第二話 イストワールド
「。。。大丈夫ですか?」
「。。。君は?」
「今朝から貴方のこと見てたので。。。これよかったら」
飛鳥はお茶を男性の手に持たせた
「いいのか?だって」
男性は言いかけて口を閉ざし「ありがとう」と言った
飛鳥はニコッと笑顔を見せコンビニに入って行った
「。。。。愛美と同じ雰囲気の子だったな」
男性は一粒の涙を流した
飛鳥はコンビニの本を立ち読みしてる渚に声をかけた
「もういいのか?」
渚は先ほどまで読んでいた本をレジに持って行った
「買うの?読んでたのに?」
「当たり前だろ、一回人の手垢がついた物をそのまま棚に戻すわけねえだろ」
渚は飛鳥にそう言うとレジでお金を払った
アリャトゴゼーマシター
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「。。。本当に行くの?」
「あたりまえだろ!」
そういいながら飛鳥と渚は
路地裏の入り口前まで来た
飛鳥はゴクリと喉を飲んだ
「おぁ!?みろよあれ!100万円が落ちてるぞ!」
飛鳥は渚を見失わないようについて行った
渚は「おほぉ!100万円だ!!!これだけあれば。。。。イヒヒ」
渚は笑みを浮かべくるくる回った
その瞬間渚の耳元で声が聞こえた
「み〜つけた」
その声は飛鳥にも届いており
嫌な予感がした飛鳥は渚の腕を引っ張った
しかしその瞬間目の前が真っ暗になった
渚達が100万円だと思っていたものは
青い猫に変わった
「にゃーん。。。。」
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「。。。すか」
渚が飛鳥の肩を揺らした
「飛鳥!!!!」
でかい声で飛鳥を呼んだ
飛鳥はその声に目を覚まし
渚を方を見た
渚は不安そうな顔で飛鳥を見ていた
「よかった。。。。息してねえからどうしようかと思ったぜ」
飛鳥は起き上がり
周りを見渡した
飛鳥が見てる景色は今まで自分たちがいた景色とは違ったのだ
「ここは?」
飛鳥は心配そうに見上げている渚に問いかけた
「それが。。。わかんねえんだ、書いてる文字も日本語。。。ではなさそうなんだけど喋ってる言葉はどう聞いても日本語だし意味がわかんねえ」
渚は頭を抱え
飛鳥にパンフレットを見せた
そこに書かれた文字は英語でも日本語でもない
「ここってさ。。。異世界とかではない??」
「まじで!?異世界転生やっほい!」
飛鳥はそんな渚の首元を掴み
前に進んだ
しかし、屋台などが見えてきたところでロボットに阻まれた
「コノサキハジュウミントウロクヲオコナッテイルカタイガイタチイリキンシデス」
ロボットは飛鳥と渚の前で警告音を鳴らし
道を防いだ
「あぁ?んなのしらねえよ!俺らは緊急なんだよ!」
渚がロボットに殴りかかろうとするが
飛鳥は渚の腕を止めた
「キンキュウノショウサイヲオシエテクダサイ」
ロボットは何事もなかったかのように
飛鳥の方を見た
「異世界に飛ばされたみたいなの、ここはどこなの?」
「ココハキボウノマチ【イストワールド】」
イストワールドという名前はどう考えても日本でも外国でもなかった
飛鳥はしばらく考えていた
「アナタタチハ[マヨイビト]ナンデスカ?」
「迷い人ぉ?」
「マヨイビトハトツゼンコノセカイニキテシマッタヒトノコトヲサシマス」
「そのまんまだね」
「そうだな」
「マヨイビトナラコユキサマニゴレンラクヲシマスガヨロシイデショウカ?」
小雪。。。。この世界に人がいるのならまずはその人に合ったほうがいいだろうと飛鳥は考えた
「お願いできる?」
「ワカリマシタデハコユキサマニツナゲマス」
ロボットの胸のタッチパネルに受話器のマークが表示されていた
暫くすると女の子が高そうな車に乗り
執事みたいな人と一緒に飛鳥の前に現れた
ストレート巻き髪型のお嬢様みたいな女の子だった
飛鳥はその綺麗な姿に暫く見惚れていたが
渚に頬をつままれ意識が戻った
「あの。。。」
「知っています、貴方達は迷い人。。。この世界に意図せずにやってきた可哀想な子羊」
コユキは飛鳥の頬を悲しそうな顔で撫でた
「貴方達がここに意図せずに来たのはおそらく魔王のせいです」
コユキの言葉に渚が反応した
「魔王?」
渚は目をキラキラさせながら
コユキに詰め寄った
「貴方達は魔王のせいでここにきたのです、魔王マザーは新しい器を探しています」
「器?」
コユキは飛鳥達に説明した
器というのは体ということ
マザーは全世界を自らの物にしようとしていること
そのためには若い体が必要だということ
そのために飛鳥達は連れてこられたということ
