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第三話 不穏

「。。。。わいは君ら地球人が嫌いや」


コユキの前で標準語だったマサトは

鉛が入った関西弁で答えた


「地球人が嫌いだからってそんな雑な扱いしてもいいのかよ!?俺はともかく!」


渚は「嫌い」という言葉は何百回も聞いていた

しかし、それと同時に親友の飛鳥にまで嫌いと言う言葉を浴びせることに渚は凄く不満を持っていた

しかしマサトはそんな渚の言葉に耳も傾けずにいた


「地球人はみんな嫌いや、お前もそいつもな。。。はよう席につけ」

「。。。。。俺らの席どこだよ」

「じゃあ、そこの空いてる席にお前。。。西園寺さんの隣にそこのピンクな」


マサトはめんどくさそうに言うと

教卓の後ろに置いてある椅子に腰掛け

アイマスクをして眠った


「は?え?授業は??」


渚はマサトの行動に困惑した


「は?やるわけないやろ、昼飯のチャイムがなるまで待機や」


渚は口をパクパクさせながら

他の人たちとマサトを交互に見た

他の生徒は縦に頷き

渚はマサトの行動が通常通りだと知った


「わいは耳がいいからな、コユキが半径2メートルまで近づいてきたらお前ら教科書広げろ。。。おやすみ」


マサトは指差して説明するとそう言って寝た

じっとしているのが嫌いな渚は外に出ようとしたが

マサトが伸ばした足につまづいて頭から派手にこけた


「なにすんだ!」


マサトは片方のアイマスクを外し片目を開け面倒臭そうに忠告した


「教室の外には絶対に出るな」

「お前がやる気のない奴だとはよーくわかった、だから俺1人で帰る方法を探すこれが有意義な時間の使い方だ!」


渚は腰に手を当てドヤった

お前より頭がいいんだぞという威嚇だ


「帰る?どこに?」

「地球に決まってんだろ!俺たちは」


渚はこれまでの経緯を話した

その言葉に西園寺と呼ばれた女の子の目が泳いでいた

マサトがアイマスクを外し渚の目を見た


「。。。。そうかそれは不幸やな、まぁ運命を受け入れろ」


マサトの意味深な発言に飛鳥は先程から感じていた違和感を口に出した


「。。。もしかして、私達殺されるんですか?」


飛鳥は冷静に言ったつもりだが

その目には少しの涙

少し声が震えていた

もう2度と春姉に会えないかもしれない

という不安からだ

マサトはやらかしたという顔をした


「すまん、いまのは忘れろ」


マサトは逃げるようにそう言いアイマスクをつけて寝た

飛鳥は感じていた違和感の紐が少しづつ解けていくことに恐怖を感じその場から逃げたいと願った

しかし今外に出ればコユキと鉢合わせという可能性もある

外に出れないもどかしさで頭がどうにかなりそうだった


「神様は不幸ですよね」


飛鳥が声のした方を精一杯の力で振り向くと

隣に片目を隠した紫髪の女の子が話しかけていた


「ですが、それも運命私達は神様に運命に逆らうことはできません」


片目を隠した女の子はポツリとそう言い本を読んだ


「殺される???ん??」

渚はまるで意味がわからないような顔をした

人間、自分の理解できる状況を大幅に超えると思考が停止する

まさに渚はその状況だった

飛鳥は片目の女の子に名前を聞こうと肩に触れた瞬間女の子の体が震え出した


「マサト先生、愛美ちゃんが!!」


先程の男の子が愛美と呼ばれた少女を抱え込み

マサトを起こした


「。。。めんどくさ」


マサトはコユキを呼びに行こうとした

しかしドアを開けた瞬間

コユキとアメリアが目の前に立っていた

マサトは気配を消されていたことに動揺し

目を見開いた


「伝え忘れていたことがありましたので、アメリアさんとやってきました。。。。ところでマサトさん」


コユキは咄嗟の判断に遅れて教科書を出し忘れていた子供達をじっと見た


「授業はどうなされたのですか?」


マサトはしまったやらかしたと思いながらなんとか言い訳を考えた


「しばらく休憩です」


コユキは抱え込まれた愛美を道路に落ちてるゴミのような目で見た


「あぁ、薬」


コユキはそう呟くと

何事もなかったかのようにアメリアから

薬を貰うと水と薬を愛美の口に入れた

落ち着いた愛美はコユキを見るなり

コユキの腕を無理やり引っ張って外へ出た

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「どういうことなんですか!?」


