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天橋家の居候共  作者: 丁嵐 拓巳
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プロローグ

俺は天橋日向、17歳。

高校二年生だ。

髪は普通の黒髪、髪型も特筆すべきところはなし。

顔も平凡レベル、親友と呼べるのは...二人ほど。

あとは、厄介な妹がいる。

この厄介な妹を除けば、俺は常に平々凡々とした人生を送っていた。


そして、これからも送っていくつもりだった。


あんなことが起こるまでは。


これからどんどん気温が上がっていくであろう、7月21日。

一学期、最後の日の放課後。

その後の俺の人生を狂わす事件が起こった。


それは下校途中の事だった。


「あっつー...」


隣でそう呟いたのは、数少ない親友の出雲星谷だ。

ハーフだそうで、茶髪っぽいのが混じった金髪。

だが、なんか場所的に、染髪に失敗したような感じになっており、不良によく間違えられる。

そのせいで友達が少ない。

いや、多分俺以外にいない。

本人は、毎回毎回、初対面の先生に注意されるから面倒だと言っていた。


多分、気にするところはそこじゃないと思う。

きちんと染めれば?と何度か提案したが、また染め直すのも面倒だと言っていた。

まあ、見た目ですごい勘違いされてるだけで、根はいいやつだ。


「暑い暑い言ってるとさらに暑くなるぞ」

「なんだよ。寒いって言えば涼しくなるのか?」

「知るかよ。試してみたらどうだ?」


俺がそんなことを言うと、出雲がうーん、と考え始めた。


なぜそこで考える...。


「だったらコンビニ寄ってアイス買ったほうがよくね?」


そして別の提案をしてきた。

寒いって言うかどうかを考えていたのに、なぜその結論に至ったのか...。

結局、涼しくしようとするところから始まってるから、遠ざかってはいないのか?


「よし、そうと決まったら、コンビニへレッツゴー!」

「コンビニはとっくに通りすぎたし、ここからなら家に帰ったほうが早い」

「えー...。口の中が既にスーパーカップ仕様になってるから...」


なんだよ、スーパーカップ仕様って。


「わかったわかった、俺の家にスーパーカップあるから食わしてやるよ」


カップ麺のほうだけどな。


「ひゃっほい!さっすが日向」


そこまで喜んでると、カップ麺渡したらどうなるのか気になっちまうじゃねーか。

多少、申し訳ない気持ちはあるが。


そんな馬鹿みたいな会話をしていると、背後から微かに足音が聞こえた。

その足音の主は俺が振り替える前に、


「お兄様ー」


と言って抱きつこうとしてきた。

のを予測して俺は横に避けた。


「そういえば、出雲は夏休み中、なんか予定あるのか?」


出雲に何事もなかったかのように質問をしながら歩くが、その間にも体制を立て直して、先程の少女が振り返り、抱きつこうとしてくるのを斜め右に避ける。


「親が二人ともアメリカ行ってるから、普通に家でゴロゴロしようかなー、と。お前は?」

「早めに夏休みの課題を終わらせて、ゆっくりしようかなーと」


出雲の両親は、年に一回、父方の実家のあるアメリカに旅行に行っている。


「出雲は行かなくてよかったのか?」

「うーん、俺はアメリカ語話せないし、別にって感じかなー」


アメリカ語じゃなくて英語だろ。

てか、話せないなら、尚更行ったほうがいいと思う。


「とりあえず話を続ける前に一つだけ」

「うん、なんだ?」

「毎度の事だが、それうざったいからとめてくれ」


出雲が指摘したのは、会話中もずっと飛び付いてこようとしてくる少女、もとい、俺の妹の月夜だった。


出雲のオーダーに従い、正面からきた妹の頭を片手で、ガシッ、とつかんで止める。


「うぎぎぎぎ...」


が、それでも向かってこようとする。


「ちょ、お前、暴れんなよ」

「だって、わたしを置いていったお兄様がいけないのですよ」

「だって、今日、お前は日直だったじゃねーか」

「同じクラスなのですから、待っててくれてもよかったじゃないですか!」


そう、俺と月夜は同じクラスなのだ。

なぜ同じクラスなのかというと、別に俺が留年したわけでもなく、ましてや月夜が特例で飛び級したわけでもない。

ただし、義妹でもない。


ただ、俺の誕生日が4月3日、月夜の誕生日が2月25日だからだ。

日まで言う必要は無かったな。


「あんな暑い学校で待ってるとか絶対嫌だ。あと、大人しくしろ」

「やーですー。愛してますよお兄様ー!」


この妹、俺が言うのもなんだが、重度のブラコンである。

年々、酷くなっているような気もする。


そんな妹だが、一応、外見はいい。

よく手入れされ、艶が出ている藍色の長髪。

よく整った顔。

最近、Fになりそうだ、とか本人が言っている自重しない胸。

本当に黙っていれば...いや、動かなければ普通にかわいいのに。


「むぐぐ...あとちょっと...」


なぜ、こんな風に育ってしまったのだろうか。


今さらだが、なんで俺は押されてるんだ!?

