特別棟の探索6 ―日中―
〇side:シュエット
慰霊碑前で見聞きしたことは他言しないと誓約を交わして、私達は北の森を後にしました。
道中、誰もが口を噤んでいたのは、きっと見聞きしたものをまだ上手く消化できていないからでしょう。……私達にとって、衝撃のお話が多数語られましたから。
なかでも一番衝撃だったのは、王家ではなくアストル家が『偉大なる王』の血筋だということです。
……これ、一介の学生が知っていい情報でしょうか? とても危険だと思うのですけれど。
その情報のせいでちょっと殿下がおかしくなりかけましたが、マリア様のおかげでどうにか立ち直れそうな感じに。
やはり、愛は素晴らしいですわね!
「とりあえず、近くを目指すとなると、『時計塔の絶叫』が先だよね」
「……ひぃ……」
先生方からもらったマップを片手にクルト様が仰いました。
そしてレティシア様がお口をキュッと結ばれます。
……あぁ……こんなに明るい日中でも、駄目なのですね……
レティシア様は本物の幽霊だと怯えておいででしたけど、慰霊碑の『幽霊』はどうも魔法的な何かの気がいたします。おそらく、慰霊碑を前にした人々に向けた『最初の方々』のメッセージなのでしょう。
あそこまで鮮明ではありませんが、似た性能のものは私の家でも保管しておりますから、間違いはないと思います。代々伝える口伝の類はその魔道具で行いますから。
……アストル家ほどのお家でしたら、そちらにも似た類の魔道具があると思うのですが……
それにしても、アストル家の血筋が凄すぎます……どうしましょう、まだ上手く情報を消化しきれませんわ。先生方はあのお話、ご存じなのかしら……?
「レティシア様、時計塔というと、爺やさんが教えてくれた内容があるじゃないですか! それを考えながら行きましょう! ね!?」
思考に沈んでいたら、レティシア様をアリス様が明るく励ましておいででした。
爺やさんが教えてくれた内容というと……ああ! ありましたね!
「面白い仕掛けが施された時計塔、でしたわよね?」
「それです! どんな仕掛けなんでしょうね!」
「……その仕掛けとやらが『絶叫』に関係しているのかもしれないぞ」
「だとすれば、人為的なもの……つまり、幽霊じゃない……!?」
あ。レティシア様がちょっと復活なさいました。まだお顔は白いですけど。
思考をそちらに誘導した殿下がなんとも言えない微苦笑をされています。まだちょっと先の話を引きずっておいでのようですけど、隣で手を繋いでいるマリア様のおかげか昏い影はなりをひそめておられますね。
……最初にあの話を聞かれてた時、ひどい顔色でしたけど。
「『光る図書室』は仕掛けを施された本が光っていただけだったし、『温室の人魂』は精霊の宿に呼び寄せられた精霊だった。それに『慰霊碑の幽霊』は遥か昔の偉人からのメッセージだったでしょ? 長く伝わっている怪談とはいえ、蓋を開けてみれば種も仕掛けもある感じじゃない。時計塔だってきっと何か仕掛けがあるのよ。だからそんなに身構えなくても大丈夫よ!」
殿下のお隣にいるマリア様がレティシア様を鼓舞して、それでレティシアさまはグッと拳を握られました。
「そう考えれば、少し元気が出てきましたわ!」
「その調子ですわ!」
「うん。元気を取り戻してくれてよかった」
ユニ様とクルト様が微笑まれています。
ふふふ。皆仲良しで楽しいですわね!
殿下やマリア様とはだいぶ色々ありましたけど、最初の頃からは想像もつかないぐらい仲良くさせていただいていますし、このまま平穏に合宿を過ごせればいいのですが――
「あぁら? そちらにいらっしゃるのはレティシア様達じゃありませんか?」
ぁぁぁー……面倒なのが出たゎー……
「あら、エディリア様。ごきげんよう」
「ごきげんよう、レティシア様。流石に課題クリアのトップの方々は違いますわねぇ。お付きの方々を引き連れて優雅にお散歩だなんて」
まぁよく仰いますこと!
