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異世界で王子の暗殺頼まれました  作者: 菱沼あゆ


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122/149

お帰りになりました


「それにしても、堂端さんまで飛べるなんて。

 この世界に関係ない人間もこっちに飛べるものなんでしょうかね?」

と未悠が話していたとき、いきなり外に馬や馬車がやってくる音がした。


 襲撃っ?

と思う勢いだったが、扉を開けて流れ込んできたのは、王妃の一団だった。


「どうされたんですか? 母上」

といつの間にか、未悠の前に立っていたアドルフがユーリアに訊く。


「私が王の許に進軍しているのが王の耳に届いて、王が途中まで出てきたので、早く話ができたのです」

とユーリアは言った。


「それはよかったですね」

と言ったあとで、


「え? 進軍?」

とアドルフは訊き返していたが、未悠にはわかる。


 女にとっては、進軍に等しい行為なのだ。

 夫に隠し子が居るかどうか確かめに行くということは。


「未悠は王の子ではないのかと王に問い詰めました。

 すると、王はっ」


 王はっ?


「王は、そんな娘は知らぬと申すのですっ」


「……よかったじゃないですか」

とアドルフは、ホッとしながら言ったようだった。


「よくありませんっ。

 じゃあ、なんなのですっ、この娘はっ」

とユーリアは未悠を指差した。


 いや、なんなのです、と言われても、と思う未悠の前で、ユーリアは主張する。


「何故、王の子でもない娘が、王族しか開けられない箱を開けられるのですか」


 それそれ、そこが謎なんですよね~と思っていると、ユーリアは歌劇団か? というくらいの身振り手振りを加えながら、言ってきた。


「王は言うのです。

 お前が浮気しようとも、私が浮気することなどない。


 私が愛しているのは、お前だけだと!」


「素晴らしいじゃないですか、王様」


 自分の夫にもそのようにあって欲しいものだ、と思いながら、未悠は言ったが。


「未悠、騙されては駄目です」

とユーリアは未悠の手を握って言う。


「口先だけなら、なんとでも言えるもの。

 王がなんと言おうとも、私は信じられませんっ」


 いや、じゃあ、何故、貴女、わざわざ訊きに行きましたか……という顔を全員がしていた。


「だいたい、王の隠し子でないと言うのなら、なんなのですか、この未悠はっ。


 そして、あの者はなんなのですっ。

 シリオにそっくりですが、今度は何処の隠し子ですかっ」

と堂端を指差し、ユーリアは言う。


 言いたいだけ言って、大きく息を吐いたあと、ユーリアは、

「私はもう疲れました。

 寝ます」

と言って、階段を上がっていこうとした。


 だが、その階段途中に居たエリザベートに気づき、ユーリアは足を止める。


「ああ、エリザベート。

 いい人が見つかって、よかったわね。


 おめでとう、おめでとう。


 本当によかったわ。

 男には気をつけて。


 信用しちゃ駄目よ」


 どんな祝いの言葉だ、というようなことを言いながら、エリザーベートを抱きしめたあとで、ユーリアは去っていった。


 全員が呆然とその姿を見送る。


「……で?」

とまだ階段の方を見たまま、アドルフが言った。


「俺たちは結局、兄妹なのか?

 違うのか?


 そして、あの人は――


 一体、なにをしに行ってきたんだ……?」


 まあ、そこは追求しないであげてください……と同性なので、気持ちがわからなくもない未悠は、苦笑いしながら思っていた。





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