3.魔の海域
海に出たロイドたち。
だが、船頭が【魔の海域】に船を進めた!
彼の狙いは初めから魔の海域にある宝島のお宝だったのだ!!
『前人未踏の宝島だ。分け前があるんだからいいじゃねぇか』
それが彼の最後の言葉になった。
彼は島を探索に行き、戻って来なかった。
心配になりロイドたちが探しに行くと、彼の服を着た骸骨が話しかけてきた。
「ようこそ、お客人。おれはこの島の主、パルクゥーン。お友達募集中だよ?」
◇
異常事態にロイドたちは転移で船ごと共和国に引き返した。
レオンとダオは早い帰還に驚きつつも歓待した。
「だから言っただろ。あの海はヤバい。帝国の沿岸を密航して進んだ方がまだ確実だ」
「戻って来られただけあんたもヤバいけどね」
船員たちは恐れて、リトライを拒否。
戻る前に何度も船を出して島を離れようとしたが、潮の関係か脱出できず、何度も岩礁に乗り上げてしまった。船もリペアが必要だった。
「あの島、有名なんですか?」
「島自体は見て戻った奴がいない」
「え?」
「大昔、あの一帯を牛耳っていた海賊の中に、一人だけ魔の海域を進める男がいたらしい。その男は海域の中にある孤島に財宝を隠したと言われている」
「残っているのは船乗りの間で歌い継がれた唄だけ、だったのにねぇ」
財宝が眠る島に真実味が生まれたので、それが目当てのトレジャーハンターたちが海に出た。
だが、誰一人戻らなかった。
ロイドたちと共に戻った船員たちの実話も広まり、魔の海域に近づこうという船乗りはついにいなくなった。
「どうしますかロイド侯。一端南の緑竜列島に行き、島伝いに西へ進むこともできますが」
「もうおれたちの船に乗るクルーは集まらないだろう。おれも良く知らんやつを信用できない」
「ちゃんとカルタゴルトで紹介された人だったのに」
「まぁ、島までたどり着いたから実力はあったわけだが」
ロイドたちは困り果ててしまった。
「よし決めた」
カルタゴルトで保険が下りた。
船を修復し再びロイドたちは西へ船を出した。
しかし、船にロイドたち以外の船員はいなかった。
船はある程度進むと、転移した。
◇
「ヨーソロー、風よーし、マストよーし、視界良好ー!」
船の舵を握る手はむき出しの骨。
カタカタと笑いながら船を操った。
「やっぱりやめませんか? 船頭を殺したんですよ」
セイランがロイドに直訴する。
彼らの新たな船頭として選ばれたのは、宝島でロイドたちを出迎えた骸骨だ。
「なんで骨なのに動いているのか、得体が知れません」
「聞こえてるぜお嬢ちゃーん! おれのどこが得体が知れないっていうんだよ〜」
「全体的に」
「ひどっ! ああ、でもそういう辛辣な意見が聞けるの千五百年ぶりくらいな気がする!! うれしっ!!」
陽気な骸骨はロイドの見立て通り働いた。
骸骨の操舵、風や波、針路を把握する能力、技術は確かなものであった。
「宝に目がくらむ奴、骸骨を見て船を降りる奴らより、船と海を望むコイツの方が信用できる」
「船長、ありがたき幸せ。再び船でこの海を駆ける日がこようとは」
骸骨は眼玉の無い節穴でじっとロイドを仰ぎ見る。
「おかしなことをしたら島に戻すから」
「あれー? 信用の話はッ?」
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