16話 雪の命
..........あの人と出会うまで私は中身のない人形でした
「おお、神よ。。。。この世界に今日もこの世に幸運をもたらしてくれてありがとうございます」
.........毎日行われるいない存在に対する祈り
「コユキ!貴方は立派な雪女になるのです!」
........意味のない修行に自由のない日々
「何度言ったらわかるのですか!」
バチンッ
----------虐待同然のスパルタ教育
外で遊ぶ子供達を見るたびに
私はなんで生きているんだろうって思う
そんなところにあの人と出会った
「人はなぜ生きているのかわかるか?」
「。。。。。神が命をくれたから?」
「違う神は何もしてない。。。。人は‘無’から生まれてくる」
------その人は私に今まで教えられたことと逆のことを教えてくれた
神は人を作っていない
人は無から生まれてくる
考える力は無理矢理作る者ではない
私はその人が神様のように見えた
そして私はその人について行くことにした
でもお母様は反対した
そんなやつのところなんか行かずに
神の祈りの境界に行けと
私はお母様を眠らせた
私は立派な雪女なので貴方に苦痛を与えることなく凍らせましたよ
褒めてくれますよね?
氷が溶けるのは私が死んだら
でも。。。残念ですね
氷が溶けても貴方は起きないかもしれません
だって殺意を持って凍らせましたから
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「私は忠実で完璧な貴方の信者なのです!私は無能ではない!私は。。。。。貴方に龍族の肉を渡して信頼を回復します!!!」
コユキはそう叫ぶと優里の方へ突撃していった
優里は音を立てずに静かに避けた
コユキは優里を通りすぎ
道路へと飛び出した
優里は信号が青になっていることを確認し
コユキを引き止めようとしたが
コユキは優里の手を一般人だと思い払い除け
道路へ飛び出した
キュイキキー‼︎
急に飛びだしてきたコユキを車の主は
避けきれずに衝突した
優里はその場に駆け寄ろうとしたが
硫酸を他の子達が悪戯でかけたら危ないと思いその場を去り施設へと戻っていった
車の主は慌ててコユキの方へ駆け寄ったが
そこにあったのは
赤黒い雪だけだった
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「あっはは!!!そうよ!最初から自分でトドメを刺せばよかったんだわ!」
フローラは渚の背中を何回も何回も刺した
愛美は叫ぶことしかできなかった
「ケルベロス!!!!」
男の声で総声が聞こえた瞬間
フローラの体は大きい犬によって吹っ飛ばされた
その隙に男は渚と愛美の体を持ち上げ
フローラから遠ざけた
しかしそれをトールが阻止した
「くっ!?」
「。。。僕が君らを逃すと思うかい?何週間の間にいくつかの計画が潰されたんだこの1日で全ての計画を達成させる、そのためにはまずそのメスガキとメスオスガキを殺さないといけないんだ!」
トールは人形数体を男に向かって放り投げた
人形は男を捕獲するポーズをとっていた
男はケルベロスのスペアがないことを知ると
愛美と渚に覆いかぶさった
「。。。。。この子達は殺させない!」
男の言葉に渚は内心ゾクゾクしていた
理由はこの男が強い信念を持ってる奴だと思ったからだ
しかしトールは空中の人形を鋭利な刃物に変形させ男に向かって突進してきた
「サンダーボール!!」
バシュゥン
トールは感電しその場に倒れた
男が後ろを振り返るとそこにはリュウがいた
「リュウちゃん!!」
「行ってくださいマサキさん!!ここはわいに任せて!」
リュウがトールを押さえつけてそう叫んだ
フローラも加担しようとした瞬間
マザーがブラックホールから現れフローラトールをブラックホールに押し込んだ
「。。。。。久しいな、魔王子君に美しい心臓を持つ王族よ」
「マ。。。。。マザー。。。」
「我は言ったはずだ今度我の目の前に現れる時必ず殺すと、なぁ猫又妖怪の娘よ」
「誰のこと?もしかしてこの子供?」
マサキは渚の顔をみたが
渚は頭にハテナを浮かべていた
「そうだ、我の第二の下部になるはずだったんだがな。。。。。猫又妖怪が余計なことをして赤子を施設に預けてしまったんだ」
「なぁ。。。。それって」
「確かあれは。。。。雪降る時だったか?その時に施設長に預けたとあいつは言ってたな」
