30話
白凰だった青い化け物は今も身体の拡大を続けている。既に五メートルを上回っており、天井を突き破っている。
頭部から三本の鋭い角を生やし、手足は逞しく、爪は鋭く、尻尾は長い。蝙蝠のような羽は体のバランスを考えても大きすぎている。
だが、体は煙で構成されているからか、常に膨らんだり萎んだりしている。
「帝様、これが最後の一つだったようですね」
「それも、さっき初めて聞いたがな」
光線銃で化け物の頭を撃ち抜くが煙には効果がないのか、直ぐ様修復される。
「ヴァルケン、コイツの核の位置が分かるか?」
「体全体を攻撃してはいかがでしょう?」
「それは考えたが、大技発動時の隙にスライム擬きみたく分裂されたら見失うかもしれない」
今度は四肢に連続して光線銃を撃つ。
「こいつ、体重ねえのかよ」
四肢を撃たれた化け物は倒れる事はなく、宙に浮かんでいる。
羽が羽ばたかれていない事と魔術の発動を感知していない事から、単純に体積が大気よりも軽いのだろう。
粘液、鉱物ときて最後は気体か。一番厄介だ。
「爆焔槍」
ヴァルケンの言葉と共に、八つの巨大な炎の槍が出現する。
炎槍は化け物に突き刺さり、大爆発を起こす。
大気を燃やすような熱風が頬を撫でる。
体内から爆発を起こされたんだ。これで死ななければ核は無いのかもしれない。
「……凄いな。これ程の力を個人が有するなんて」
「そんな事はいいから。金髪少年、下がってろ。危ねえぞ」
「俺はメソラリア王国第一王子、デリックだ!」
「今更自己紹介かよ」
俺は視線を向けるデリック王子を無視し、固形物になった化け物の残骸を観察する。
残骸の魔力は消えていない。むしろ何も変化は見られない。
おかしい。
「ヴァルケン、腹一杯お前の炎を食わせてやれ」
「かしこまりました」
ヴァルケンは手を一度叩くだけで三つの炎の竜巻を生み出し、化け物の残骸に囲むように殺到させる。
化け物を襲う炎熱の監獄は化け物を逃さない。
「んっ?」
俺は手で制し、ヴァルケンに炎の竜巻を消滅させる。
ヴァルケンも俺と同じく異変に気が付いたようで、珍しく顔から微笑が消えている。
「なるほどな」
「私の炎に対する耐性を獲得したのですか」
ヴァルケンは淡々と呟く。
ラースであれば不機嫌になるのだろうが、ヴァルケンは至って冷静だった。最初からあの竜巻は本気ではなかったのだろう。本気であればあの化け物を殺せるのだろうな。
もし、そんな事をすれば四方数キロは一瞬で焼け野原だろうが。
化け物の残骸は、炎によって焦げた部分がゆっくりと回復していき、再び化け物を形作っていく。
体は先程と違い、白凰と同じ大きさまで縮んでいる。
その間にも光線銃を連発するが意味を成さない。
そして、──
「化け物が聖剣を持つのかよ。笑えるな」
化け物は白凰の使っていた白銀の聖剣を両手で掴む。
聖剣の白銀は濁ったような青い瘴気が混ざり、歪な魔剣のような形相と成り果てる。
化け物は右手で聖剣を振り上げる。
「何かヤバそうだな」
化け物は右手で聖剣を振り下ろす。
床は砕け、蒼白い濁った光が周囲に撒き散らされる。
俺とヴァルケン、そして化け物は空中に浮かんでいるが、デリックは重力に従い落ちていった。
