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強化合宿7


〇side:ユニ




「特別棟の探索をしませんか?」


 そうアリス様が仰ったのは、ヒュー先生に軟膏の合格をいただいき、先生から特別棟の温室について説明をうけた後のことです。


「そう言えば、午前からずっと外ばかりで、特別棟の内部は見て回っていなかったな」

「課題をみてくれる先生が外にいるからねー」


 男性二人の仰る通り、課題を与え、合格を判断してくださる先生方は、多くの生徒と共に今も特別棟の外にいます。とはいえ、その先生方は他の沢山の生徒達に捕まっていて、次の課題を得に行こうにも順番待ちが発生する有様です。


「さっきヒュー先生から新しい課題も頂きましたし、温室に行くついでに他の場所も確認がてら回るのはどうかなー、と」

「確かに、これから世話になる特別棟のことを直に見て回るのも大事だな」

「すでに初日の分の課題は終わってるしね」

「賛成ですわ! 爺やさんに聞いて行ってみたかった場所が幾つもありますの!」

「図書室にも行ってみたいですわ」

「早速、先生から頂いた見取り図を使わせていただきましょう」


 代表してレティシア様が頂いた建物の見取り図は、控えめに申し上げてもものすごく簡素なものでした。


「……温室と宿泊棟以外、何処が何処だか書かれていない……」

「もしかして、渡してくださる先生によって書かれているものが違うのでしょうか?」

「×印の場所は、確か生徒の立ち入りが禁止されている所だよね?」

「これは探検のしがいがありそうですね」


 どおりで地図を渡す時、先生が悪戯っ子のような顔をしていたはずです。


「入口はここですから……右から調べます? それとも左から?」

「目的地の『温室』があるのが左側だから、右から調べようか」


 レティシア様の問いにエリク様がお答えして、私達の方針は決まりました。

 特別棟の入口前には警護の方がいらっしゃいます。確か中には従業員の方もいらっしゃるとか。とりあえず、警護の方にお声がけしてから入らせていただきました。


「あ、なんかすごく素朴な感じ」


 アリス様がちょっと嬉しそうに仰います。

 そのお言葉の通り、中はとても素朴な造りになっていました。木造で、床も柱も階段も木で出来ています。玄関に入ってすぐ目につくのは、螺旋階段ととても大きな古時計です。特に古時計がすごく威圧感があって、目立ちます。かなり立派なものですね。


「年代物だねー」

「意匠が綺麗ですわね」

「あ、裏に文字が書いてありますね!」

「本当ですわ。『ゴ…ヨマ…ノブ…サ』? 所々黒ずんで読めませんわね」

「この時計の振り子、奥の意匠は何でしょう? 林……いえ、庭? それに、東屋かしら……?」


 思わず表も裏も見てしまいましたが、ここで時間をとられるわけにはいきません。

 さぁ、探検です!


「うーん、ここは談話室っぽいですねー」

「先生方が使うのかしら?」

「学生達が皆で使うには狭いもんね」

「隣には直接行けないようだな」

「隣は……倉庫? いや、本棚かなー?」


 先に隣室を覗き込んだクルトの声がします。書庫でしょうか?


「書庫というか……これ、全部同じ装丁ですわね……あら? ああ、どうやら強化合宿の生徒達の記録のようですわね。何年の何学年、という形で綴じているようです」

「記録庫かー」

「うーん。記録庫と談話室の向かい側は厨房っぽい? かな? 閉められてるけど、端部屋が食糧貯蔵庫っぽいし」


 クルトは次々に部屋を見ようとしていますね。好奇心旺盛ですものね!

