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超超弩級戦艦紀伊 ~暁の出撃~  作者: 生まれも育ちも痛い橋
ハワイ海戦
5/34

巨艦の衝突

艦隊戦とか初めて書くんでこんなんでええんかな?とか不安に思ってる小市民だす

「大和」艦橋は緊張に包まれていた。

 未だ飛んでいる観測機に合図があったら吊光弾を敵艦隊上に落とすように連絡した後、左砲戦を命じ、刻々と距離が近付いていた。


「距離一七〇、一六〇…」


 海は不気味にその漆黒の水面を見せながら静まりかえっている。


「一五〇」

「面舵、針路二八〇」


「おもーかーじ、ヨーソロー」

 少しの時間をおいて、艦が左に傾く。


「舵戻せ」


 航海長が復唱し、舵を回す。しばらくして、徐々に艦の傾きが無くなり、再び艦は水平になった。

 見張りによると、敵艦隊も舵を切り終えており、同行戦の形になったようだ。


「目標、敵一番艦。距離一三〇にて観測機に合図を送る」

「距離、一四〇…」



 ここから、同じ方向に進んでいるために中々距離は縮まらなくなる。

 もどかしい、落ち着かない緊張した雰囲気が一層張りつめる。

 誰もがその瞬間を待っていた。


「距離、一三〇!」


「観測機に合図しろ!」

 無電で観測機に対して合図が送られる。

 次の瞬間、敵艦隊がいると思われる所の頭上に突如として打ち上げ花火の様な物が出現し、敵艦隊の周りを昼間の様に明るく照らし出した。

 米戦艦の特徴である籠型艦橋やその主砲、艦影が三隻浮かび上がる。


「主砲、撃ち方始め、()ーっ!」

 砲術長が復唱する。

 一瞬遅れて、斜め左前方が眩いばかりの光で覆われた、と感じる間も無く凄まじい轟音と震動が艦全体を揺さぶった。



「敵艦発砲!」

「クソッタレ!!」

 リーは油断していたわけではなかった。

 夜戦は、大抵はお互い見えないために10㎞以内で行うものである。しかし、敵は予め飛ばしていたのであろう観測機を用いて13㎞の距離で自艦隊を照らし出した。機先を制された形となった。

 鋭い風切り音が徐々に近くなってくる。

「うぉっ!!」

 敵弾が至近で炸裂したのであろう衝撃が艦を襲う。

 下から突き上げるような衝撃が、足から下腹部へと響く。しばし艦はその衝撃に翻弄された。

 しかし、幸いにもそれ以上に大きな衝撃はなかった。少なくとも直撃弾は無いようだ。


「損害は!?」

「今のところ損害軽微!」

「よし、主砲 敵一番艦を狙え」


 右舷を向いていた主砲が微調整を始める。敵機の照明弾のお陰で、こちらも敵艦までの視界は確保出来ていた。


「照準終わりました」

「よし、主砲撃オープンファイアリングて!」

「Fire!」


 艦長の号令で「メリーランド」の主砲から交互撃ちの四発の16インチ弾が発射される。「大和」のそれと比べると弱くはあるが、それでも圧倒的な眩い光と爆発音が辺りを包んだ。


「だんちゃーく」

 角田はその瞬間、敵艦から火の手が上がるという光景を期待したが、水柱から現れた敵艦は依然健在の様であった。


「初弾命中とはいかなかったか」

「大丈夫です。大和乗組員はこの日のために約一年間に及ぶ猛訓練をしてきたのです。次は当たります」

 松田は自信満々に答えた。実際、内地で行った訓練の時の砲撃の結果はかなり良好であった。

「確かにこちらは問題ないかもしれない。だが『武蔵』はどうだ?」


「それは何とも…」


 松田は言葉を濁らせた。

 無理もない。「大和」は竣工から今日まで約一年あった。その間に十分な訓練を行う事ができ、主砲や操艦時のクセなどを完璧に把握することができた。しかし、「武蔵」は9月に竣工してから出撃まで二ヶ月しかなかった。そのために、艦の不具合等は克服できたが訓練は不十分であり、不安が残っている。


 今相手をしているのは、建造から約二十年経つ旧式艦である。しかし、それだけ艦は使い込まれているということであり、同じ条件では先に命中させるのは難しいだろう。しかも隻数、主砲の数でも負けているため余談は許さない状況であった。