ご自分こそ似たようなご令嬢を何人も引き連れて歩いていらっしゃるくせに!
しかも全員ニヤニヤ笑って気持ち悪いですわ! ご自身のお姿を鏡に映して品の無いそのお顔を御自覚なさったら!?
「そういえば、そちらの方向には有名な怪談があるんじゃありませんでした?」
「あらあら、レティシア様大丈夫でしたのぉ?」
「よく気絶なさいませんでしたわねぇ!」
「レティシア様はお心がか弱くていらっしゃいますものねぇえ?」
「怖すぎて幽霊を探せなかったんじゃありませんこと?」
「よろしければ介助してさしあげてよ! ほほほほほ!」
はぁあああああ!?
「……シュエット殿。目が……目が怖いことになってるぞ……」
あら、エリク様。そうですか!? いけませんわね。こんな低俗な女達の為に私自身の品位を落すなんて、以ての外です! でも悔しい!!
あ! ユニ様のお目目も吊り上がっておいでです。駄目ですわ! ユニ様!! 笑顔、笑顔!
「ずいぶん楽しそうだが、レティシアならさっきまで幽霊と対峙していたぞ。立て続けに幽霊二人と会うとは思わなかったが、な」
「まぁ! 殿下、またレティシア様達につきあわさせられていらっしゃるの!? お可哀想に……!」
表情を消して仰った殿下に、エディリア様がとたんに媚びた声と眼差しになられました。
今更猫被ってもさっきまでの醜悪なお姿は誤魔化せませんわよ!
そしてレティシア様は素晴らしく美しい笑顔を浮かべられました。
「あらあら、エディリア様は視力が落ちてしまわれたのかしら? 殿下はマリア様とご一緒なのであって、私と一緒にいらっしゃるわけではありませんよ?」
「な……フンッ! そうやって煙に巻こうとしていらっしゃるんですわよねぇ? 嫌ですわ、ご自身の罪をいつまでも認められないお方って!」
「毎回炊事場で煙撒き散らしてる人がなんか言ってるわ」
「なんですって!?」
ツンとすまし顔で反論したエディリア様に、据わった目でマリア様がボソッと一言。流石に聞き逃せなかったのかエディリア様の目が吊り上がりました。
「やだ……怖い。殿下、あの方が私を睨んできます」
「……うん。困ったものだね?」
わざとらしく殿下に甘えるマリア様と、甘えられて嬉しいけど困り顔で苦笑している殿下。お二人の常の姿を知っている今の私達にとってはなかなか楽しい光景です。
マリア様、煽りの才能がおありですわね?
殿下の他のパーティーメンバーもニヤリと笑っておいでです。あら、エリク様とクルト様、苦笑気味ですけど口の端がニヤッと上がってましてよ?
「この……あばずれ……!!」
あらまぁ、エディリア様ったらすっごいお顔ですこと!
うふふ。皺がいっぱいですわね!
「殿下、あの方、全く関係ないレティシア様に毎回毎回絡んでいかれますの。レティシア様は私達と一緒に真面目に課題に取り組んでいらっしゃるのに! お友達でもないのにわざわざ嫌味を言いにいらっしゃるなんて、余程沢山の課題をこなし終えていらっしゃるに違いありませんわ。殿下の方からお尋ねになってみてはいかがでしょう?」
「なッ!? あなた! 図々しいですわよ!? 殿下を使おうだなんて恥知らずな!」
「私の方が地位が低いのですもの。高位の方に直接お声がけするなんて、そんな恥知らずなことできませんわぁ~。ね? 殿下?」
あら~。煽る煽る~。
「今更なに猫被っていらっしゃるの!? そもそも一番高位の殿下の腕にすがりついてる時点で恥知らずなのよ! だいたいねぇ! 貴方の本性なんて周りにバレてるのよこの泥棒女狐! どうせその無駄に大きなお胸で殿下を篭絡したのでしょう! なんてふしだらな人かしら!」
真っ赤なお顔でブルブル震えていらっしゃいますが、引っかかりましたわねこのお馬鹿さん!!