「まあ、大丈夫だろ」
「そうですね」
俺は化け物へと視線を向ける。
化け物は俺に興味がないのか、俺の斜め後ろのヴァルケンへ視線を送っている。
「ヴァルケン、モテるって辛いな」
「私は色恋には興味がございませんので」
肉薄してくる化け物に距離を取り、魔術技を行使する。
「迅閃」
刹那、化け物の体が切り刻まれる。
だが、効果がないようで体を修復させる。
痛覚があるのか、化け物は叫び声を上げ聖剣を突き放つ。
俺は聖剣を避け、化け物の腕を黒刃で切り落とす。
再度響く絶叫。
俺は隙を与えず斬撃を繰り返す。
化け物の背中を、ヴァルケンの作り出した炎の爪が焼き払う。
化け物は修復した右腕をヴァルケンへと振るうが、ヴァルケンは容易にかわしお返しと言わんばかりに化け物の腹部を焼失させる。
「正直、手詰まりだな」
「周辺への被害を考えなければ、いくらでもやりようはあるのですが」
「そうだな」
全くの同感だ。
化け物の修復速度は間違いなく遅くなっているのだが、目を見張る程の変化があった訳ではない。
「ボクハ、ユウシャ、エラバレタ、マコトノユウシャ」
「喋ったかと思ったら、承認欲求を吐き出しただけかよ」
化け物には口は見当たらないが、どこかしらに発声器官があるらしい。
化け物が落とした聖剣を探すように見下ろしている。
俺達よりも聖剣の事が気になっているようで、ヴァルケンに炎で体を貫かれようが、悲鳴を上げる事もせずに一心不乱に聖剣を探している。
化け物には、白凰優馬──いや、この場合は木原颯汰と言った方がいいな。木原颯汰の願望が強く反映されているようだ。
英雄願望に承認欲求、挙げていけばきりがないが、年頃の青少年なら誰しも持ち合わせている物なのだろう。
化け物に禍々しい漆黒の大鎌が襲う。
テラだ。テラが自身の魔道具である死神の大鎌を化け物へと振り下ろしたのだ。
化け物はテラの不意討ちに対処できずに、大鎌に脳天から股間まで刃が通るが、体は裂かれない。それは、死神の大鎌の能力故だ。
死神の大鎌の能力とは、刃が触れた任意の対象の魂を肉体から切り離し冥界へと追放する事。つまり、今回のように真っ二つにするような振り方はしないのが普通なのだ。
「テラ、やったか?」
「ミカド、それフラグだから。言っちゃダメなヤツ」
テラが手足をバタバタさせながら必死に「フラグ、ダメ、ゼッタイ」と叫んでいる。
確かにフラグっぽいが大丈夫だろ。魂を切り離されて無事な奴なんている訳がない。
化け物は宙ぶらりんと宙に浮かんだままだ。
まるで、操り人形のように。
だが、フラグを建てたツケは回ってきた。
化け物の腕が痙攣する。
化け物の足が振動する。
化け物の体が脈動する。
化け物の首が捻れる。
そして、突如身体中に開かれた瞳が、狙いを定めたかのように俺を見ている。
嫉妬が、絶望が、憎悪が、憤怒が、俺を見ている。
「本当に面倒だ」
俺は呟く。
化け物は一度下降し、直ぐに戻ってきた。
その腕には大事そうに聖剣が握られている。
「そろそろ終わりにしようや、白凰」
化け物は応えるように叫ぶ。
裏切りか。
今更思う。
もし、俺がお前ならばどうしただろうか?