「主砲入力完了しました」

 砲術長の言葉に二人は我に帰った。

「敵艦発砲!」

「構うな、第二射。()ーっ!」

 号令から少し遅れて先ほどの様な眩い光と共に轟音と震動が艦を包んだ。

「まずは目の前の敵艦を叩かねば」

 角田は、不安を払拭するように言った。


 弾着は敵艦の方が早かった。

「くっ!」

 艦を主砲の発射とは違う衝撃が襲う。

 金属の鈍い音が響く。

 後方で耳を劈く爆発音が聞こえた。

「命中しただと!?そんな馬鹿な!!」

 松田が狼狽えたのも無理はない。戦艦同士の砲撃戦において、初弾命中というのは理想的な運びであり、場合によってはこれが戦いの大勢を左右する。

「先手を打ったと思ったが、逆に不利になってしまったな」

 角田も表には出さなかったが、言葉の端々に悔しさが滲み出ていた。

「被害は?」

「確認中です」

 松田が応えた時だった。


「敵艦、炎上しています!」

 見張りが興奮したように伝えてきた。

「命中したか!」

 松田が双眼鏡を覗くと、闇夜の中赤い炎に映し出された敵艦の姿が飛び込んできた。

「あれは恐らくコロラド級戦艦だな。それにしても、我が艦の被害はまだわからないのか」

「それが、どうも後部甲板が敵弾を弾いた後少し離れた所で爆発したようで、目立った被害は無いとの事です」

「そうか」

 

 角田は簡単に応えた。状況は互いに命中弾を出したが少しだけこちらが有利の様だった。

 しかし、それは「大和」に限った話であり、一番艦からの攻撃しか来ないということは二番、三番艦はまだ練度に不安が残る「武蔵」に攻撃を集中させているという事だろう。全体的にはこちら側の方が不利であった。

「早急に斉射に移り、一番艦を葬り『武蔵』を掩護せよ!」

 角田が命令を下す。今か今かと逸る気持ちが艦橋全体を包む。

「敵艦発砲!」

「装填まだか!」

 ほぼ同時に撃ってから先に向こうが撃ってきたので、装填速度は向こうの方が上であるようだった。

「装填完了!」

 砲術長が威勢のいい声で応える。

「第一斉射、てーっ!」

 松田が号令すると、少し遅れて先ほどまでと同じ様に艦を閃光と爆音と衝撃が襲う。

 しかし先ほどまでと違う点は、その規模が何倍も大きいということだ。

「大和」の主砲九門から一斉に放たれたその徹甲弾達は、いざ目の前の敵艦をスクラップへと変えるべく闇を疾駆する。



 旗艦「メリーランド」では艦首近くに被弾した敵弾により火災が発生していた。

「最低限の人員以外は次の被弾に備えさせろ!」

 艦長が怒号を撒きながら指示を出す。

 命中弾を出せたのは良かったがあまり大きな被害は出せなかった様だった。

 それに比べて、こちらは被弾した後火災が発生してしまった。

 今のところは大きな被害には至りそうに無かったが、積み重なると無視出来ない打撃を被ることのなる。

「主砲、装填完了!」

「よし、全砲門、fire!!」

 八門の砲門から16インチ弾が発射される。

 爆音と閃光と衝撃の主砲発射の余韻が覚めた頃、敵も撃ち返してきた。


「どうやら装填速度はこちらの方が早いらしい」

 リーは希望を見出していた。最初は三隻いるとはいえ、建造から20年近くの旧式戦艦でどこまでやれるかという不安が少しあった。

 しかし、今はこの「メリーランド」だけでもほぼ対等に渡り合えている。その時間が長ければ長いだけ後に続く「ウェストバージニア」と「テネシー」は有利に戦いを進めるであろう。

