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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第四章 王都防衛戦
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106.ポルトゥス港町

新章スタートです!

エイシェルとアリスがジェミニの魔法を解く手がかりを探す為に王都へ行くことになり、陸路と海路のどちらかを選択する事になった。

そんな中、アリスが魔王に心身侵食されている事に焦りを感じたエイシェルはより早く到着する海路を選ぶ為、フラム・フルーム姉妹の協力のもと次々にクエストをこなした。

その結果、冒険者としてのランクも上がり無事海路で王都へ向かえることになったのだ。

しかし、船で新しい港町へ向かっている途中に太古から海を支配するクラーケンと遭遇する。それだけでなく巨大な白蛇であるハクまでもが襲ってきた。

この時、アリスは体を魔王に乗っ取られ、この世界の滅亡を宣言するが、エイシェルの中に眠っていた勇者の説得によりことなきを得る。

そして勇者と魔王、フラムとフルームの活躍によりクラーケンを討伐することに成功したのだった。


クラーケンを討伐した翌日。昼過ぎ頃に港町へ到着するのだった。






「やっとポルトゥスに着いたー!」


「なんだかずいぶん久しぶりって感じがするわね。たった1ヶ月と半分くらいなのに」


「ほんと、1年くらいいたんじゃないかって気になるよ」



フェルスや騎士団メンバー、メルカに挨拶を済ませた4人は先に船を降りることにした。

一足先に船を駆け降りたフルームとそれを追ってきたフラムが素直な感想を述べる。

2人にとってこの港町への到着は故郷に帰って来たのと同じような感覚であった。



「2人とも先に行かないでよー」


「アリス!足元気をつけないと!っ痛!……気をつけないと転ぶって……」



エイシェル船から降りた途端に躓き転ぶアリス。

長らく船の上にいたからか、船を降りた後も揺れたように感じ歩きにくくなっていたようだ。

その為、ちょっとした段差でも簡単に躓いてしまったのだ。



「いたた……。手を擦りむいちゃった……」



アリスは擦りむいた手を見て無詠唱でヒールを発動させた。

するとあたかも最初から怪我をしていなかったかのように綺麗な手がそこにあった。


アリスは前回の失敗を覚えていた。フラムとフルームの話によるとヒールを自在に使える人は稀有な存在である為目立ってしまう。


今は船を降りたところで人がたくさん往来している。そんな中でヒールを使ったらまた変な呼ばれ方をされかねない。

そう考えたアリスはバレないようにヒールを使うことにしたのだ。

人通りが少ないところに行くまで痛いのを我慢すれば良いことでもあるが、普段からすぐにヒールで怪我を治してたアリスにとってはしばらくケガをしたままでいるなんて選択はない。

少しでも早く痛みから解放されたいのだ。


今回はちゃんと考えてヒールを使えたと喜ぶアリス。

……ただ、転んだままの状態でいた為不格好ではあったが。


「大丈夫か?……って言ってももう治ってるな。何かあった?」



そんなことを考えながらなかなか起き上がらないアリスの事が心配になり、エイシェルが駆け寄ってきた。

エイシェル自身もキズが治ってるのは分かっているので何かあったのかと声をかけたのだ。


そんなエイシェルにアリスは気恥ずかしくなり、ただ「大丈夫」とだけしか言えず、誤魔化すようにフラムとフルームの元へ駆け寄る。





「派手にコケてたわね」


「初めての船だから仕方ないかもねー。お姉ちゃんも私も初めての時はフラフラしてたし。……でも、しばらくびたーんって動かなかったね。大丈夫だった?」



駆け寄った先でも当然のように話題に上がる。



「うぅ……大丈夫……。でも陸にいるのに揺れてる感じがするのはなんとかならないかしら……」


「しばらくしたらおさまるわよ。ほら、エイシェルも早くー」



フラムがエイシェルを呼びやっと合流した4人はどこへ行こうかと作戦を練ることにした。



フラムとフルームの情報をもとにどこへ行くか方針が定まった頃に町の中から物々しい集団が現れ、船の方へと迫ってきた。

4人は急いで端に寄り道を開ける。

集団は4人を気にも留めずに進行を続ける。



「フェルス殿はいるか!」



船の前に着くやいなや先頭にいた男が大きな声をあげる。

暫くするとフェルスが船から降りてくるのが見えた。



「何あれ?騎士団の人?」


「ううん。知らない人たちね。パパを呼びつけるなんて、何かあったのかしら?」


「……なんか感じわるーい」


「町の中を我が物顔で歩いてたもんな。町の人も驚いてるぞ」


「ねぇ、キミたち。ボクとこっちにきてくれないかな?」



4人がそんな事を話しているとすぐそばから声が聞こえた。

そこにはアリスたちよりも何歳か年下のように見える小柄で黒髪ショートヘアの少年?がいた。顔立ちは中性的でどちらとも判断がつかないが、言葉遣いや服装から少年のように思える。



「え?……あなただれ?」


「ボクのことは後で説明するから、今は早くここから離れよう?アイツら国王直属の部隊で珍しいもの持ってると無理矢理献上させられるから」


「そんなこと!国王直属ならそんなことするわけ…………いえ、なんでもないわ」



フラムが反論しようとしたところでふと、フラターの言葉を思い出した。


『人体実験とか非道な事をされかねない』


そんな馬鹿なと思うフラムだったがフラターの忠告が頭をよぎる。

何かあってからでは遅いのだ。気を引きして行動しようと決意したばかりではないか。

そう自分に言い聞かせ反論をやめた。


フラムにとってそれは自分の信じる道を疑う行為に等しかった。

国民を守り、国の為に剣を振るう。そんな騎士になりたいと常日頃思いながら鍛錬を続けてきた。

その模範的な姿である父の背中を追って今まで生きてきたのだ。

その自分の根本的な部分であるものを疑うなんて本来ならあり得なかった。にも関わらずフラムはその信念を曲げたのだ。


フラターの忠告も理由にあるが、何より他の3人を危ない目に遭わせたくないと言う思いからである。

怪しい集団に怪しい少年。まだ何が正解かなんて分からない。

ただ、見たところ少年には悪意が感じられない。

疑いはせよ、嘘だと決めつけるには早すぎる為、少しでも安全な道を選ぼうと考えることにしたのだ。


そんな考えがフラムの中を巡っていると、アリスもボソッと呟いた。



「……そういえば、セラスさんが言ってた。貴重な品を奪おうとする組織があるって」


「それが……アイツらなのか?」


「それは分からないけど今はここを離れた方がいいと思う。なんだかイヤな予感がする」


「それなら早くこの子について行こ?ここで止まっててもしょうがないし」



アリスとエイシェルが話しているとフルームも早く離れようと言う。

方針が決まったところでアリスが少年に話しかける。



「そう言うわけだから道案内よろしくね。えっとー……」


「ボクの名前はステラ。こちらこそよろしく!さぁこっちだよ、ついて来て!」



ステラに案内され、4人はその場を後にするのだった。

新しい人物が出て来ました。果たして何者なのか……

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