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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第四章 王都防衛戦
113/224

113.武器・防具屋

2日連続投稿です!

 メルカがお祝いをくれると言うことでフルームの剣を見に行く事にした4人。店の中に入ると一階には剣や弓、杖など攻撃に使う道具が並べられている。案内の看板を見たところ二階は防具が売っているようだ。

 剣が売られている区画へ行くと様々な剣が並んでいる。その中には一見実践に向かないであろう装飾が施された物まである。客引きの為なのかとても目立つところに置かれていた。


「この剣使い辛そう……」


「これは飾るための剣ね……って高っ!?」


 フルームとフラムがその装飾が施された剣を見て驚きの声を上げる。剣一本の値段が金貨1000枚もするのだ。もし手元にあったとしても恐れ多くて振るう事が出来ないだろう。

 2人がその値段に驚き固まっているとエイシェルとアリスもその後ろで固まった。


「……なんというか、使うのを躊躇しそうで逆に危険だな」


「というか、武器として使うことは想定されてないのでは……?」


 4人は見るための剣に呆気に取られた。武器なのに武器として使えないのであれば、たとえ金貨1000枚だったとしても4人によっては価値はない。

 気を取り直して実用的な剣を見ることにした4人。実用的な剣もピンからキリまであり、長さ、重さ、剣の厚みなどの違いから様々な種類がある。

 その中からフルームは標準的な剣を手に取った。フルームが持っていた剣よりも若干細く、フラムの持っている剣と似ている。


「この剣は……お姉ちゃん向きだね。私はもうちょっと重い方がしっくり来るかな。また折れても困るし」


「私はこのくらいの方が扱いやすいけどね。フルームの剣は……使えないほどではないけど私には重かったなぁ。これなんてちょうどいいんじゃない?」


 フラムがそう言うと少し離れたところにある剣を手に取った。それはフルームが以前に使っていた物と似た形状をしている。


「おぉ!……でもせっかくだから違う剣も試してみたいけどなー」


「慣れた剣にしなさい。いざという時に感覚が違うから上手く扱えないとかシャレにならないわよ?で、どう?」


「うーん、うん。コレが扱いやすいかも。コレにしようかな」


 結局フラムが手に取った剣を選ぶフルーム。流石姉妹といったところか、お互いの相手の好みを熟知していた。

 そんな様子を見ていたエイシェルとアリスは先程同様に固まっていた。


「ねぇ、エイシェル?あの剣の違いって分かる……?」


「いや、全く……。同じに見えるのはおれだけかと思ってちょっと焦ってたところだった」


「だよね。……わたしなんて2人の剣を持たせてもらったけど、重さの違いなんて分からなかったわよ……」


 剣士にしか分からない微妙な違いのようだった。ちなみに選んだ剣は金貨10枚と書かれており、剣としては標準的な価格のようだ。

 剣はそうそう買い替える物ではないらしい。ほとんどの剣士は自分の剣に愛着があり、余程のことがない限り鍛冶屋へ持っていき研いでもらうのが普通とのこと。フルームの剣は中心でぽっきり折れてしまった為直す事ができない。

 剣とはいくつかの種類の金属を決まった手順、分量で作り1枚の金属板として鍛えるため、一度折れてしまったら繋ぐ事は出来ない。もし無理矢理直そうとしたところでイチから溶かすしかなく、溶かしてしまうと複数ある金属が混ざって溶けてしまう為に強度、切れ味が落ちてしまう。それ故、折れてしまった剣は諦めるしかないのだ。


 買う剣が決まったところで、せっかく武器屋に来たのだから他の種類の武器も見てみようとなった。

 最初はエイシェルが使っている弓である。弓も大きさが様々で使っている素材によってしなり方が違う。勿論弓を引くのにより力が要る方が遠くまで飛ぶし威力も大きくなるだろう。その代わり力を入れなければならない為、力が足りないとブレやすくなり使い物にならなくなる。自分の力と体格に合った弓を選ぶ必要があるようだ。

 そんな事は百も承知のエイシェルだったが、力の要る弓も気になり手に取ってみる。すると片手で構えただけでズシリとした重みが左手を襲う。この重さだと右手で弓を引く頃には腕が下がってしまいそうだ。

 結局、自分の力不足に少し凹み今使っている弓が扱いやすいという結論に達した。


「え、エイシェル?大丈夫よ!力だけが全てじゃないもの!それにほら、料理得意だし!」


「そうだよ!料理なら他の誰にも負けてないんじゃないかな?」


「今は料理関係ない気が……いえ、長所を伸ばす事はいい事ね。大丈夫、人には向き不向きがあるもの」


アリス、フルーム、フラムがそれぞれ慰めてくれたが余計に悲しくなるエイシェルだった。


 次に見たのは杖だ。杖の効果は様々で使われている木の種類、先端に取り付けられている石の種類や大きさによって千差万別とのこと。一般的に人気があるのは魔力変換効率を上げるもののようだ。ただ、その効果は微々たるものがほとんどで、普段ファイアボールを5回連続で使えていたものが6回使えるようになるとか。20%増えると考えたら多いように思うかもしれないが現実はこれだ。一回増えたところで誤差の範囲だろう。

 ちなみにこの場合、魔力変換効率を上げるのであって魔力を増やすわけではないところがミソである。詰まるところ、魔力変換効率が異様に高いアリスには何の恩恵も得られないのだ。

 次に人気の杖は魔法の威力を上げる杖である。その仕組みは杖の先にある石へ自身が変換した魔力を移し、魔法を唱えた際に一緒に放出するといったもの。その為、魔法の威力は上がるものの使える回数は通常よりも減ってしまうのだ。お察しの通り、アリスは自力で魔法に込める魔力量を調節できる。この杖を使わなくても魔法の威力を高める事ができる為コレも不要の品であった。

