱から怒号が飛んできた。予想外の展開に呆気に取られてしまうエイシェルとアリス。しかし、その声はアリスの声そのものであった。不思議に思っていたところでアリスが何かに気がついた様に話し始める。


「え、えっとー……もしかして魔王さん?」


『……それ答えていいの?答えたらこの箱の効果なくなっちゃうんでしょ?』


 アリスが質問すると声の主は質問で返す。どうやら正解のようだが確かに答えてしまったら箱の効果が消えてしまう。律儀に2人のことを気遣っているようだった。


「そ、そうだった……え?気になること多過ぎるんだけど……質問出来ない……」


『……別に質問しても良いわよ?私ってすごく捻くれてて、素直じゃなくて意地悪で教えてくれないんでしょ?』


「ぁぅ……それは……その……ごめんなさい」


 先程アリスが言った言葉をそっくりそのまま復唱する魔王。箱に魂が移って何事かと思ったらそんな事を言われたのだ。喋る気も失せよう。その為、エイシェルが勇者の魂を箱に入れようとしてもダメだったのだ。


『私と話したいってあなたが口にしたから箱に吸い込まれたんだからね。なんでそんなこと言われなきゃならないのよ』


「それはごめんなさい……」


 アリスはひたすらに謝っていた。しかしよくよく考えてみたら自分だけ一方的に謝っていることに気付き、少し腹立たしくなった。そもそも、魔王があんな事をしてこなければアリスだって文句は言わなかったのだ。考えるうちにどんどんイライラしてきたのだ。


「……でも、あんな事されたらわたしだって文句は言いたくなるわよ。少しくらいの文句いいんじゃないかしら?」


『……確かに、あの時は悪かったわ。きっと他にも方法はあったわね』


 アリスの文句に魔王が素直に謝罪した。ここで終わればいいものをアリスはエスカレートしていく。


「それに私の口調を真似しないでよ。あの夢の時みたいに話せばいいじゃない」


『好きでこの喋り方してるわけじゃないわよ。あなたと魂が混ざったんだからしょうがないじゃない』


 さらっととんでもない事を言う魔王。それを受けてアリスは動揺してしまった。その様子を見た魔王はさらに言葉を続ける。


『あら?気付いてなかったの?私達の魂は一部混ざり合った状態なのよ。だから知らないはずの知識や記憶があったり、無意識に口にする内容も私寄りの発言が出たりする。それに私が前に出ようとしたり離れると感情が不安定になるわね。さっきみたいにね』


 さっきと言うのはアリスがエイシェルを誘惑していた事だろう。普段のアリスからは想像も出来ない行動である。

 話していた魔王も先程の光景を思い出したのか急にイライラし始めた。


『だいたいなんなのよ?いきなりいちゃいちゃし出して。どうせなら見ていないところでやりなさい。最初は我慢してたけど見てたらイライラするのよ』


「い、いちゃいちゃしてたわけじゃ……」


『しーてーまーしーたー!もう恥ずかしいくらい誘惑して……』


「ゆ、ゆゆ誘惑なんてしてないし!別にいいじゃないの!ちょっとテンション上がっちゃっただけなんだから!というか箱なんて気にするわけないじゃない」


『ちょっとテンション上がったくらいであれはやばいでしょ!どうせいつもみたいに後でやっちゃったーとか言ってごろごろするんでしょ?!』


「いつもってなによ!わたしの事知ったように言わないで!?」


『全部知ってるわよ!!……あなたが生まれてからずっと一緒にいるもの』


「っ!」


 魔王が急に優しく言うとアリスは返事に窮してしまう。楽しい時も辛い時も、悩んでいる時もずっと一緒にいた。魔王にも人並みな感情があることは船の一件で分かってる。つまり魔王は多少差はあれずっと一緒に同じような感情を抱いていたのだろう。


『……いけない。私まで感情が制御出来なくなってる。それで?何か聞きたい事があったんじゃないの?』


 魔王はハッとし自分もアリスと同じく感情のコントロールが出来ていないことに気付く。さっさと終わらせようと思い仕切り直すことにした。


「聞きたいことは山程あるけど……。まずは魔法よね……。エイシェルもそれでいい?」


 先程まで空気と化していたエイシェルに話が振られる。アリスと魔王が言い合っているところに割って入る事ができずにいたのだ。やっと話に入れると思い喋り出した。


「あぁ。ジェミニの魔法を解く方法を教えてほしい」


 エイシェルはアリスに同意し、ジェミニの魔法の解き方を魔王に聞いた。しかし、帰ってきた答えは意外なものかつ絶望的なものであった。


「知らないわよ』


「「え?」」


『普通どんな魔法でも術者が死ねば魔法は解ける。それが1000年経った今になって魔法が"復活"した。こんなの異常事態よ。私の知識じゃお手上げだわ」


「そんな……」


 絶望するエイシェルとアリス。アリスは感情が不安定になっている事もあり絶望を色濃く感じているようだった。


「なにか……なにか気になることとか。ないか?例えば1000年後に復活した理由とか……」


 エイシェルは諦めきれなかった。なにかヒントとなるものはないかと魔王に追加で質問をしたのだ。


『……そうね。心当たりがあると言えばあるんだけど……』


 歯切れの悪い回答をする魔王。どうやら何かを知っているらしい。そして、それはこの世界の仕組みを理解しているからこそ出来る業であった。


『レナトゥスって魔法知ってるかしら?』


「知らないわね」


「知らないな。勇者の魔法なのか?」


『いいえ、勇者の魔法は12星座を冠する魔法。……レナトゥスは転生の魔法ね』

まだまだ続きます!

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