私の目がギラッと光ります。
ユニ様とマリア様の目もギラッと光りました。
「まぁ! なんてことでしょう! 公爵令嬢ともあろうお方が! あのエディリア様が!! 女性のお体の性的部分を声高に叫ばれるだなんて!」
「嫌ですわ! なんてはしたない! こんな公爵令嬢がいるだなんて! 国の恥ではありませんこと!?」
「しかも胸で殿下を篭絡しただなんて! なんという不敬な発言をなさるのかしら!! 殿下の品位まで貶めようとするだなんて!! 公爵家はどのような教育をなさっておいでなのかしら!」
「な、な、なッ!? 待ちなさい貴方達!」
私、ユニ様、マリア様の張り上げた声に、近くを通っていた生徒達が集まり始めました。
さぁ! まだまだ始まったばかりですわよ!!
「ああ、可哀想なマリア様! 女性的な魅力の詰まったお体をエディリア様にいやらしく貶められるなんて!」
「あぁっシュエット様……! 私、一人の女として胸が張り裂けそうですわ! 好きでこんな体格をしているわけではありませんのに!」
「しっかりなさってマリア様! あのような猥褻な目で女性の体を見る方が悪いのです! マリア様は悪くありませんわ!」
「ユニ様っ……!」
目に涙をたたえて、ガシィッと手を握り合います。殿下達が呆気にとられた顔で私達を見ていますが、無視ですとも。
あと、レティシア様、私達を見た後でご自身の胸を見下ろしてしょんぼりするのはおやめください。
「だ、誰がいやらしいですって!? そもそも、貴方達は仲が悪かったのではなくって!?」
エディリア様が形勢が悪いとみて話を変えてきました。
ええ、確かに最初の頃は仲が悪かったですわ!
けど、ずっとそのままというわけではありませんのよ!!
「まぁっ! 誉れ高き学園で学ぶ身でありながら、浅学でいらっしゃること!」
ずいっと一歩前に踏み出したマリア様が、豊満なお胸を揺らして言い切りました。
「昨日の敵は、今日の友よ!」
いやだ。思わず目がお胸の揺れに釘付けになってしまいますわ。
前々から思ってましたけど、その特殊胸部装甲、重くありませんの?
ユニ様も思わず注目しておいでです。……あら、殿下達も? まぁ! 今更咳払いしても誤魔化せませんわよ?
――そしてエリク様、後で少しお話がありますわ。
「うっ……シュエット殿の眼差しが冷たい……」
気圧されたようによろけられましたけど、手加減はいたしません。女性の胸を注視なさるなんて! 騎士を目指しておいでなのですからもっとストイックになっていただかなくては!
……私の胸でしたら、別に見てもかまいませんけど!?
そんな風に思っていたら、マリア様が泣き真似をしながら私の腕の中に倒れ込んでこられました。
あらら?
「そうだわ、シュエット様。私、ずっと嫌がらせを受けていましたの! 貴族として学園で振る舞うことに不慣れな私に殿下が配慮してくださった時からずっと!」
あら~? マリア様、今その話を持ち出しますの?
「まぁ! なんてことでしょう……! この学園でそんな卑劣な方がいるだなんて!」
「それは! レティシア様がやっていたことではありませんこと!?」
「ありえませんわ! だって犯人は金髪だったんですもの!!」
勢いこんで口を挟んできたエディリア様に、拳で口元を隠しながら可憐な表情をしたマリア様が大声で叫ばれました。
ああ、なるほど~。そういうことなのですね~?