「弾着!敵艦中央部と後部に命中!」

 16インチ弾は敵艦を完全に捉えていた。まだ火災など深刻な被害は出せていないが、それも時間の問題である。

「この戦い、勝てる。勝てるぞ!」

 リーは勝利を確信した。


 迫りつつある敵弾に被弾するまでは


 突如として、艦前部に閃光が走った。

 同時に、これまでとは比べ物にならない程の爆音が、衝撃が、震動が艦を包んだ。

 窓ガラスが飛び散り、辺りに飛散する。

 そこから爆風が飛び込んでくる。

 身体が下から持ち上がり、投げ出される様な感覚がその身を襲う。

 咄嗟に近くにあった物に捕まっていなければ大怪我をしていたであろう。

「ぐ・・・ひ、被弾したか。被害を!」


「1番、2番砲塔大破!使用不能!」


「前部で消火活動をしていた部隊と交信出来ません!」


「航海長重傷!メディック、メディーック!」


「兵員室で火災!抑えきれません!」

 次々と入ってくる情報は「メリーランド」が危機的状況になりつつあることを示すものばかりであった。


「砲術長、3、4番砲塔は使えるか!」

「はっ、射撃に問題ありません」

 現在「メリーランド」はその攻撃力の半分しか使える状況になかった。

 一番砲塔は一発の46cm砲弾を正面からまともに食らい、砲塔はひしゃげて二本あった砲身は甲板に投げ出され、鈍く重厚な金属音を上げて海面にダイブする。

 二番砲塔は基部に一発命中し、その砲塔内での誘爆も相まって砲塔自体を10mは持ち上げ、自重で少し歪みながらも艦上に留まっていた。だが射撃が可能で無いことは一目瞭然である。

 このような半身不随の身であるが、しかし、それでも戦い続けるしかない。逃げるにしても米戦艦は代々速力が遅く、逃げられないだろう。

 いや、そもそも逃げる気は無かった。

「少しでも粘り、敵艦を釘付けにして僚艦を支援しろ!」

 後ろの四門の主砲から16インチ弾が放たれる。主砲発射の衝撃は明らかに少なくなっている。

 だが、今はこの四発の弾に賭けるしかなかった。


「敵艦から爆発を確認、炎上しています!」

 その報告に艦橋は沸き立った。この砲撃戦において両軍の中で初めて有効的な打撃を敵に与えられたのだ。

「浮かれるな!、被害の詳細を知らせろ!」

「はっ、敵一番、二番主砲塔を大破させた模様です!」

 この報告に艦橋はまた歓喜に包まれた。

「主砲装填急げ!」

 次の斉射まで待っている時だった。


「艦橋に報告、『武蔵』が燃えています!」

「何だと!?」

「武蔵」が炎上している。まだ大規模な火災には至ってないが、早いうちに援護にまわらなければ大損害を受けてしまう。

 まだ艦に不慣れであろうから、対応を間違い撃沈してしまう可能性も捨てきれない。

 何よりも、未だ敵二番艦、三番艦には有効的な打撃を与えられていなかった。


「第六戦隊は『武蔵』を援護できるか?」

「第六戦隊、敵の駆逐艦群と交戦中!」

 巡洋艦部隊も露払いに精一杯で、支援は望めそうにない。

「何としても次で敵一番艦にとどめを刺し、「武蔵」を援護するのだ!」

 角田は焦りにも似た声で指示を出す。

 すぐに装填完了の知らせが来る。

「終わらせるぞ。 第二斉射、てーっ!」

 松田が号令を下す。少し遅れて九門の主砲から徹甲弾が発射される。




 その怒号は、閃光は、震動は、敵艦を破滅の淵へと追いやる交響楽であった。

 敵艦もほとんど時を同じくして主砲から相手を撃滅せんとする砲弾を放つ。

 普通の艦ならばそれ一発で艦としての「死」へと追いやる代物だ。

 しかし、「大和」という堅牢な城はビクともしなかった。

 一発が左舷後部にあるカタパルトを吹き飛ばす。

 一発が第一砲塔の天蓋に命中するが、甲高い金属音と共に弾かれる。


「メリーランド」が出来た反撃はそこまでだった。

「大和」から放たれた九発の徹甲弾の内、一発が艦の後部舷側を貫き中で炸裂する。

 一発が4番砲塔を貫き炸裂、誘爆を起こして砲塔を艦橋より高く吹き飛ばした。

 一発が舷側を貫いた際に大きな穴を穿ち、それは水面下へと広がり海水を飲み込み始める。

 悲鳴を上げる水兵達が為す術も無く飲み込まれていく。何とか浸水を止めようと頑張るが、焼け石に水であった。ただでさえ二回目の被弾による前部での大火災の消火に人員を割いていたのに加え、46cm砲弾は艦の右舷後部で炸裂した。