そのような問いの答えは決まっている。
考えるだけ馬鹿馬鹿しい。
だが、とある一点だけを見れば、似た者同士というのは、あながち間違いでもないのかもしれない。
どうせ俺にはお前の苦しみは理解できない。しようとも思わない。
ならばやるべき事は同情ではない。優しい言葉を投げ掛ける事でもない。
自己満足の優しさなんて、互いを傷付けて終わりだ。
そんな物、聞き飽きた。
化け物は再度叫ぶ。
抱えきれない苦しみを放つような悲痛な叫びだ。
悪いな白凰。俺には、どうやらお前を救ってやる事はできないらしい。
化け物が聖剣に光を収束させ始める。
もし、お前の前にいるのが俺ではなければ結果は変わっていたかもしれないな。
化け物が白銀に輝く聖剣を天に捧げるように掲げる。
俺は、お前に更なる苦しみを与える。
せいぜい俺を憎んでくれ。恨んでくれて構わない。
化け物は聖剣を振り下ろす。
同時に俺は魔術技を発動させる。
「抉空」
空間が消失した。
順を追って言えば、化け物が居た空間が捻れ、その空間内にあった万象が捻れの中心に吸い込まれた。
この魔術技は、指定の座標内に存在する全てを別世界──つまり異界へと追放する。
勿論、当然の如く様々な問題と制約が存在するため、今回のように簡略化して発動しなければならない。その上、今の俺は全力を発揮できる程の調子は戻ってきていない。
一か八かとはまでは言わない。成功確率は八割を僅かに下回る程度だったのだが、一度使えば再使用までにはそれなりの時間を要するため、使いたくなかったし、使えるタイミングもそうそうなかった。
「帝様、見事でした」
ヴァルケンが俺の近くへと寄ってくる。
「ミカド、今度こそ終わりみたいだね」
「ラースは達は?」
大鎌に、まるで空飛ぶ魔法の箒のように腰掛けるテラに尋ねる。
「タマリさんとオリヴィアさんは下で勇者達が瓦礫の下敷きにならないように妖術と精霊術を使ってるよ。ちなみに、皆無事だよ。戦いで生き残った人間に限るけど」
「そうか、ラースは死んだか。惜しい奴が死んだな」
「勝手に殺すな!」
下方から怒号が聞こえる。
声の聞こえる方にはラースが両手を振り上げている。
「飛べないのか?」
「…………」
「ラースは飛べませんよ」
ラースが押し黙った時点で「なるほど、飛べないんだ」と思ったが、止めを差すようにヴァルケンが告げる。
それにしても見渡す限り瓦礫の山だ。
流石の俺でも罪悪感を禁じ得ない。まあ、壊れたのが王宮だけだし。全壊している訳ではない。手加減の賜物だろう。
「帝様、王宮が半壊してしまいましたが、いかがいたしましょうか?」
いかがいたしましょうか?そんなもん、こっちが聞きたいよ。
「ヴァルケン、何か良い手はあるか?」
「申し訳ありませんが、帝様のご負担になるような案しか思い浮かびません」
「そうか」
俺の負担になる……か。
脳裏をよぎるのは、メソラリア王国のために命懸けで戦う王国騎士団の騎士達、最後まで白凰を理解しようとしたデリック、非力であるはずなのに恐れず案内した名前を聞いていない金髪少女。
……やっぱり止めよ。
だって、アイツら殆ど邪魔だったし。ゲームで無力な仲間を守りながら敵を倒すみたいなハンデを背負ってる気分だったし。
「彼らに後は任せよう。人は前を見て生きていけるから」
「ミカド、良い事を言ってるみたいな顔をしてるけど、ただ面倒なだけでしょ?」
俺は逃げるようにラースの近くまで降りる。
「帝、上で何を話していたんだ」
「何も」
タマリとオリヴィアの魔力の反応を感知した場所まで歩く。
「お前達は無事らしいな」
「帝様ぁ、終わったんですねぇ」
「ねえ帝、お疲れさまでした」
二人の奥には、すやすやと気持ち良さそうに眠った勇者達がいた。
「呑気なもんだな。だが、これで終わった」