渚は目を見開き震えた声で口を開き質問した
その言葉にマザーはニヤッと笑いこう言い残しブラックホールに消えた
「我だ」
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「。。。。。。。」
「。。。。。大。。丈夫じゃないやんな」
マサキは渚の背中に薬を塗り出血を止めた
愛美は自分で足に注射を刺し治療をした
「。。。。。。。あんがとよ」
「うん」
渚が静かな声でそういうと渚はお礼を言ったが
静かな時が流れていた
愛美は空気を読み自分の処置が終わるとその場から離れようとした
「。。。。。。まて、どこにいく?」
「知ってるでしょ?ミナさんのところですよ」
「ミナは臓器破裂や臓器亀裂で緊急治療を受けている面会は無理。。。。。ましてや君みたいな元凶」
「は?」
マサキの言葉に愛美は不愉快な顔をした
空気が重くなったが
渚は俯いたままだった
「。。。。。今の言葉もう一度お願いできますか?誰が元凶ですか?ミナさんを危険な目に合わせたのは私ではないですよ?馬鹿なんですか?」
「君は元凶や、君の女神としての性質がミナを魅了し結果ミナは自らを犠牲にし君を守った。。。。。君は悪女や!」
マサキは愛美をひどく睨んだ
愛美は悪女と言われたことに腹が立ち
マサキを思いっきり蹴ろうとしたが
誰かに引っ張られる感じがしてやめた
「。。。ミナは今後君と合わせない、ミナが会いたいと言っても合わせない」
マサキはそれを言うと扉を閉めた
その扉の先にはマサトがいた
「マサキ、なぜそんなにあの子を邪気に扱うんや?」
「許せないんや、ミナは僕以外の人間に自分から歩み寄ったりしない。。。。でもあの子には僕の知らない顔を見せる。。。。それが一番許せないんや」
マサトは渋い顔をしてしばらく考え込んだ
「。。。。。嫉妬ちゃう?それ」
「ちゃうもん!!確かにミナがあの子の前で笑うとこう。。。なんかくるもんあるけど」
マサキは膨れながら
手をバタバタさせた
「。。。それで、ミナの様子は?」
「とりあえず臓器破裂してると最初に言ったが調べた結果臓器破裂ではなくてマザーの術の一つ『ラノぜ・インジュリ・イル』と言う文字が臓器に書かれていでミナは逆らったり蹴られたりすると吐血する様になってたんや。。。。。。けど、マザーも焦っていたのか最後のイルというところをレイと書いていた」
「レイ?」
「最後の文は能力の対象者なんやけど、レイは女性という意味。。。ミナは女性に当たらないからこのせいで効力が低くなっていたから簡単に解くことができたんや」
「じゃ。。。回復も早いってこと?」
マサトは首を横に振った
術がかけられていたとはいえ
拷問のせいで肉体的と精神的に疲労しているのは事実
そうなれば自然回復は時間がかかるだろう
マサトはめんどくさそうにこれらを話した
「。。。。。。ミナは今どうしてんの?」
「目だけ動かせるから目でコミュニケーションをとっている」
マサトがいうにはコミュニケーションはとれたものの
目で文字を見るのだがそのほとんど愛美に対してだった
しかしその内容に一つ気になることがあった
「気掛かり?」
「これはチャンスかもしれん、フローラがなぜミナだけを連れてきたのか。。。フローラの違和感に気づいてるか?」
「。。。。。あ、あの大きい子がいない!」
マサキはハッとしたようにマサトの顔を
みた
「そうや、あのデカブツがいない。。。。。。それについてミナは「あの子は純粋すぎる性格だから少し話をするところっと意見を変えてしまう」だそうだ」
「まさか「もうフローラの命令には従わないで、それはとても悪いことなの」。。。。。とか?」
マサキは高い声でミナの声を真似た
マサトはその声に笑ってしまった
「まぁ、お前の言ってることは大体合ってるな。。。。。フローラとトールが途中でブラックホールに押し込まれたのもあのデカブツ関連で何か起きたんやろう」
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「ごめんなさい。。。」
「何回も謝んな、お前の行動は正しい。。。。。けど流石に硫酸入りのやつかけるなんてな」
「優里ちゃんが「チューバーとマスコミのために置いておく!」って半ギレ気味においたんじゃん」
向日葵はジト目で優里をみた
優里はしばらく考え込んだ
「そうだったか?」
「そうだよ」
