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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第四章 王都防衛戦
111/224

111.配慮?そして天使?

お待たせしました!食べ放題後からスタートです

 食事が終わり、周りの客もある程度落ち着いたところで店員が近づいてきて話し始めた。


「この度はおめでとうございます。……また、ご配慮いただきありがとうございました」


「配慮?」


 店員から予想外の言葉を受け困惑するアリスたち4名。何も配慮した記憶がなく、お礼を言われるようなことは無いはずなのだ。……強いて言えば真珠を隠し持っていることくらいだが、それは出された物なので店のものでは無い……はずだ。そもそもお礼を言われているので真珠のことでは無いだろう。

 そう考えていたところで店員が言葉を続ける。


「はい。先程カキフライを食べた時に異物混入ありましたよね?……気をつけてはいるのですが貝殻の破片が入ることもありますので……。それを何も言わずに何も無かったかのように振る舞っていただいて、ましてや食べ切った時に注目されない様にカバンへしまう事まで。本当にありがとうございます」


 ……何か勘違いをしているようだが異物混入である事には間違いがないので黙っておく。

 店員が言うには店としてカキを広めようとしているのだが、最初の頃は見た目の問題であまり注文されなかったらしい。ようやく注文が増えてきたところで貝殻の混入で騒がれて、一時期はカキどころか来店する客も減る始末。ようやく客足が回復してきたところだった為イメージダウンは避けたかった。再度異物混入なんて話が広まりでもしたらイメージダウンは避けられず、また注文数は少なくなるだろう。元に戻るまでに時間がかかるのは間違いない。一度失った信用は取り戻すのに時間がかかるのだ。

 それを善意で(ということにいておく)黙ってくれた事に感謝した。という事だった。

 ……正直、その場で騒いだ方が来店も注文も増えたに違いなかったが、余計なトラブルに巻き込まれたくなかった4人は何も言わないのであった。


 そんなこんなでエイシェルとフラムが食べた代金計銀貨2枚も無料で良いという話になった。店員に笑顔で送り出され、ちょっと複雑な思いをしながら店を出た4人。


「……わたし、あの店にもう行けないかも……なんだか後ろめたくて……」


「アリス、もう考えるのはやめよう。多分これが最善だった」


「気にしない方がいいわよ?私も申し訳ない気持ちはあるけど……」


「そうだよ。……うぷっ」


 フルームが苦しそうではあったが、時間が遅くなったこともあり気持ちを再度切り替えて街を巡る事にした。


「この街だと、港が有名なんだけど……さっきの連中もいるかも知れないし別のところが良いわね。あとは買い物とかだけど……あ、そうだ!この街はいろいろな地方の品物が集まってくるんだけど、服も色んな種類があって見てるだけでも楽しいの!見に行かない?」


「服かぁ……ちょっと気になるけど……」


 フラムの提案にアリスは微妙な反応を見せる。正直言うと見に行きたいのだ。しかし、その場合エイシェルがつまらなくなりそうだと思い歯切れの悪い回答になる。……昔、母親と一日中服を見て回った時に父親が死んだ魚の目をしていたのを思い出した。人にもよるとは思うが、男の人は何を買うわけでもなく店の商品を見て回るのに抵抗があることを知ったのだ。それこそエイシェルに配慮しての回答だったのだが、無意識に目がエイシェルを向いてしまった。その時エイシェルは自分が退屈するからアリスが我慢しようとしている事を察して口を出す。


「おれの事は気にしなくていいよ。街並みを見るのも楽しいし、なんなら時間と場所だけ決めて別行動してもいいし」


 エイシェルは女子3人で見て回った方が楽しいのではないかと考えて気を遣った提案をした。しかし、全く予想だにしない答えが帰ってきた。


「あら、エイシェルもついてくるのよ?アリスに試着させるから何か感想言ってあげてね?ほら、いくわよ!」


「「えっ!!?」」


 急な提案に驚くエイシェルとアリス。まんまとフラムのペースに乗せられて4人で店を巡ることとなった。……ひとりだけ何も考えられずについてくるだけになっているのは気にしてはいけない。


 結局4人で街を歩いていると白いワンピースが飾られている店が目に入った。腰回りは紐でキュッとしており、スカート部分がフリフリしてて大変可愛らしいものだった。

 アリスはそのワンピースが気になったのか視線をそのワンピースへ向けていた。その様子を見ていたフラムはアリスに声をかける。


「あのワンピース可愛いわね。ちょっと見に行かない?」


「え?う、うん」


 見ていたことがバレて少し気恥ずかしそうな様子のアリス。……実は葛藤していたのだ。とても好みであり本当は飛んで見にいきたいところだが、絶対に試着させられると考え、恥ずかしさで躊躇していたのだ。ましてや試着した姿をエイシェルに見せて感想を言われるとか恥ずかしすぎて逃げ出したいところである。……が、なんて言われるのか気になったりもしてて複雑な気持ちなのだ。


(うぅ……あのワンピース……着てみたいけど見られるのはなんか恥ずかしいよ……)


そんな事を思いまごまごしているとさっきまで黙っていたエイシェルがそっぽを向いてつぶやいた。


「……あのワンピース、アリスに似合うんじゃないかな」


「へ?……え?」


「……ほぅ?」


 エイシェルは相変わらずそっぽを向き、アリスはキョトンとする。その横でフラムがニマニマして、後ろでフルームが俯いている。今がチャンスとばかりにフラムがアリスを店に引きずり込みトントン拍子で試着へと進んだ。

 実はエイシェルも白いワンピースを見ていたのだ。アリスがその服を着た姿を想像し、間違いないと確信していた。しかし、アリスがあまり気乗りしないようだったのでダメもとで言ってみたのだ。……恥ずかしくて直視は出来なかったが。ちなみに、エイシェルはガラにもないことを言った後に恥ずかしすぎてちょっとだけ泣きそうな気持ちだった。


(いや、だって見たいでしょ。絶対似合うもん!……でも恥ずかしすぎる……変なこと言うんじゃ無かった……)


 一方でアリスはと言うと、試着室の中で混乱していた。


(え?え?え!?どういうこと?エイシェルってあんな事言うんだっけ!?……あれ!?なんか彼氏っぽい発言!?いやいやいやまてまて!!?まだそーいうのじゃないよね!??いや、実はそーなのか……?……んなわけあるか!?)