 逆にエリク様は一つ一つ丁寧に見て言っているご様子です。殿方でもだいぶタイプが違いますわね。


「……渡り廊下の向こう側は宿泊棟だから、右側で俺達に関りがありそうなのは記録庫ぐらいか」

「ですね。建物内の厨房は先生方用かもしれません。生徒は野外ですからねー」

「悪天候時には使うかもしれませんわよ?」

「……この学園のことですから、精霊術でベースを死守しながらご飯作れ、とか言い出しそうな気がします」

「……ありそうですわね」


 アリス様のお声に私達も遠い目をしつつ頷きました。

 何かあっても精霊術で出来る限り対応しろ、そして経験を積め、新しい知識を得ろ、応用を覚えろ、全部自らの糧にせよ――というのが学園の方針ですからね。


「玄関挟んで左側を見てみようか。――って、あれ、入口すぐの部屋はこっちも談話室だ」

「来客用でしょうか? 調度品が違いますわね」

「うーん。どのみち僕らには用が無さそうな場所だねー」

「談話室の前の部屋は……あ、開いてますわね。えぇと……こっちも記録室でしょうか? あら、でも装丁が全部違いますわね」

「奥には数人で掛けられる長机と椅子がありますよー」

「勉強室かしら?」

「補習室だったりして……」

「え。嫌だわ。ここに閉じ込められたりするのかしら?」

「それ、当たらずとも遠からず、かもしれませんわよ。奥の壁の収納棚、錬金術用の制作セットがびっしり入っています。初級、中級、上級、かしら?」

「錬金部屋かー」

「こちら側の端部屋は温室ですものねぇ」


 レティシア様が地図に『錬金部屋』と書き記している間に、エリク様が書棚の本を調べます。


「ということは、この棚の書物は……ああ、やっぱり錬金関係と、魔法薬関係のものだ」

「温室で入手した課題素材をこちらで練成するのかしら?」

「うーん……どちらかといえば、錬金術や魔法薬で躓いた人用の部屋な気がします。上級生の強化合宿の時も使うから、初級だけでなく上級錬金術用のセットも置いてあるんじゃないかなー、と」

「なるほどー」


 資料も沢山揃っていますし、補習室、というイメージが強いですものね。


「隣の部屋をはいけーん」

「あ、こら! クルト! お前は先に行きすぎるな! 団体行動も大事だろうがっ」

「迷子になるような場所でもないし、細かいことは気にしないー。うわ、薬草庫だ。凄ッ! 床から天井までビッシリ色んな薬草が瓶詰めされてる!」

「え、見たい見たい」

「アリス嬢! 走るのはレディとして減点ですわよっ?」

「ハイッ」


 野外ならともかく、屋内で女性がバタバタと走るのは褒められた行為ではありません。アリス様が他の貴族令嬢に嫌味を言われないよう、しっかりサポートしなければ!

 そして踏み入れた隣部屋は、木の棚で四方を取り囲んだ、どこか可愛らしい部屋でした。


「まぁ、これは、素敵ですわね……魔法使いの御家に踏み込んでしまったみたい」

「あ、分かります! 天井から床まである、この雑多にも見えるぎっちり詰め込まれた瓶の棚! 通路の天井から垂れ下がる乾燥させた薬草類! 他の家財が、年代物の長机と重厚なランプだけっていうのもこう……浪漫ですね!」

「ろ、浪漫なの?」

「お伽話にある魔女の家っぽいじゃないですか!」

「ああ! 成程。それは少し浪漫ですわね」

「です!」


 アリス様、とても嬉しそうですね。余程薬草庫が気に入ったのか目をキラキラさせながら品を見回っています。

 その間、レティシア様から預かった地図にせっせと文字を書き込むエリク様。ついでにクルトが次の部屋に走り出さないよう、外套の端を握っておられました。あらあら。

 しかし思わぬ伏兵が!


「皆様! こちらはまるで研究室のようですわよ!」

「レティシア様!?」


 レティシア様も好奇心旺盛ですからねー。

 そして私達もそそくさとそちらに向かいます。場所は談話室の隣の部屋です。


「何の研究ー?」

「薬草みたいですわ!」


 先に隣の部屋に行かれたレティシア様の所に集まると、確かに研究室らしい器材が置かれた部屋でした。広いですわ! 机もいっぱいです! 魔導コンロと鍋が机のあちこちに置かれていて、壁際の棚にはこれまたどこかで見たとの同じ錬金術用の器具が沢山あります。