「確かに、銀髪のレティシア様とは似ても似つかない髪色ですわね!」
そしてエディリア様は金髪です。
周りの人達の目がエディリア様の御髪に注がれました。うふふふふ。実際のところどうなのか知りませんけど、レティシア様を貶めようとしたのですから、これぐらいの跳ね返しは覚悟していただきたいものですわぁ!
そして、マリア様。拳で隠したお口がたいへん悪い笑みを浮かべていらっしゃいましてよ?
「嫌がらせをする方は他にもいらっしゃいましたのよ? それも、金髪の誰かの近くにいる方達と同じ髪の色と形の方達ばかりなのです! そこにいらっしゃるような!」
「な……!」
「ちょ……!」
エディリア様の周囲にいた五人がぎょっとなって後退りされました。
あらあら? これはもしかして、もしかしますの?
「まぁ! 嫌がらせなんてそれだけで卑劣な行為ですのに! お友達の方達にもそれを強要して行わせるだなんて! なんて恥知らずな方なのかしら!! はやく学園長に知らせて対応していただきましょう!」
「ええ! 私達の寝泊まりする部屋に悪戯を仕掛けていらっしゃった映像も撮っておりますし、厳罰にしていただこうと思います!」
まぁ! 昨日、そんな仕掛けしていらっしゃいましたの!?
私達の所はアリス様の罠蔦が発動してましたけど、マリア様の所は証拠確保を目的にされましたのね!
……流石というか、なかなかやりますわね、マリア様……
敵だった時は憎たらしいばかりでしたが、味方になった時の万全さが心地いいですわ!
「あら、エディリア様、どうなさったの? お顔が引きつっていらっしゃいましてよ?」
手に手をとっている私とマリア様の横で、ユニ様がとっても素敵な笑顔をされます。
エディリア様は真っ赤なお顔でブルッブルですわ。
「なんでも、ありませんわ!」
そして肩を怒らせながら立ち去られました。一緒にいたご令嬢が慌ててその後ろを追いかけます。
その様子を優雅に眺めてから、マリア様は肩口にかかる髪をサラァッと後ろ手に払われました。
「……ふっ……勝ったわ……」
マリア様……いえ、言いたい気持ちは分かりますけど!
「口を挟む間もありませんでしたわね……」
「出番が無かったねぇ……」
レティシア様とアリス様が困り顔で微笑んでおいでです。
私達はそそくさとその周りに集いました。
「まったく! あの女達、課題もまともにこなせてないのに、なに馬鹿ばっかりやってるんだか!!」
「あら。エディリア様達は課題で躓いておられますの?」
「盛大にね! 料理は最悪だし、錬金術は最低だし、多少マシなのは精霊術ぐらいじゃないかしら。魔法薬なんて、人のものを無理やり強奪してクリアしようとしてバレて追加課題くらってたわ!」
「よくご存じですわねぇ……?」
レティシア様がおっとりのんびり感心されます。
本当、マリア様の情報力ってどうなっているのかしら……
「うちのパーティーメンバー、情報戦において最強なの」
大きく胸を張ったマリア様の後ろで、殿下以外のパーティーメンバーが照れてもじもじされてます。成績的にも堅実なうえに情報戦に長けるだなんて、素敵なパーティーメンバーですわね!
「私達も負けてはいられませんね!」
「ええ! ユニ様! 私達も頑張らなければ!」
気炎をあげる私とユニ様にアリス様がちょっと遠い目で微笑まれました。
「お二人が情報戦に参戦すると、エディリア様の破滅が加速しそうですねー……」
任せてくださいませ! 裏側から操って破滅させてさしあげますわ!
そしてレティシア様は――待って!? レティシア様! マリア様のお胸に注目し続けるのはおやめになって!?
「ちょっと……ねぇ……レティシア様、そんなにこの胸が好きなの? 大好きなの? 愛しちゃってるの?」
「ハッ……! ごめんなさいませ、あまりにも見事なものだからつい惚れ惚れと……」
とても素直に仰るレティシア様に、マリア様はムスッとした顔をしながら頬を赤く染められました。
「くそー……真面目に称賛されると言葉に困るー……」
「諦めなよ、マリーちゃん。そのブルンブルンなブツはレティシア様の憧れなんだから」
「だから言い方ァッ!」
相変わらずマリア様とアリス様は仲良しですわね?