 この他にこの店で熟練の魔法使いが好む杖があると聞き話を聞くと魔法を二重に発動できるというものだった。もはや語るまい。


「うぅ……杖っていかにも魔法使いですって感じがして憧れてたのに……」


「やっぱアリスって規格外だよね」


「杖があると片手が塞がるから邪魔ね。荷物にしかならないわ」


「まぁ、アリスはそのままがいいんじゃないかな」


 密かに憧れていた杖が邪魔にしかならないと分かり悲しむアリス。フルーム、フラム、エイシェルが思い思いに言葉をかける。フルームに規格外扱いされるが魔法を生み出す人に言われたくない。


 その後二階へ上がり防具を物色する。フルームがクラーケンに吹き飛ばされた件もあり、防御を意識したのだ。しかし結論は現状維持。

 防御力を上げようとするとどうしても鉄を使うなど重い装備となってしまう。エイシェルは弓使いなのでいざという時に素早く移動できないと危ない。フラムとフルームも素早さを重視している為重い装備は避けている。アリスに至っては重い装備を着けた瞬間に歩けなくなるだろう。多少体力がついたとはいえ荷物を最小限にした身軽な状態だからこそであり、重いものを運ぶとなると一気に体力を消耗するからだ。

 もっというと先程までかわいい服屋を見ていた為、防具の見た目が残念なのだ。アリスとフラムがもっとオシャレな防具があれば良いのにと愚痴を溢していたのは仕方のない事だ。


 そんなこんなで気付けば時間が過ぎいつの間にかメルカが戻って来ていた。


「メルカさん!ごめんなさい、待ちましたよね……」


 申し訳ないと思い急ぎ駆け寄り謝るフラム。後ろから続いてきた3人も同じく謝った。しかし、メルカは全く気にしていないようだ。


「いえいえ、声を掛けなかったのは私ですよ。皆さん夢中で見られていたので邪魔をしたくなかっただけです。それに、私は私で査定の結果を聞いていたのでおあいこですよ」


 そんな事を言うメルカ。たしかにいつ戻ってくるとか聞いた覚えがない。その為メルカから声を掛けてくるのが道理である。それでも武器屋、防具屋を満喫した4人はメルカをすっかり忘れていた為申し訳ない気持ちになった。


「そういえば、買う剣は決まりましたか?」


 メルカが訊ねるとフルームが元気よく案内する。服屋で服を見ていた時とは打って変わって元気そのものである。フルームが剣を手に取り、メルカがその剣を受け取ると早速会計に向かう。数分経つと会計を終えたメルカが戻ってきた。


「お待たせしました。では、この剣をお渡ししますね。おめでとうございます」


「ありがとうございます!大切に使います!」


 そう言うとメルカはフルームはと剣を差し出した。フルームは満面の笑みでメルカにお礼を言う。なんだかんだしっくりとくるこの剣が気に入ったらしい。


「それから……こちらを」


 メルカはエイシェルにリュックサックのようなものを手渡す。手渡されたリュックは少し重さがあったが持ち運ぶのにそこまで難はない重さだった。


「中に依頼のものが入ってます。そのまま渡されても困るでしょう?リュックサックはオマケです。応援してますよ」


 そう言うとメルカはエイシェルの前にグーを突き出す。エイシェルは一瞬ぽかんとしていたがメルカの意図するところを汲み取ったのかグーでコツンと返した。するとメルカは満足そうな顔をする。

 他に何かないかとメルカが訊いたところでアリスが質問をした。


「あの、単純な質問なんですけど……かわいい防具って見たことありますか?」


「かわいい防具……?」


「あ、えっと例えば普通の女性ものの服のような見た目なのに炎に強かったり、打撃に対して痛みが軽減できたりとか……ないですよね……」


 アリスは自分で喋っておきながら冷静になりそんな都合の良いものは無いだろうと結論づけた。メルカもアリスの意図を汲み取ったのか考えるそぶりを見せるものの険しい顔をしている。


「……そうですね。すみません。見たことも聞いたこともないです。お二方もそのような物があれば欲しいと思いますか?」


 メルカはフラムとフルームへ話を振る。なぜかと言うと商人の性である。ひとりの意見と思い握りつぶすのでなく、大勢の意見の代弁と考えることで大きな商売のチャンスとなり得るのである。そこで早速身近なところで需要の調査というわけだ。


「そうですね。もちろんかわいい服があればそちらを選びますよ」


「胸当てとかどれも同じでつまらないもんね。色んな見た目が選べたら面白そう」


「なるほどなるほど……。でも性能は落としてはならないですよね?」


「かわいいだけで脆いなら選ばないですね。。」


「死んじゃ元も子もないよ」


「ですよね。今はそのような商品はないですが、頭に入れておきましょう。もしかすると何かで実現できるかもしれませんし」


 需要調査を済ませたメルカは満足げな顔をしていた。4人に挨拶して店を後にしたメルカは何か考えながら帰路に着くのだった。


「さて、私達もそろそろ宿を取りましょう?もう暗くなってきちゃった」


「フラムの言う通りだ。この後のことは宿に着いてから考えよう」


 フラムとエイシェルがそう言い、アリスとフルームも賛成する。武器屋は港町の北門に近い位置にあった為中央にある宿屋区画までは少し時間がかかったが、いつの間にかみんな元通り話せるようになっていた。

 この後に控えている話し合いの事は忘れて今を楽しむ4人。その時間はとても貴重で何にも代え難いものである。

次回、真面目な話

……1話で終わるかな?

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