「あの女の人ってどうなったの?私人殺しになっちゃったの?」
「それがあたしがお前らの安否を確認してもう一度外に行ったら警察どころか野次馬すら来てねえ状態だった。。。。残っていたのは雪」
「雪?」
優里がまだ溶けきれていない赤黒い雪をジップロック越しに見せると向日葵は不思議そうに考えた
「でも、今の季節的にありえないと思う」
「そうだな、おそらくだがあいつは雪女の妖怪だ」
「じゃあしん」
「でるとおもう、雪女の構造は雪だから死んだら雪に戻るってのは本で見たことあるし」
優里のあっさりした答えに向日葵は眩暈がしそうになった
「とにかくだ、あたしらは何も見なかった。。。。江真が硫酸入りのスプレーを使ったことも。。。。。季節外れの雪を見たことも。。。。。。なかった、いいな?」
優里のマジトーンに向日葵はただ頷くしかなかった
優里と向日葵は雪を小さな箱にしまって
手を合わせた
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「コユキの反応が。。。。消えた?」
アメリアは水晶に映っている結晶の模様が消えたことを確認して顔面蒼白になった
「そんなのありえない!あの子が普通の一般人に負けるなどない!勝手に行動した挙句に殺されたってマザー様に知られたら」
アメリアは半狂乱になりながら部屋を出た
クシャア
ポタ
ポタ
ポタ
「。。。。。我が来ないと何もできないゴミはいらない、1人目は勝手な行動を2回もして地球に行った挙句に殺され2人目は取り乱し余計なことをしようとしたから我に殺された2人とも哀れな人生だ」
アメリアの首を持ちマザーは微笑みブラックホールの中に消えた
「。。。。。。。。」
「。。。。どうや?他に何かあるか?」
ミナは目で文字を追って
“ない”とだけ答えた
「。。。。フローラに関してはあのデカブツが言うこと聞かなくなりマザーはフローラを緊急で呼び。。。って感じやな」
マサトは憶測で話したが
ミナの表情は違うみたいだ
「。。。。。。」
“きまぐれ”
そう目で文字を読んだ
マサトは何か引っかかる違和感を覚え
その場を後にした
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「。。。。。。。。。。」
「黒澤凪乃、そんなところでどうした?マザーはもういない」
「うるせえ、俺に構うな」
渚は窓をぼーっと眺めて
声をかけてきたマサトを冷たくあしらった
---------猫又妖怪の父親が誰かって?我だ----------
「。。。。。。。」
「わいがなぜお前のことを黒澤凪乃って呼ぶのかわかるか?」
マサトは渚の隣に行き
同じく窓を眺めてそう呟いた
「なんでなんだよ?黒澤ってあの猫又妖怪の苗字?」
「猫又妖怪の地球での苗字は豹猫。。。。。黒沢っていう苗字ではない」
「じゃあ、マザーがそういう苗字を持っていたとか」
マサトは首を横に降ると
渚用に作った説明を書いたイラストを出し
そこには
【地球には陰陽師がいてその陰陽師の力で余程の悪の心を持った悪魔は地球には入れなくなっている】
ということが書いてあった
「これがどうしたんだよ?」
「マザーの苗字ではなければ地球にいた猫又妖怪の自身のDNAを残すために種づけをするなんて不可能。。。マザーは当時自身の側近だった手下を使って側近の間にできた子供に後からDNAを投与する方法を考え送り出した」
側近の名前はクロノワール・エンシャロット
地球での苗字を黒澤 炎として送り出した
でも、とある誤算が生まれたそれは猫又妖怪に惚れてしまった側近が子供を作った後に猫又妖怪に全てを話し逃げてくれと頼み込んでしまった
全てを知った猫又妖怪は自分が産んだ娘を地球の施設に預けてしまった
「それって。。。。」
「お前のことや黒澤凪乃、おそらくマザーが我の子って言ったのは本来お前はマザーのDNAを注入されるはずやった子供やからな」
渚はしばらく考えた後
胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべた
「なんだよぉ。。。。俺が汚れた血を持った子供なのかとずっと思ってたんだ」
「やろうな、今日のお前どっかおかしかったもんな」
「なーんだ!マザーの血が混ざってなかったらいいんだ!」
渚は窓から離れ
手を広げた
その様子をマサトは少し安心したかのような笑みで見ていた