談話室で愛美は薬の副作用で眠気と戦いながら

コユキを睨んだ


「はて?どういうこととはどういうことなんでしょうか?」

「とぼけないでください!次はあの子達を危険に晒すつもりですか!?」


愛美は眠気を抑えたせいで吐きそうになりながら

コユキを睨んだ


「高校レベルの頭脳を持ってもあなたはまだ子供、わからないのです。。。マザー様の体はもうすでにボロボロ」

「そんなのしら」

「本当は貴方が器になるはずだった、しかしあの人が人質となり仲間となることを条件に貴方を器にしないと誓った。。。。貴方はあの人に生かされたんですよ?」

「は?」


コユキは愛美をじっと見ながら微笑んだ


「誰なんですか?その人って」

「あら?貴方もよくするミナ・サーシャン・シルフィア

じゃないですかやだぁ」

「。。。。御言葉ですがミナさんと私は接点がまるでありません、あの人の性格上接点が全くない人を庇うなんてそんな真似はしないです


愛美の言葉にコユキは驚きしばらく考え

やがて一つの考えに辿り着きニヤリと笑った


「ともかく。。。。あの子達を器にするのはやめてください!」

「それは無理な話ですね、高宮飛鳥はマザー様と接点があり

マザー様が前々から目をつけていた人物


愛美はその言葉を聞き拳を強く握りしめた 


「貴方があの子達と手を組み私達の敵になるのは仕方がありません

しかし貴方の人質は死という概念ということを念頭において

よく考えて行動をしてくださいね」


愛美は悲惨な出来事を思い出し涙が出てきた

しばらくして

教室からは飛鳥たちが出てきた


「飯だ!!」 


渚は小躍りしながらご飯を楽しみにしていた

愛美は涙を拭いて渚の方を向いた  


「周りに気をつけないと危ないですよ」


渚は愛美を見て立ち止まりしばらく考えた  


「おう!」

「西園寺さ」

「部屋に戻っているので昼食はこちらに置いといてください」


愛美は渚の後ろにいたマサトに言葉を伝え

部屋に戻っていった

愛美はドアを閉めると

声を殺して泣いていた


「なんで生きてるんでしょうかね。。。なんで生かしたのですか。。。なんで貴方は私を守ったのですか。。。もう辛いよ、私は貴方に対してなんの感情も情もないのに貴方のことをコユキから聞かされてるとすごく胸が苦しく張り裂けそうになるのはなぜ?」


愛美は体育座りのまま泣いていた

しばらくして落ち着きを取り戻した

愛美が立ち上がろうとしたその時

ピンポーンとインターホンが鳴った

愛美は涙を吹き切りドアを開けた


「よっ!」


ドアの前には渚が立っていた 


「。。。。なんですか?」  


愛美は鬱陶しそうに渚を見た 


「1人で食べるより誰かと食べた方が美味いだろ!」


渚はそう言うと

愛美のトレーと渚のトレーをそばのミニ机に置いた

渚はその机をマジマジと見た

大きくクローバーの絵が書いてあり

その下には英語でGrab hopeと赤い文字で書いていた

下の足には

西園寺愛美とハートマーク付きで書かれていた


「これ、お前が作ったのか?」


渚は愛美の目を見た

愛美は横に振った

渚は誰かに作ってもらったんだろうと

このことについて聞くのはやめた


「飯食おうぜ!」


渚の言葉に愛美は首を横に振った


「1人で食べたいので」


そう言い愛美がドアを閉めようとした瞬間


「それが涙袋を作って助けて欲しいと訴えてる人間の言葉か?」

「相変わらず感が鋭いですね。。。渚さん」


渚はドアを開けてくれたことに笑顔になり

部屋に入っていった 


「久しぶりだなぁ、愛美!食べようぜ!」


挿絵(By みてみん)

渚はトレーをテーブルの上に置いた

今日の昼ごはんはお肉と野菜炒めだった

愛美は電動マッサージ器みたいな形の機械を料理たちに近づけた


「なにやってんだ?」

「薬物が入ってないか確認しています」


機械はピピっと音を鳴らした

画面にはイジョウハンノウナシと書かれていた


「すげぇな!」

「今日は異常なかったか」


愛美は安堵の表情を浮かべるとぱくぱくと食べ出した


「あれなんだ?薬物って」


渚が野菜を除け肉だけを食べた


「野菜も食べてくださいよ、薬物っていうのはコカ○○とかと同じで中毒性があるものです。。。コユキはそれを料理に混ぜることで生徒たちの思考を停止させ無気力状態にして自分の意のままに操るのです」