だからマザーから守るために避難場所を
用意してあるということ
コユキは渚にもわかりやすいように絵で説明をした
「でも、路地裏で声が聞こえたのは女の子の声」
そう言いかけた飛鳥の言葉を遮るように
コユキは「ここで立ち話するのもあれなんでまずは住民登録をしてしまいましょう」と
コユキは指を鳴らし
先ほどから静かに話を聞いていた執事が奇妙な機械を持ってきた
「コユキ様、こちらが機械になります」
老人が出してきた機械は
住民登録と書かれていた
「なんだこれぇ!?」
「ここに手をかざしてください」
コユキの言う通りに手をかざすと
飛鳥達の情報が画面に映し出された
「すげぇ!」
コユキは珍しそうになかなか手放さない渚から機械を取り上げた
「それでは貴方達の住民カードはこちらになります」
「うわぁ!特に面白味もねえシンプルなカードだぁ」
「それでは次に学園に行ってもらいましょうか」
後ろにいた執事が日傘を差し出した
「それではついてきてくださ。。。いや、少し待ってください」
そういいコユキは物陰に隠れ
誰かに電話をした
「。。。アメリアさんですか?コユキです」
コユキは周りを気にしながら
話しかけた
電話の向こうから甲高い声が聞こえた
『はぁーい!コユキちゃん?どう新しい器見つけられた?』
「ええ、しかし2人もいますマザー様の体はおひとつ」
『あらあらぁ。。。。。ならもう1人を殺すしかないわね』
「そうですね、どうしますか?ここで殺しますか?それとも。。。。」
『面倒だからここで殺しましょう、マザー様のお気に入りはあの人のみと考えたら。。。。あの人の手を汚さないでくれとかわいい王子様に頼まれてるから
「それはそれは。。。。あの王子らしいですわですが。。。。。あの子。。。もう一人の器候補だった物の処分もそろそろ決めないと」
『あの子は動き出さないわよ、あの人が人質になってる限りは。。」
アメリアとコユキは高笑いをした
そしてコユキはアメリアに必要なことを教え電話を切り
飛鳥達のところへと戻った
「それでは学園に案内を致します」
しばらくしてとても大きな建物が飛鳥達の目に飛び込んできた
渚は初めて見る大きい建物に興奮したのか足をぴょんぴょんさせながら大はしゃぎをした
「ところでさっきからお友達様と正反対に静かなのですが。。。。お腹でも壊しました?」
コユキは心配そうなふりをして飛鳥をみた
「いえ。。。緊張してるんです」
飛鳥は笑いを交えながら答えたが
全てのことが綺麗に進みすぎてることに違和感と恐怖を覚えていた
その様子をコユキは察しており
アメリアへ早急に報告すべきだと考えていた
全てはことをうまく進めるために
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「うぉぉ!!!でけぇ!広ぇ!!!」
渚はレッドカーペットやシャンデリアを見て興奮気味にぴょんぴょん跳ねた
飛鳥はそばにあったソファに座り渚をじっと見ていた
しばらくしてコユキとアメリアが飛鳥達の元にやってきた
「どーもぉ、アメリア・アリアンナといいまぁーす」
アメリアは甲高い声で挨拶をした
飛鳥はアメリアに事の経緯を話した
アメリアはしばらく考えこみ
飛鳥達に元の世界へ帰れる方法を探してる間ここの生徒として勉強を受けることを提案した
「もちろんこの学園には寮があるわ、そして三食無料で食べられる。。。。悪い話ではないと思うんだけどぉ?。。。」
「飯がただでたべれんのか!?」
飛鳥理ろうと発言しようとしたが
嬉しそうな渚を見て
過去の渚の発言が頭によぎった
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「渚ちゃんお昼ごはんそんだけで足りるの?」
「あー。。。これ、昨日の晩ごはんの残りもんだし。。。。学校行ってるのって俺だけだからさ」
「食材買ってもらったらいいじゃん」
「ばぁか、んなことできっかよ施設の人数500人だぜ?施設の経営状態も危ういって昔百合から聞かされてんのにそんな贅沢な事」
グゥゥゥゥ
「お腹鳴ってんじゃん」
「。。。。。。仕方がねえんだよ」
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「。。。。。。楽しみだね」
飛鳥は渚に微笑んだ
それは親友が今度こそお腹いっぱいに食べられると言う
一つの期待からだった
そんな微笑んだ飛鳥を横目にコユキはアメリアと学園長室の中へと入った
「それで。。。目星の子はいた?」
アメリアが膝を机の上に乗せコユキに聞いた
