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ジェミニ 〜魂の契約者達〜  作者: えいりす
第三章 王都への旅
103/224

103.宴会

お久しぶりです。全然更新できてないなうです。今回は戦闘の後日談

騎士団やエイシェル達4人の活躍により船は魔物から守られていた。多少傷や凹みなどは見られるが航行不能となるような損傷はなく、今も問題なく船を進めている。


戦いが終わった後は皆へたりこんでしまうほど疲労していた。

その中でもエイシェル、アリスは魔法の使いすぎで生命力が減り意識を失い、フラムも戦いが終わった後にアリス達と同じように魔力の使いすぎか、はたまた緊張が溶けたからか意識を失ってしまっていた。

唯一パーティの中で意識のあったフルームも、一度は生死を彷徨うような状況であった為に絶対安静にするように強く言われていた。



その為4人はもれなく医務室へ搬送されベッドに寝かされるのだった。






「う……ん……ここは……?なんか頭痛いような……」


「お、アリス起きた?おはよー。ん?時間的におそよー?」



アリスが目を覚ますと後頭部に鈍い痛みを感じた。そんな中フルームが手をひらひらさせながら声をかける。時間的に辺りが暗くなっていたことからフルームは寝起きの挨拶に疑問を感じていたが、そんなことはお構いなしとアリスはものすごい勢いで飛び起きた。



「フルーム!?あなた身体は大丈夫なの!?重症だったじゃない!?」


「あー……あれねー。……なんか治った!きっとアリスが渡してくれた回復薬のおかげだと思う」


「そう……なの……?本当に?それならよかった……。助けに行けなくてごめん」



アリスはフルームを助けに行けなかったことをずっと気にしてたのだ。その為、フルームが無事であることが確認できると若干違和感を感じたもののアリスは安心できた。


フルームもフルームでどこまで説明して良いものか少し悩んだが、アリスから回復薬を貰った事を良い事に全てを回復薬のお陰と誤魔化してしまった。

竜の血のことをエイシェルとアリスに打ち明けるタイミングを考えてはいたが、肝心のフラムが寝ているので説明し切れる自信がなかったのだ。



「距離あったししょうがないよ。それに、そうなった時用に回復薬貰ってたしね。むしろ私の方がありがとうだよ?」


「そう……そう言ってもらえるなら……でもごめんね」


「もぅ、いいってばー」



アリスは魔王にそそのかされて気持ちが揺れていた事があり後ろめたく思い何度も謝ってしまう。そんなことは知らないフルームは辞めてくれと言わんばかりであった。

仮に、フルームがアリスの気持ちを知ったとしても許していただろう。

フルームとしてもそう思われても仕方ないとは思っている。



「それにしても、アリスも私も最初は派手にで活躍したと思ったのに、お姉ちゃんとエイシェルに持っていかれちゃったよ……。お姉ちゃんはカッコいい剣を振り回してイカの魔物を圧倒するし、エイシェルなんてすごい魔法で両方の魔物倒しちゃうし……」


「カッコいい剣……すごい魔法……。そう言えば生命力ゴッソリ減ってる感じがするわね……。あれって夢じゃなかったんだ……」



アリスは精神世界に閉じ込められてエイシェルから呼びかけられた後ひたすらに光の道を走っていた。

走るうちにその光が徐々に広がりイメージが流れ込んで来たのだ。

そのイメージは魔王が見た視界。そして思考、感情までもが流れ込んできた。

あまりにも現実味のない内容であった為、夢ではないかと思っていたくらいだ。



(魔王……さん。最後に後悔の気持ちが凄かった……たぶんわたしへした事、そしてハクにした事……最後の魔法効くといいな)



アリスは魔王から酷い事をされたが、魔王がひどく後悔していた事から憎むにも憎みきれずにいた。

そもそもの発端はアリスが魔王を拒絶していた事だ。アリスが自分の中にいる何かを拒絶しようと強く思っていた為、魔王は表に出てこれなかったのだ。表に現れるためにはアリスの精神を揺さぶって侵入しなければならない。その為、あのような事をしてしまったのだった。

一方のエイシェルは特に気にしていなかったのと、勇者自身出てくる気がなかった為影響はなかった。






結局勇者と魔王が何をしようとしていたのかは分からず仕舞いだが、勇者と魔王の関係が伝記で語られるようなものではないことは明らかであった。



「あれ?だってアリスとエイシェルで話し合って魔法使ってたじゃん?」


「うーん……ちょっとまだ混乱してるから後で話せたら話すわ。……ところで、エイシェルもフラムもまだ眠ってるのね……。エイシェルは魔法使った影響でしょうけど……フラムはなんで寝てるの?」