「どういうことなんだ?この世界で何が起こってるんだ?」


愛美は渚でもわかりやすいように文字で説明をした

・コユキとアメリアは魔王マザーと繋がりがある

・この学園内の生徒や教師は必ずコユキに弱みを握られていて無気力になっているということ


「この私も実は弱みを握られています」


愛美はため息をつき

ベットに倒れた


「先程痙攣したでしょ?」


愛美は倒れたまま話を続けた

渚は首を縦に振った


「私、ストレスを一定数貯めるとああやって痙攣したり固まったりするの。。。だからそれを抑えたりするために薬が必要なんです」


愛美は小袋に入れている3錠の薬を見せた


「あと3錠しかありません」

「作れないのか?」

「作れる人間は今ここにはいません、一応コユキが作れるみたいなのですがあの人違う薬物も混ぜそうで信用はしていません」


愛美は小袋を握りしめ

渚に計画書と書かれた紙切れを見せた

・マザー様が作った世界を避難場所と称し

マザー様が消したい人間を無気力にする

・西園寺愛美入学この子を新たな器とする

補足 ミナ・サーシャン・シルフィアをマザー様に引き渡し西園寺愛美の器を取りやめる

・絶望に囚われたマサキ・ファルマーデ・ジャダイを凶暴化

・同じくカナト・インクーン・サントリナを

凶暴化

補足 仲間になる代わりに凶暴化の薬を

打たないことにする

・マサト・ダークグルッダを無気力にするため

リュウ・ベリーシューリームを捕獲地下牢に監禁する

・新しい器をカナト・インクーン・サントリナと共に仕入れに行く


「ここしか書いてねえぞ?」


渚は一通り見て余白が開いてることに違和感を覚えた


「これは私がコピーをしたものですから」


と自身気に答え

ここに書いてない契約書の内容を口頭で説明をした

・マザーの器には1人が必要だけど貴方たち2人を間違って引き入れてしまった

・2人のうち1人を器にしてもう1人を処分しないといけない

・おそらく殺されるのは渚、飛鳥は見た感じ不思議な力があるから殺さないと思う

・だから護衛が必要

という話を愛美は眠気を抑えながら伝えた


「じゃあ、ここから帰るにはどうすればいいんだよ?」


渚が不満そうに言うと


「マザーから全て奪う。。。。捕獲した人たちも。。。ミナさんも」


渚は愛美を起こそうとしたが

罪悪感がありやめて

愛美が残した食べ物を食べて

その場を離れた

食事室の端の方で飛鳥が渚を待っていた


「おー!あす」

「何言われたの?」


渚の元気な声を無視するかのように飛鳥は爆速で渚のところに行くと

耳元で呟いた

渚は人差し指を口元に当てた

その行動を見て飛鳥は理解し教室へ戻っていった


「あぁ、貴方たちはもう教室に戻らなくても大丈夫ですよ」


背後からコユキが声をかけた

その声を聞いて渚は2センチぐらい飛んだが

平常な顔と声を保ち 


「おー!コユキぃいつ来たんだ?」


とさりげなくいつから背後にいたことを聞いた

自分が愛美の部屋に行ったことがバレていたら

多分自身の殺害を早めるだろう

そう言う考えの上だった


「すみません、飛鳥さんと渚さんが一緒にいるところを先ほど目撃しまして」


コユキは微笑みながら伝えた

渚はその様子にホッとした


「それでは、貴方達の寮へと案内いたしますがその前に少し待っていてください」


コユキは早走りで学園長室のところへと戻った

コンコンとドアを叩きなかへ入った 


「想定外のことが起きました、西園寺愛美が

黒澤凪乃へ私達の計画を伝えたようです」


コユキは指の爪をかみ悔しそうに話した

アメリアは一切れの紙をコユキに見せ


「これが私たちが行動を起こす前に床に落ちてた、

おそらくこれを何者かがコピーし

西園寺さんに渡したんでしょう」


アメリアは紙を左右に揺らした

コユキはしばらく考えこみ


「一体誰が。。。だって、あの印刷機はとても高いところにあるから西園寺愛美の身長で届くはずもない」


コユキは混乱したが

アメリアはコユキにラムネを渡した


「落ち着いて、何者かが西園寺さんにと言ったはずですよ」

アメリアは紙と一緒に紫の髪の一本を机の上に置いた


「紫の髪。。。。まさか」

「そうです、おそらく西園寺さんに情報を伝えたのはシルフィアさんでしょうね」

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