「ところで時計塔に向かいたいのだが、かまわないか?」
なんだかんだで足止め状態になっていた私達に、エリク様が苦笑含みに声をかけられました。
いけませんわ! あんな小者に時間をとられてしまいました!
「ええ、参りましょう! お昼なら塔の中も怖くありませんものね!」
「……私には十分に怖いです……!」
「大丈夫ですよ! さぁ! 参りましょうね!」
アリス様が腰が引けているレティシア様を押して進みます。レティシア様から「ふぇぇ」というお声が聞こえてきた気がしますけど、きっと気のせいですわ。
「それにしても、『絶叫』かぁ……何かの軋み音がそういう風に聞こえるのかな?」
「時計塔なのですから、時計の音だけ刻んでおけばよろしいのに」
「あはは。からくり時計の類もあるんだし、もしかしたらそういった時計なのかもしれないよ?」
「どうせなら綺麗な音楽を奏でていただきたいですわ。この前の道具屋で見たオルゴールみたいに」
「ああ、あれ、綺麗だったよねぇ」
ふと気づくとクルト様とユニ様が並んで歩いていらっしゃいました。
あら! なんだかまた一段と距離が近くなっているような?
「時計といえば、特別棟の玄関にあった古時計は立派なものだったな。いつ頃の作だろうか」
時計、で思い出したのでしょう、エリク様がどこか嬉しそうな声をあげられます。エリク様、実はアンティークが大好きなのですよね。
私はスススと隣に寄って歩調を合わせました。
あっ。エリク様が少し速度を落とされました! 私の歩調です! うふふ。
「素敵な時計でしたわよね。奥の意匠も凝っていらして」
「シュエット殿も覚えておいでか。あの意匠、あれは林なんだろうか、庭なんだろうか? 東屋のようなものが描かれていたから、庭のような気もするが」
「もしかしたら特別棟近辺にある景色なのかもしれませんわね」
「ああ、探してみるのもいいかもしれないな」
その時はぜひご一緒させてくださいませ!
恥ずかしくて口には出来ませんけれど。伝わって! この思い!!
「ただ、裏に文字が書かれていたのが気になる。誰かの悪戯だとすれば、芸術に対するひどい侮辱だ」
「そういえば、裏側に文字がありましたわね」
アリス様が気にしていらしたから覚えております。
「なんて書いてあったんでしたっけ……」
「『ゴ…ヨマ…ノブ…サ』ですね」
「まぁ、アリス様! よく覚えていらっしゃいますわね!?」
「あー、メモっておいたんです。ほら、爺やさんが『色々と目新しいものを発見できる』っておっしゃってたから。これもそうなのかなー、って」
「……なるほど。ただの落書きでないことを祈ろう」
アリス様からメモを預かったエリク様が難しい顔で文字を睨んでいらっしゃいます。そっと身を寄せて覗き見させていただきました。
「この文字が空白のところは、あの黒ずんで文字が読めなかった部分ですわよね?」
「……そう、だな……」
「ちょうど一文字ぐらいの大きさなのですね。どう読めばいいのか分かりませんけれど……呪文かしら……?」
「……うむ……」
あら? エリク様? なんでむず痒そうなお顔になっていらっしゃるの?
お顔がちょっと赤い気もいたしますけれど、どうしたのかしら?
「青春だねぇ……」
「お婆ちゃん、そこは黙って眺めておこう?」
後ろからアリス様とマリア様のお声が。振り返るとこちらを見ていた皆様が微苦笑を浮かべていました。
どういうことでしょう?
ところで、どうしてマリア様は度々アリス様を『お婆ちゃん』とお呼びになるのかしら?
あのお二人も、不思議な関係ですわね。