普通、腕伸ばして頭押さえてたら、押さえるこっちのほうが有利なはずだし、男子と女子の差もある。

しかも、最初とは違い、両手で押さえている。


「なぜってもちろん、愛の力に決まってますわ!」


納得できない。


「お・に・い・さっ、ま!」


抵抗空しく、抱きつかれた。

すっごく暑苦しい!(色んな意味で)


「毎度毎度、道のど真ん中でそんなことするなよ」

「俺は好きでやってるんじゃねぇ...」


てか、助けてくれ、出雲。

暑さで死ぬ、溶ける。

だが、その前におそらく、この興奮状態MAXな妹に絞め殺される。


「死ぬまで離しませんよ、お兄様」

「いや、待って。死ぬ!まじで死ぬから離せ!」


くそ、なにか、なにかいい案は...。


あ、そうだ!


「よし、月夜。今から家に帰って俺の為に美味しい夕食を作ってくれ。本当に美味しかったらたくさん撫でてやるから」


最後の撫でてやるから、という言葉を聞くと、目を輝かせて月夜が離れる。


「わかりましたわ、お兄様!お兄様のためにこの月夜、美味しい美味しい夕食を作りますわ!」


そう言って、家のほうに全速力で駆けていった。


「やっと解放された」

「いやー、大変だねぇ、日向くん」


同情半分、羨ましさ半分の声で出雲が言う。

羨ましいのなら変わってくれ。


と、まあこんな感じでいつも通りの日常が過ぎていった。


だが、俺の家に着く、最後の曲がり角を曲がったとき、異変は起こった。

トラックに轢かれたとか、空から隕石が降ってきたとか(例えが両極端過ぎるが)、そんなことではなかった。

だが、空から隕石以上に、不可解なものがそこにあった。

俺と出雲が曲がり角を曲がった瞬間、足元が青白く光った。


「な、何だ!?」


出雲が驚きの声をあげて、下を見る。

それにつられて俺も見ると、そこには...


「なんだよ、これ。魔法陣!?」


ファンタジー系の漫画やアニメなどで見る、魔法陣のようなものがあった。

急いで飛び退こうとするが、魔法陣の周りを囲うように、透明な壁があるかのように阻まれた。


「くそっ。おい、どうすんだよ、日向」

「俺に聞くな。なんでこんなものをどうすればいいか俺が知ってると思ったんだ。あれだろ、こういう場合は大人しく待機だ。とりあえず、落ち着け」

「なんでお前はそんなに落ち着いていられるんだよ!」


いや、内心パニクってるよ?

ほら、あれだよ。パニクり過ぎて、逆に冷静になってるやつ。


「お兄様が危険なとき、わたしあり!ですわー」


そんな声が十数メートル先で聞こえたと思ったら、家から飛び出して来たらしい月夜が、全速力でこっちに走ってきたいた。

そして、その台詞に文句があるとするならば、俺が危険なのは基本あいつのせいだ。

だが今回は問題ない、なんてったって見えない壁だからな。

魔法陣上に人を縛り付けておくセーフティのような存在だから月夜はそれに阻まれてジ・エンド、俺の元へ到達する事は不可能だろう。


だがそんな思考がフラグになったのか、その壁を通り抜けてこちら側に月夜が飛び込んで来やがった。

その月夜に抱きつかて、倒れる最中、色んなことを考えていた。


外から入れるけど、中に入ったら出れないとかそういうものだったのかなーとか、これからどうなるのかなー、小説のタイトル的に異世界関係ないよなーとか、こいつと異世界か...行きたくないなとか。


そんな途中メタい事を挟んで、月夜に押し倒されたところで俺の視界が暗転した。

初めて投稿しました!

プロローグだから文字数を5000文字以下に抑えてみましたがこれから先どうしようか迷ってます。

やっぱ文字数少ないほうが読みやすくていいんですかね?

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