 それにしても、薬草の臭いがすごいですわね……


「あー……つまり、こっちが課題で躓いていない人が課題に出された薬を作る場所、か?」


 先の補習室(仮)との違いを比べて、エリク様がぼやくように呟きます。あ。錬金部屋の上に但し書きをしていますね。


「沢山の人が一度に行えるよう、机と椅子がいっぱいですから、きっとそうですわね」

「……間違えて向こうの部屋で練成してたら、たぶん裏でヒソヒソ悪口言われたりするんだろうねー」

「いやだ怖い……エディリア様に嘘を教えてさしあげたくなりますわね」

「……ユニ……」


 あら、何かしら? クルト。ただのちょっとした思いつきですわ。実際にやろうとは思っていませんとも。実行すれば実行すればで、後々面倒なことにしかならない悪戯ですからね。自分から募穴を掘りに行くのは馬鹿のすることです。


「温室が近いですから、温室で作っている薬草の研究もしているのかもしれませんわね」


 シュエット様が一番入口に近い机に置かれた器材を見ながら仰います。

 この器材、私達が今まで使っていた簡単な器材とは違いますわね。より複雑なものを作る為のもののようです。蒸留の為の器材もありますわね。


「この部屋も、乾燥された薬草が天井にびっしりあるねー」

「これ、誰が管理してるのでしょう?」

「従業員の方がいるらしいですし、そちらの方々が管理されているのではないかしら? もしかしたら、先生方が授業の合間に研究なさっているのかもしれませんわね」


 皆で色々想像を働かせながらあちこちを見て回ります。ふふふ。なんだか楽しいですわ!


「残りは端部屋の温室ですね。入口はここ……うわ、綺麗」


 一番左端の部屋の扉を開け、アリス様が声を弾ませます。室内に慣れた目に眩しい……!


「これは凄いな」

「綺麗ですわねぇ」


 端部屋にあった温室は、全面硝子張りでした。地面はもちろん、階段状になったプランターにも薬草が植えられ、燦燦(さんさん)と降り注ぐ日の光をたっぷり浴びています。心なしか森の中の薬草より元気そうです。


「花をつけている薬草も多いですわね」

「あ、『精霊の宿』が設置されてる」

「まぁ。本当ですわ」


 アリス様が見つけた『精霊の宿』は、綺麗な硝子張りのランタンのような物でした。中に精霊を呼び寄せる魔石が入っているので、魔石の魔力を好んだ精霊が遊びに来てくれるのです。精霊が来てくれると周囲の自然が活性化する為、温室や植物園等によく設置されています。

 『精霊の宿』の形は製作者によって様々で、ここに在るランタン型のようなものから、意匠を凝らした木で作られた小鳥の巣箱のような形のもの、石で作られた彫刻のようなものもあれば、噴水の形をしたものまであります。確か王城の噴水もそうだったと記憶していますわ。


「この温室の『精霊の宿』はガラス張りの温室に合わせているのでしょうか?」

「そうかもしれませんわね。繊細な意匠が素敵ですわ」


 思わずうっとり見上げてしまいます。この温室の制作者、センスがとても良いですわ!


「先生の課題で作る幻覚覚醒薬の材料は……えぇと、白い花で、黄緑色の葉……白い花白い花……」


 あ! アリス様が早速課題に取り組まれています。私もお手伝いをしなければ!


「こちらではありません?」


 シュエット様が見つけたようです。白い花で、黄緑色の葉。薬草とは思えないぐらい可愛らしいお花です。


「これですね。幻覚覚醒薬を一つ作るのに花が一つ必要ですから、六人分で六つです」

「……引っこ抜くのでしょうか?」

「えぇと……アリュシナシオン・エルブ……薬効は花。ただし薬にするためには手早く処理をしないといけない。いきなり罠がある!」

「花を摘むのは準備が整ってからでないといけませんわね……」


 アリス様が見ているのは、ご自身で作られたレシピ本だそうです。料理から魔法薬、薬草まで様々書かれているのだとか。私も作っていますが、料理の分野はありません。い、いえ、これからですとも!