無意識に吐露した呟きは、夕焼けと共にやって来たそよ風にかき消された。
メソラリア王国のクーデターから三日が経過した。
俺はメソラリア王国国王の前に座っている。
部屋の端には、国の有力者達が集まっているらしく、鋭い視線が向けられている。
特に、国王のユリウスというこのオッサンは、自室が壊されたようでかなり機嫌が悪い。
……帰りたい。
「つまり君は、勇者達と同じ世界からやって来て、連れ帰りに来たらクーデターが起こされて、偶然助けたと?」
「さっきからそう言ってるはずだけどな」
「そうかそうか。なら、君の愉快なお仲間が私達を誘拐したのは?」
「それは……まあね?」
白凰にクーデターを起こさせるためだったもんな。
「危なさそうだったからな、うん。要人は早い段階で逃がすべきだと思ったんだよ」
「クーデターが起きる前なのにか?」
「ああ」
「私達が居なくなってからクーデターが流れるように引き起こされたと聞いたが?」
「そう感じただけじゃないか?」
ユリウスは大きなため息を吐き出し目を瞑る。
「結果的には、メソラリア王国はお前達に救われたと言えるな。デリックが無事であればな」
デリック王子、アイツは勇敢な男だった。
化け物が床を叩き壊し、無様に落ちていったが。
「その通りだ。両手両足が見事に折れた。他にも挙げてやろうか?」
「結構だ。それでも国を救えたんだ。安いもんだろ」
デリックはソファーに寝そべっている。身体中に包帯を巻いているため棺に入る前のミイラにしか見えない。
「そうですよ!帝様は凄いのですよ」
包帯男と成り果てたデリックの体をペシペシと叩くのは、金髪少女──もとい、ナターシャ王女。
「帝様は父上を倒されたのですよ」
ユリウスは呻き声を漏らす。
アレはビビった。
初対面にも関わらず、いきなり名匠がこの世に生み出したのであろう名剣を振り下ろしてきたのだ。
真剣白刃取りを実際にやる日がくるとは思っていなかった。
そして、国王が放った蹴りを蹴りで押し返し、頭突きをかまして気絶させた所を、レオウェイダとナターシャに止められた。
その後レオウェイダから説明を受けたが、それ以降敵対的な視線を向けられている。
ナターシャ王女の妹であるライア姫は愛しの白凰がクーデターを起こした挙げ句、行方不明になったと知らされ自室に引きこもってしまった。
やった事を考えると恨まれてもしょうがない。何せ、白凰はライア姫の初恋の相手だったらしい。
若いって良いね。大海原のようにどこまでも青い。
勇者達に関してはヴァルケン監視の下、テラが記憶操作による異界の記憶の消去と勇者の力の抹消が行われ、日本に帰るまでは眠りについてもらっている。
人的被害はかなり出たようだが、それに関しては全くとは言わないが問題はないようだ。
王国騎士団団長のクラウスが八面六臂の活躍でどうにかなるらしい。日本ならブラックやー、だとか鬼畜の所業やー、とか言われるだろうがここは異界。そんなもん知ったこっちゃねえ!と言うのが常識なのだろう。
実際に、クラウスとアベル・ヘルダーという大臣はここには居ない。
「それで、本題に入ってもいいか?」
俺の言葉に、ユリウスが真剣な表情へと戻る。
「一つ目は、魔国に関しては本日を持って神月帝の支配下に治まるだったか?」
「そうだ、名前だけだけどな。それで上手くいくのなら名前だけでも貸してやるさ」
「二つ目は、魔国には今後一切の侵略行為を禁ずる。ただし、魔国が武力行為に及んだ場合は例外とする」
「そして最後が、世界の真実の公開だ」
ユリウスだけでなく、この部屋にいる俺以外の全て者が顔に影を落としたように暗くする。
当然、この行為には多大な危険が起こりうる事は知っている。
それでも、白凰の理解者が一人でもいてほしかった。
これは俺の我が儘だろうか?