 もはやパニックに陥っていた。イノシシを狩りに行った時同様、もともと恋愛に耐性のないアリスは不意打ちに弱いのだ。……すごく弱いのだ!

 パニック状態がしばらく続いた後、試着室の外から声がかかる。


「アリスー?どう?着替えた?」


 フラムである。ワンピースならそろそろかなと声をかけたのだ。そんな中ただパニックになっていたアリス。フラムの声を聞いてハッと目が覚めた。


「ご、ごめん!ちょっと手間取ってて……もうちょっと待って!?」


(ええい!はやく着替えてさっさと終わらせよう!)


 吹っ切れたアリスはさっさと着替えを始めるのだった。いそいそとワンピースに着替えるアリス。腰の紐を締めようとした時に事件は起きた。


(……あれ?マネキンだともっと締まってたような……は!?)


 アリスの頭の中に今までの行動がフラッシュバックする。……簡単に言うと食べすぎたのだ。もともとゆったりした服を着ていたアリスは通常、ある程度食べ過ぎても見た目ではそんなに変わらない。しかし、このワンピースは腰の紐をしっかりと締めると少しだえお腹が目立ってしまうのだ。


(うそでしょ!?確かに食べ過ぎたのは認めるけど……うぅ……そうよね、食べ過ぎよね……)


 試着し、着た姿をエイシェルに披露する事になって初めて食べ過ぎを自覚したアリス。どうすればいいかを必死に考える。


(紐を結ばなければいい?……ううん、そうなると紐がプラプラして不自然。いっそ紐を切ってしまえば……って売り物にそんなこと出来ないわ!?どうしよう……うーん……)


アリスは仕方なく腰の紐をかなりゆるーく結ぶ事にした。そして試着室のカーテンを開けるとみんなの視線が集まった。


「ど、どうかな?」


 アリスが恥ずかしそうに聞く。しかし、なかなか返答が返ってこない。……それもそのはず、エイシェルが固まってすぐに反応できなかったのだ。


(これは……!まるで天使のよう……!!)


 エイシェルがそんな事を思っているとアリスが不安げに呟く。


「えー……と、似合わない、かな?」


 アリスの呟きを聞いてエイシェルはハッとした。そして、自分の感想待ちだった事に気付き慌てて答える。


「そ、そんな事ない!すごく似合ってるよ!なんというか……すごく綺麗だ」


「そ、そう?ありがとう……」


 エイシェルが照れながらやっとの思いで返答するとアリスもまた、照れながらお礼を言う。なんとも言い難い空気の中へ店員が果敢に入りこんできた。


「あら、すごくお似合いですよ!彼氏さんが言うようにとても可憐でお綺麗です!」


「かかか彼氏!!?」


「や、ち、違うんです。おれたちはそういう関係じゃ……」


「あれ?違うんですか?すみません、すごくお似合いだったのでてっきり……。でもお似合いなのは本当ですよ?」


 店員の投下した爆弾により顔を真っ赤にするアリスとエイシェル。エイシェルは慌てて店員へ訂正するが、店員はこれまた爆弾を放り投げる。アリスに至っては思考が停止しており、ずっと「かかかか」言っていた。

 ようやく思考が帰ってきたアリスは「き、着替えます!」といって試着室のカーテンを勢い良く閉め、いそいそと着替えるのだった。


「……結構面白いもの見れたわね!」


「あの店員さん……やるね!うぷっ……」


 少し離れた場所からその様子を見ていたフラムとフルームは、店員の手腕に脱帽し終始ニヤニヤしていた。苦しくて思考が停止していたフルームでさえこの時ばかりはしっかりと意識を覚醒し見届けたのだ。


 その後、着替えて出てきたアリスは結局他の服を見ることもなくフラムの後をついて行くだけであった。……そもそもフルームもエイシェルもついて来るスタンスだった為、自然とフラムが先頭に店を見て回る事になっていた。


(あらら……ちょっと失敗したわね……。と言うかあの店員、もうちょっと手加減してくれれば良かったのに……面白かったけど)


フラムはそんな事を思いながら、次は……というより、この状況をどうしようかと悩み店内を歩く。想定外の事態となり、先ほどまでの沈黙とはまた違った気まずい空気になっていた。


 結局、その服屋を出て実用的な買い物をしに行く事にしたフラム。勇者フラムとその仲間たち状況が続くのはフラムとしても避けたかったのだ。まず、クラーケンとの戦いで折れてしまったフルームの剣を新調しようと、少し大きな武器屋兼防具屋へ行く事にした。

 その武器屋は街の中でも比較的大きな建物であり、港へきた冒険者や、武器収集家などが集まり大変賑わっている。そこへ行けば多少気が紛れてアリスも元に戻るだろうと考えたフラムは店へと急ぐのだった。

知らない街を観光するのは楽しいですよね。色々緩和されてきてるのでどこかにふらっと行きたいですね。

次回、武器屋。

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