「んー、お姉ちゃんも魔法の使いすぎじゃないかなー?竜玉の中空っぽっぽいし、お姉ちゃん魔力変換の効率悪いし……」


「あぁ……」



フラムの魔力変換効率については一悶着あったことを思い出す2人。

あれ以降フラムの魔力変換効率については本人の前では触れないようにしている。

その為、それ以上フラムについて触れることはなかった。



そんなことを話していると残りの2人も目を覚ましたようだ。


寝ぼけて辺りを見回していた2人だったが、フルームが手をひらひら振りアリスが声をかけるとこの状況を理解した。



「2人とも気がついたみたいね」


「あれ、私……そうか、気絶しちゃったんだ……」


「大丈夫。気絶してもお姉ちゃんカッコよかったから!」


「えっと……アリス……だよな?」


「安心して。わたしは"いつものわたし"よ」



フラムはクラーケンが闇に吸い込まれるのを見届けた後に気絶した事を思い出した。

結局フラム自身でトドメを刺すことは出来なかったと思い力不足である事を痛感したのだ。

その為少し声のトーンが暗くなる。

しかし、フルームにとってはフラムが立ち向かった姿は本当にカッコ良く見えフォローを入れた。


一方でエイシェルはアリスの身体が別の存在に乗っ取られていた事を知っていた為、つい確認するような言葉を発する。

エイシェルもアリスと同様に光の中から勇者の視界や感情、思考などもろもろ流れ込んでいた。

事前に身体を借りると言われていたこともありエイシェルは流れ込んできたイメージが現実のものであると素直に受け入れられたのだ。

そして、そんなエイシェルの問いに対してアリスは意を汲んで答えたのだった。




「それにしても、みんな起きるのが遅いよー。ひとりだけ起きてて退屈だったんだから。一応、みんなが気絶してからの事少し話すね」


「待って、その前に……ルミナドレイン!ヒール!ヒール!ヒール!!」


「おぉ!もうどこも痛くない!ありがとう!流石アリスだね!」


「私は特に外傷無いのだけれど……でもありがとうね」


「おれも大丈夫だけど、ありがとうな」


「いや、エイシェルは大丈夫じゃないからね!?頭ジンジンしてたからね!?」



フラムとエイシェルが気がついた事で全員が揃った為、状況の説明をする事にしたフルーム。

しかし、アリスは説明前に全員にヒールをかける事にしたのだ。

……実は後頭部が地味に痛く、気になってしょうがなかった。痛みを治すついでに全員にヒールを使うのだった。

その中でも最初は重症だったはずのフルームが完全回復しており、通常では考えられない状況にだった。

しかしアリスとエイシェルはセルロの回復薬が効いたものと考えており、とくに気にはならなかった。



「もういいかな?じゃあ話すね。と言ってもそんな話す事ないけどねー」



フルームはひと段落着いたのを見計らい3人が気絶した時の話をし始めた。


フラムが足止めしてエイシェルの攻撃が成功した事、その際に蛇の魔物も巻き込まれて体半分闇に飲み込まれた事。

そのあとエイシェル、アリス、フラムが気絶し、騎士団のみんなが運んでくれた事。

後片付けは騎士団のみんながしてくれた事、船には特に目立った外傷はなく航海に支障がない事、夜に宴が催される事。もう夜になってしまった事。


みんなの活躍で絶望的な状況から誰一人欠けることなく生還することが出来たのだ。その為乗船している全員のテンションが最高潮に達しており祝いの会が開かれるのは必然とも言えた。

ちょくちょく様子を見にきたフェルスはフルームの体調良くなっており、本人もお腹すいたと言った為、可能であれば宴に参加して欲しいと言っていた。


フルームが簡単に要約して説明をし終えるとタイミングよく医務室の扉が開かれた。



「お、みんな起きたか。調子はどうだね?」



開かれた扉から現れたのは先程話に出たばかりのフェルスだった。



「みんな大丈夫だよ。ちょうど今お祝いの話をしてたところ」


「そうか、それは良かった。特にエイシェル君はあれだけの魔法を使ったのだから死んでしまったのではないかと焦ったよ。みんな元気そうで安心した」



フェルスは4人を見回しみんな元気そうなのを確認すると満足そうな顔を浮かべた。


今回の魔物襲撃事件の英雄4人に何かあってはお祝いなど出来るはずもない。

フルームは回復傾向にあった事、他の3人も気絶しているだけで命に危険はなさそうであった為宴を開く事にしたのだ。

そして、船に乗っていた全員が準備をして主役の登場を待っていた。


フェルスは4人に宴の参加をお願いし、4人はそれを受けた。

せっかく祝いの席を用意してくれたのに欠席するのは失礼だと思い、4人は参加する事にしたのだ。




フェルスに連れられて甲板に行くと既にみんな集まっていた。


「お!英雄様の登場だ!」


「待ってました!」


「あのフラムちゃんが立派になって……!」


「フルームはちゃんも凄かったな!」



4人が到着すると騎士団員達が様々な反応をする。

そのどれもが4人を歓迎する内容であった。



「わぁ…‥.すごい歓迎だね!」


「なんだか落ち着かないけど……嬉しいものね」



フルームとフラムがみんなの反応に応えて手を振るとより一層騒がしくなった。

そんな様子を一歩後ろで見ていたエイシェルとアリスは複雑そうな表情を浮かべ、コソコソと話し出した。



(わたし、最後の方は体乗っ取られてたからあまり実感ないんだけど……エイシェルはどうだったの?)


(おれも体渡してたから全く実感ない……。アリスはまだ触手を切ったり活躍してたじゃないか……おれなんて本当に何もしてないぞ)


(あ、やっぱりそんな状態だったのね)



「ほら!アリスもエイシェルも後ろにいないで、こっちこっち!」



アリスとエイシェルが後ろで話しているとフラムが前の方へ来るように2人を誘う。

2人は誘われるがまま前に出るとよりいっそう歓声が上がった。


エイシェルとアリスはお互いに目を合わせ、この場の雰囲気にお茶を濁すのも悪いと思い流れに身を任せることにした。


4人が手を振るとさらに盛り上がりを見せたがフェルスが一度歓声を静止して話し始める。



「みんな、心配したものもいるとは思うが、この通り我らが英雄は無事だ。ただし、今さっき気が付いたところを無理言って来てもらっている。くれぐれも無理はさせないように。……長々と喋っても仕方ない。みんなコップを持ったか?持ってなくても始めるぞ?今日のみんなの無事を祝って乾杯!」


「「「乾杯!!」」」



フェルスが短く乾杯の挨拶をすると割れんばかりの歓声に包まれる。

それを機に宴会が始まるのだった。

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