115.パーティ会議
真面目な話回です!
夕食を終えたエイシェルとフラムが部屋に戻って来たところで本題に入る事になった。……エイシェルとアリスがそれぞれ顔を赤くし気まずそうにしているのは仕方がない事である。その様子を見たフラムとフルームはお互い目でよくやったと言い合っているように見える。しかし、そのような状態では話が進まない為、仕方なくフラムから話を振る事にした。
「えっと、まず確認なんだけど、エイシェルの中に勇者の魂が入ってて、アリスの中に魔王の魂が入ってるって事で間違いない?」
「あぁ」
「えぇ」
話が始まったのをきっかけにエイシェルとアリスは真面目な顔に戻りフラムの問いかけに間違いないと回答する。
それをきっかけにエイシェルとアリスが話し始めた。改めてきっかけから話し最初は誕生日に不思議な夢を見たところから話した。そこで実はエイシェルとアリスの誕生日が同じ日だと言うことに本人たちは驚いていたが、他は以前に説明した通りである。
追加された説明としてはアリスが魔王に身体を乗っ取られようとしていたこと。その侵食が思いの外早く、その為に王都行きを急いでいたこと。船の上で二人揃って体を奪われていたこと。何故かは分からないが魔王はもうアリスの身体を乗っ取る気がないことがあった。
「……なるほどね。だからエイシェルは無理矢理にでも今回の船便に間に合わせたかったのね。言ってくれればいいのに」
「そうだよー。水臭いなー」
「2人ともごめん。なんて説明していいのか分からなかったんだ。あと、何も聞かずに協力してくれてありがとう」
エイシェルはフラムとフルームにお礼を言った。理由も聞かず協力してくれた2人には感謝しかない。
「わたしも知らなかった……心配させちゃってごめんね。ありがとう。でも、もう心配ないからね!」
「これで当面は急がなくても良さそうだ。今のおれとアリスの目的を整理すると、ジェミニの魔法を解く方法を探すこと、勇者と魔王が魔法を無くそうとしていた理由を探すことの2つになるな」
そう、未だに勇者と魔王が魔法を無くそうとしている理由がはっきりしない為どう行動して良いものか分からない。分かった事といえば勇者と魔王は伝記に書かれたような敵対する関係では無かったことだ。勇者と魔王の会話や伝記の内容から察するに人間側で何かキナ臭い事が起きたと思われる。その為今日会ったステラが言っていた集団。それがいつから組織されていたのかにもよるが警戒した方がいいだろうという話でまとまった。
そのあとすぐにアリスは提案する。
「その、魔法の解き方や勇者と魔王が魔法を無くそうとしてた理由なんだけど……それって本人達に聞けないかな?」
「それはおれも考えてた。……胡散臭いけど、すごく胡散臭いけどあの道具屋で買った箱が使えるなら解決出来る。……ただし、どちらか片方に質問ひとつだけだが」
うまい話すぎるが今日買った転魂箱が使えそうだ。ただし、質問はひとつだけ。しかも、説明を聞く限り場合によっては答えてくれない事もあるようだ。
「わたしは……できればまた魔王さんと話したいけど……でも答えてくれないかもしれないんだよね?そうなると勇者さんにお願いする事になるのかなぁ……。魔王さんってすごく捻くれてて、素直じゃなくて意地悪で教えてくれないとかしてきそうだから……」
アリスは魔王ともう一度話したいと思っていた。次ならちゃんと会話ができる。そんな気がしたのだ。ただ、今は確実に答えをもらう必要がある。そうなると最初から協力的であった勇者の方が都合がよかった。
「そうだな、後で試してみよう。……これでおれたちの話は終わりだ。何か聞きたい事があればわかる範囲で答えるが……」
「大丈夫。だいたい理解できたわ」
「私も。後で箱使おうね」
エイシェルが話し終わり、何か質問があればと促すが特に無いようだ。
フラムとフルームが話す場に変わり2人は少し緊張しているように見える。エイシェルとアリスはもともと事情があった為察しがついたがフラムとフルームについては何も事前に得られる情報がないのだ。ずっと話せずにいた為少しバツが悪い。そもそもだがどう説明しようか悩んでいた。
フラムとフルームはお互いに目で会話しコレしかないと言った目をした。
「見せた方が早いわね……と言っても前に2人が見せてくれた事と同じ事をするだけなんだけど……ヒールしないでね?」
フラムがそう言うと腰に刺したナイフを右手で逆手に持ち、左の手のひらを切りつけた。ナイフの跡に沿って血が滲み出る。それに続きフルームも同じ事をした。
「お、おい!?」
「ちょっ!?なにしてるの!?」
「いいから。……この程度ならすぐでいいかな」
フラムとフルームがハンカチで血を拭うと、そこにはあったはずの傷がキレイに無くなっていた。エイシェルとアリスがマジマジとフラムとフルームの手を見るが血が出ていたのが嘘のように傷が無くなっていた。
「え?え!?どういうこと!?」
「傷が……ない?」
「あー、あの頃の私達と同じ反応だわ」
「びっくりするよねー」
以前にエイシェルとアリスがジェミニの魔法について説明をする際、アリスが自分の手のひらを傷つけた事があった。急にエイシェルの手のひらに傷ができたり治ったりしたのを見て驚いたものだ。今回は全く同じ事をやっただけだが、フラムとフルームの身体のことを知らないエイシェルとアリスはまんまあの時のフラムとフルームのように驚いたのだった。
その後すぐにフラムとフルームから説明が入る。ワイバーン、もとい、ドラゴンの幼体と戦った時に大量の血を浴びてしまい、その血を飲んでしまったこと。その血の効果で傷がすぐに治癒される事。フラターも同じ境遇にいる事。恐らく老化スピードが遅くなる事。クラーケンとの戦いでフルームの身体がすぐに良くなった事に関係している事。この時、すぐに身体が治癒するといっても限度があり薬が無かったら危なかった事はキチンと説明するのだった。
「そんな状態になってたなんて……」
「元に戻る方法は……分からないんだよな」
「えぇ、どうすれば元に戻るかは分からない。叔父さんは呪いだと思ってるって言ってた。……昔パーティが全滅した時にひとりだけ生き残ったみたいで相当心に傷を負ったみたい……まぁ、この血のお陰で叔父さんもフルームも生きてるから悪いことだけじゃないんだけどね」
「私の場合はこんな身体になっちゃったけど、お陰であの時の攻撃を受けて今生きてるから、むしろ感謝なんだよねー。なんか気に病んでそうな反応だったけど2人は気にしなくて大丈夫だからね!」
アリスとエイシェルは自分達と行動したせいで2人が変わってしまったと思い自分達を責めるような考えが浮かんだが、フラムとフルームが前向きに考えている事もあり少し救われた。
フラムとフルームは念のためフラターが話したように他の人には知られてはいけなさそうだと2人に話しておいた。人によっては望んで手に入れようと考えるであろう。それこそどんな手段を使ってでも。フラターからの話を聞いたエイシェルとアリスはますます国の組織が怪しく思えてしまうのだった。
もうちょっと続きますー