「他に必要なのは……回復薬(ポーション)を作るのと同じ材料でいけそうですね」

回復薬(ポーション)用の材料は多めに採取しているから、足りるな」

「あとは作る場所ですねー」


 アリス様のお声に、レティシア様は少しだけ考えた後、「少しお待ちくださいませ」と言って精霊を呼び出されました。


「先生、今、質問をしてもよろしいでしょうか?」


 あ、精霊術を通してヒュー先生に話をされるのですね!


「……ありがとうございます。先生。課題に取り組みたいのですが、温室の隣にある研究室は使ってもよろしいでしょうか? ……はい。……………ありがとうございます!」


 レティシア様の顔がパッと輝きます。了解を得たようです。


「お隣の研究室を使わせていただけることになりました。一応、使う前の状態と使った後の状態を記録しておかないといけないみたいです」

「記録、ですの?」

「ええ。研究室の壁際に水晶があるから、と……ああ、ありますね。あれに魔力を通して記録するらしいですわ」

「では、早速課題にとりかかりましょう!」


 私達は手分けして課題を行うことにいたしました。

 まず、水晶に最初の光景を記録し、窓を開けて空気の通りを良くします。

 使う器材と完成品を入れる試験管型魔術容器を丁寧に洗い、乾燥させます。

 皆で髪を一纏めにし、服の袖を折って手袋を嵌め、口元を布で覆って準備完了です。

 まずは回復薬(ポーション)作りと同じように薬草をゴリゴリと潰していきます。今は研究室に他に誰もいませんから、器材も使い放題です。

 綺麗に潰した後、アリュシナシオン・エルブの花を摘んできて、同じくゴリゴリ……ゴリゴリゴリ……

 ……あら……何か、頭がフワフワするような……?


「か、風! 風!」


 アリス様が慌てて風の精霊さんに空気の入れ替えをお願いしています。……あ、スーッと頭が冴えてきました。


「今のは……」

「薬の作成時に幻覚とかの影響が出ちゃうみたいです! ……こんなのあっちじゃなかったのになぁ……」

「ああ! 窓を開けるだけじゃダメなのですね。風の精霊にお願いして換気してないと、幻覚状態になってしまう、と……」

「気を抜くな、っていうことなのでしょうか? 学園、ちょくちょく罠を仕掛けてますわね」

「実は学園も想定してなかった罠だったりしてねー?」

「先生方からすれば、幻覚をもたらす花を扱うのに換気しないなんてありえないだろう、ということか……? 先生が指定する薬草類が危険なものだと思わずに、何も考えずに使用する者も少なくない気がするが」


 薬を作る時、材料に毒草の類が混じるのはよくあることですから、これは私達がうっかりしていただけですわね。


「異変に気付いてすぐに動けば問題はありませんから、これからは気をつけましょう」


 レティシア様が笑って仰り、私達は精霊に頼んで換気を十分に行いながら薬を作りました。やれやれ。

 完成品は綺麗な黄色の液体です。回復薬(ポーション)だと青色で、きちんとした薬になっていない失敗作は濁った得体の知れないモノになりますから、薬はきちんと出来ていることでしょう。

 薬学関連では、きっと私達が一番手ですわね!