「高宮飛鳥。。。。ピンクの髪の子がいいかと、あの子は母親の影響もあって悪魔の心を浄化する力を持っていますそれに感が鋭い」
コユキはニヤリと笑った
「私たちの行動を先読みする能力もある。。。。。。マザー様の体にぴったりだとは思いませんか?」
「では殺すのはもう1人の子?」
コユキはふふっと笑いながら
「ただ、殺すだけではマザー様のいい土産話にはなりません。。。。周りの人達とある程度仲良くなった頃合いをみて。。。。。周りを利用する。。。。ある日仲良くなった人が急に自分を殺しにきた恐怖絶望。。。うずうずしませんか?」
コユキはニヤァと嬉しそうに笑った
アメリアは目を瞑り手を叩き愉快そうに笑った
「それでは、実行の日を楽しみにしてます」
コユキの頭を撫でドアを開いた
外で待っていた飛鳥達の前に立ち
「それではこの学園の施設の説明を紙に書きましたのでよく読んでください
飛鳥は紙に書かれていることを丁寧に読んだ
・朝は7時に起きる事
補足:起きれなかった場合5分おきに料理長が起こしにきます
・朝はパンがご飯選べます
朝昼晩ともホールの奥にある食事室で食べるので
時間になったら下に降りてきてください
(階段あり・エレベーターあり)
・生徒の部屋は奥で教師の部屋が手前になります何かある場合は手前の部屋に入ってください
飛鳥と渚はそう書かれた紙を読んでいった
「めんどくせぇからとりあえず必要なことは飛鳥に
教えてもらうか」
渚は紙をくしゃくしゃにしてポケットの中に入れた
飛鳥はその下にある文字に違和感を覚えた
・本学園で死亡した場合こちらの責任は一切問いません
普通に暮らしていたら死亡なんてあるはずがないからだ
飛鳥はこのことに聞こうとするが
コユキはまたも飛鳥の言葉を遮り
「それでは、貴方達の教師となる人をお呼びします」
とコユキは事務室の方へ行ってしまった
渚は奥の部屋の隣に貼ってある紙を見て大声を出した
「今日のメニューがあるぞ!うまそぉ〜!!」
飛鳥はその内容に驚愕した
そのほとんどにゼリーやプリンがついていた
それは特に不思議なことではないが
朝昼晩全部のところについて
しかもどれもゼリーとプリンだけだった
そしてお肉は何肉とかは記されていない
肉としか書かれていなかった
飛鳥はその光景に不信感を覚え渚の肩を叩いた
「流石にもう帰ろうよ」
「それは無理なんです」
「ひゃあ!?」
飛鳥は急に聞こえてきたコユキの声に
驚き後退りし人とぶつかってしまった
「あ、マサトさんこんなところにいたんですね」
コユキが笑顔でマサトと呼ばれた男の手を掴んだが
マサトはネズミを足で踏み潰したような顔をし
その手を払い除け
チラッと飛鳥達をみた
「。。。。。この子達が新しい生徒か」
「まぁ!知っておられたのですね!」
「知ってるからこれいじょうその不愉快な声を聞かせるな」
「まぁ強引ですわね」
コユキはふふっと笑いマサトの耳元で呟いた
「くれぐれも命令以外のことはやらないでくださいね?貴方の可愛い王子様がどうなってもいいのであれば私たちに逆らってもいいのですが」
「それでは教室と寮部屋に案内いたします」
マサトは拳を握りしめコユキの後を追った
しばらく歩いていると
コユキは立ち止まり
「それでは、ここが貴方達の勉強する場所です」
コユキは扉をガララっと開けた
その先には羽が生えた人間耳が生えた人間などいろんな人間がいた
しかしその全員が虚な目で飛鳥達を見ていた
「はぁーい!本日から皆さんと勉強する地球からきた子供たちでーす!」
コユキは飛鳥達を並ばせ
拍手をした
子供達も同じように拍手をしたが
みんな目を逸らしていた
飛鳥はその光景に不気味さを覚えた
ここにいてはいけない
そうどこかから声が聞こえたような気がした
飛鳥は何とかして帰る方法を考えようとしたが
渚は早くも溶け込もうと一人一人に声をかけた
飛鳥は頭を手で押さえ込み項垂れた
「お前、羽が生えてんだな」
渚は目の前にいた男の子に声をかけた
「まぁ、魔族なので」
「ほぇー!悪魔とかってマジでいたんだな!これからよろしくな!」
男の子はその手をゆっくりと握り返した
「それでは、授業が終わったら寮部屋に案内します」
残されたマサトはコユキが完全に見えなくなるのを確認し
教卓の後ろに立った
「じゃあ、席に座れ」
マサトは飛鳥達を手で払いのけるポーズを取った
渚はその行動に不満を持ちマサトに詰め寄った
「お前、それはねぇんじゃねぇの?」
渚は隣にいる飛鳥の肩を叩き安心させ
少し柔らかい口調でマサトを睨みつけた
「。。。。わいは君ら地球人が嫌いや」