巨人との対話
突然の瞑想から覚めた師は天空を見上げて、巨人にこう言われた。
「地を這うものよ、こころせよ、君の視点は限りなく高いが同時に限りなく限られている、いや、限られている」
巨人はちらりと大海を見遥かし、少し肩をすくめて言った。
「何に心せば良いのでしょうか」
「それは・・・いと高きものだよ、巨人」
「いと高きものですか。失礼ながら、私はすでにそれを見ている」
師は金繰り捨てて立ち上がった。何を見たって。
「ですから、いと高きものを。彼は立ち上がって私を迎えました。私が教えを乞いたい旨を言うと、いと高きものは、ええ、消えてしまいました」
「消えた」
「消えてしまった。もっと高いところにでも行ったんじゃないかな」
神の御業だ、と師は感嘆した。それから項垂れた。