「一回に使用する量は普通の回復薬(ポーション)の三分の一、だそうですから……各自三つの幻覚覚醒薬が出来たことになりますわね」

「これらの完成品って、今後の課題の時に使用する可能性が高い、って先生言ってたよねー」

「そうですわね。森等の探索時に必要になるだろう、と仰ってましたから……回復薬ポーションも量を作っておくといい、と仰ってましたわね」

「余分に沢山作って学園側に納品すれば、その分加点があるそうですが……」


 シュエット様の声に、皆様、午前中に作った回復薬(ポーション)に目を向けます。小瓶に入ったそれは、綺麗な青色です。


「魔物と戦う時ほどには回復薬(ポーション)も使わないだろうが……有るにこしたことはないな」

「この研究室がこんなに空いているのは今だけでしょうから、今のうちに沢山作っておくのも手ですわね……出来れば色んな種類のものも作れれば良いのですが」

「先生に課題を見せる時にお尋ねいたしましょう。……新しい種類については、きっと一つしかお教えくださらないでしょうけれど」


 レティシア様の声に、クルト様が頷かれました。


「そうだねー。回復薬(ポーション)の材料は足りそうかな?」

「目についたものは採取していたから、まだ余裕があるが……まぁ、大量生産出来るような量では無いな」

「薪を拾いながらついでに採った程度だしねー。あまり採りすぎて他の生徒が採れなくなっても困るし」

回復薬(ポーション)であれば野外でも製作出来るしな」


 回復薬(ポーション)作成は器具と森の薬草、水魔法で作った魔法水があれば野外でも作ることが可能です。温室の隣室であるこちらで作るのは、温室の特殊な野草や毒花を使用する薬を中心に作った方が効率が良いでしょうね。


「時間的に、次の課題を――出来れば温室の薬草に関連する課題をもらって、それと幻覚覚醒薬を多めに作って終わりましょうか。先生にスムーズに課題を提出出来れば良いのですけれど……」

「今現在、一番先生方の手がかかっているのは魔法学のほうですから、薬草学のヒュー先生はまだ捕まえやすいかもしれませんわ。明日以降になれば分かりませんが……」

「今日の課題を終わらせれば、一通りの精霊術の初期課題は終えるからな」


 先生方が最初にチェックするのは、生徒達が『学園の外』でもきちんと精霊術が使えるかどうか、です。

 学園は先生方が『精霊が招かれやすい環境』を整えてくださっていますので、学園の外に比べて精霊術が使いやすいのです。ですが、外では自分だけの力で精霊術を使わなくてはいけません。そのため、慣れない場所での行使もあって、いつものように上手く出来ない方というのも出てきます。今、初期課題で躓いているのはそういった方々ですわね。

 先の課題に挑む為には、最低でも初期課題をクリア出来る実力がなくてはなりません。いくら学園の管理下でも、森の中は危険ですからね。クリア出来ない者を森の奥に行かせられない、というところでしょう。

 精霊術での攻撃威力の測定、得意精霊術による索敵、離れた場所にいる人との連絡手段をきちんととれるかどうか、等々。合格の基準値に達したら、初期課題クリアです。

 初期課題が終わったら、色んな先生方からそれぞれの課題をいただいて、それをこなしていきます。

 先生毎に『合宿期間中に提示する課題』の数と種類が決まっているので、一人の先生にだけ課題を貰い続けるということは出来ません。

 今、私達は薬草学のヒュー先生の課題を三つこなしていますので、いずれはヒュー先生から「私から渡せる課題はもう無いよ」と言われることでしょう。

 そういえば、魔法学の課題だけはかなりの量があると聞きますが……やはり、精霊術が学園のメインだからでしょうね。


「そう言えば、特別棟の怪談に、温室に関わるものもあったね」

「ひッ!?」


 課題提出の為に皆で移動中、クルトが零した一言にレティシア様が凍りつきました。

 ……クルト……


「い、いや、明るいうちに見ておくのもいいかな、って思ったんだよ! 暗いと怖いでしょ!?」

「そ、そそそっそうですわねくらくなってからいくなんてしたくありませんものね」

「レティシア様……」


 明らかに怯えておいでの声です。そんなに怪談が怖いのですか……

 私は逆にワクワクしていたので、なにやら申し訳ない気持ちになります。

 ……夜に探検したい、と言うのはやめておいたほうがいいかしら……


「さ、さぁ! ヒュー先生を探しましょう!」


 レティシア様。手と足が一緒の動きをしていますわ。

 特別棟から出てヒュー先生を探すと、何故か警備の人と一緒にいらっしゃいました。

 何かあったのかしら?

 ちなみに課題は合格でした。この調子で次も頑張りましょう!






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― 新着の感想 ―
[一言] 怪談かぁ~ 以前住んでた家では頻繁に起こってたので話題提供できますが… あの足を掴まれた感覚は忘れられないですわ……
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