きっと我が儘だろう。どうしようもなく幼く、哀れで、惨めな我が儘。
もしかしたら、白凰を己の過去に写してしまったのかもな。
「勿論、俺が手を貸す。なんならラースを派遣してやろう」
メソラリア王国の軍事関係者が顔を青ざめる。
ラースはこの三日間、王国兵をしごきにしごき、声にならない悲鳴と苦情が後を絶たないらしい。
「分かった、受け入れよう。他の四体国は私が説得する。神月帝には敵対するなとラードレインの二の舞を起こすなとな」
「……知っていたのか?」
「三日もあったんだ、調べくらいはつくさ。明後日にはラードレインの勇者が我が国にやって来るぞ。お前の噂を聞き付けてな」
この国王、やりやがったな。
「それともう一つメソラリア王国の国王としてお前に提案がある」
星は瞬く暗闇のカーテンが天を覆う。
美しい景色はどの世界でも変わらないらしい。
気まぐれで朧気な月明かりをバルコニーから眺める。
「神月帝、少しいいか?」
「どうしたよ国王陛下」
「ユリウスでいい」
昼とは違い覇気を感じない。
まるで急激に歳を取ったかのように、疲れきっているらしい。
「酒は飲めるか?」
「俺の国では二十歳になるまで飲めねえよ」
「ここは違うぞ」
「そうだな、確かに違う。頂こう」
俺は国王からクリスタルのグラスを貰い、酒を注いでもらう。
グラスを回せば紅蓮の美酒が踊る。
芳醇な香りが鼻腔を擽り、舌に触れれば重厚なコクと豊かな風味が味覚を支配する。
「俺の世界にも似たような酒がある」
「そうなのか。どうやら、人間はどの世界でも美味を追い求めるのが性らしい」
ユリウスは自分で酒をグラスに注ぎ、一気に飲み干す。
「おいおい、いきなりそんなに飲んで大丈夫か?」
「飲まないとやってられん事もある。今回の一件で多くの民が死んでいった。白凰優馬、アイツは一体何者なんだ?」
「話は包帯グルグルから聞いてるだろ」
「ならば、インディは、──いや、トラベラーと言ったなアイツはなんだったんだ?ずっと私の側に居たのに。私の良き相談相手だったはずだ」
ユリウスが妙に白凰の姿と被る。
「アンタは白凰とは違うぞ」
「……どうした?急に」
「白凰は幼馴染に裏切られたらしい」
「それは聞いている」
「だから、心の中で何かが壊れちまったんだろうな。家族を捨て、名前を捨ててまで。だが、壊したのはアイツの人生だ。選んだのは白凰自身だ。だがアンタは違う」
ユリウスはしばらく考えるように黙るが、結局結論がでなかったのか、降参するように両手を上げる。
「難しく考えるなよ。アンタは国王だ。背負ってるのは自分の人生だけじゃない。力を持つとはそういう事だ。それが力を得た事への制約だ」
国王は何も言わない。
この男は強い。きっと白凰と同じ道は辿らないだろう。
「国王と言えど、何事も上手くいかないのだな」
「アンタは所詮人間なんだ。完璧である事を諦めろよ。中途半端で微妙な結末でも割りきるしかねえよ」
数分の沈黙の後、ユリウスは再び酔いが回ったのか、顔を赤くさせながら下世話な話を始める。
「それにしても、よくもきっぱりと私の娘との婚約を断ったな。本人の前で」
「俺にはやるべき事があるからな」
「じゃあ、それが終われば婚約するのか?」
「どうだろう、少なくともそれはないな。だが、これからの事は誰にも分からない」
俺は空を見上げる。
「今回の一件はまだ終わっていない」
「どういう事だ?」
ユリウスが眉をひそめる。
「俺は途中まではトラベラーが全ての元凶だと思っていた。だが、そうじゃなかった。もう一人いたんだよ。白凰の協力者が。本当の黒幕がな。俺は地球に戻ってケリをつける」
「そうか、任せたぞ。それが終わったらナターシャとのこ──」
「夜は長い、最後の夜を楽しんでくるよ。それと、明日王宮を直してやるよ」
俺は、バルコニーを後にした。