 そのため、周囲にいた水兵は粉々に吹き飛ばされ、修理に向かえる人員が居ないまま海水がドッと押し寄せた。

 機関にも被害が出て、攻撃の手段は奪われ、火災と浸水で満身創痍の軍艦の姿がそこにあった。

 最早為す術が無くなっていた。

 艦長は総員退艦を命じた。

 最早この艦は戦えない。

 最早この艦は救えない。

 何よりも部下の命には換えられない。

 そう判断してのことだった。



「敵艦沈黙!落伍します!」

 艦内放送からの敵艦沈黙の報に艦中が俄に沸き立つ。無理もない、日本海軍が日露戦争以来戦艦同士の砲撃戦において初めての戦果である。


「浮かれるでない!早急に敵二番艦に照準を合わせよ。武蔵の援護をしろ!」


 角田の喝に艦内が引き締まる。

「目標、敵二番艦。照準を急げ!」

 松田が指示すると同時に三基の砲塔が旋回を始める。

「現在の被害状況は!?」

「はっ、後部左舷側カタパルト損失、後部飛行甲板に若干の損傷、左舷高角砲群損傷。戦闘航海に支障はありません」

「主砲照準完了致しました」

 勢いは確実にこちらにある。そう角田は確信した。

「攻撃を開始せよ!」

 角田が号令を下す。

「主砲、撃ち方始め!てーっ!」

 松田の号令から少し遅れて先ほどよりは小さくなった閃光と爆音と震動が艦を包む。


 一拍置いて、敵艦から主砲発射のそれとは異なる閃光が走った。しかし、角田は疑問を覚える。

「命中か?それにしては早すぎる」

「どうやら『武蔵』によるもののようです」

 角田の疑問に松田が応える。

「『武蔵』もよくやっている。一刻も早く命中弾をだせ!」

 角田の期待とは裏腹に、「大和」の放った砲弾は全て敵艦の前方に落ちる。

 敵艦は「大和」には構わず引き続き「武蔵」を狙っていた。

「修正終わりました」

「よし、第二射 てーっ!」

 再び主砲から砲弾を放ったその瞬間であった。



 主砲発射の余韻覚めやまぬうちに、突如として敵艦が浮き上がった様に見えたかと思えば、巨大なキノコ雲を伴う大爆発を起こした。

 特徴的な籠型艦橋は枯れ枝の様に吹き飛び、水面へ叩きつけられる。

 艦を構成していた様々な物が残骸へと変わり果てる。

 船体は真っ二つに引き裂かれ、みるみる内に艦首と艦尾が浮き上がっていく。

 垂直に近い角度まで為すと、そのままの形で渦を巻き起こしながら沈んでいってしまった。

 俄に水中から爆発が生じる。恐らく搭載していた弾薬が爆発しているのであろう。

 流出した重油に引火した炎に照らされ、さっきまで艦が浮いていた辺りにいくつかの水柱が林立する、がやがてそれも収まり大量の泡のみが水面に残った。

 たった数分間の事であった。『武蔵』の放った砲弾が、『ウェストバージニア』の艦内を熱と鉄の破片が飛び交う地獄と化させ、その苦しみから逃れようとするかのように海中へその姿を消すまで。

 あまりの衝撃的な光景に両艦隊共に攻撃することを忘れてしばしば呆然とその様を眺めていた。


「『ウェストバージニア』、轟沈……」

 リー少将も脱出した救命ボートの上で「ウェストバージニア」の最後を目撃していた。

「弾薬庫が誘爆したのでしょう。恐らく、生存者の数は絶望的かと」

「そうか……」

 静寂が辺りを包む。

 自分達はまだ運が良い方であった。自分達が乗っていた「メリーランド」は一番最初に戦闘力を失い、艦を放棄することとなった。

 しかし、炎上し、浸水により傾いてはいたがまだ洋上に健在であった。つまり、退艦命令を発してからも十分な時間の余裕があったため多くの水兵が脱出出来た。

しかし、「ウェストバージニア」の場合は巨大な爆発や沈没までの時間が僅かであったため、脱出出来た水兵はほとんどいないであろう。

「総員、『ウェストバージニア』とその乗組員達に敬礼!」

 リーの掛け声から少し遅れて、その場にいた全員が敬礼をする。

 中には親しい友人を亡くしたのか、涙ぐむ者もいた。


「敵艦沈没します」

「大和」艦橋でも、異様な静けさが漂っていた。

 皆が呆気に取られて敵艦の沈没する様を見ていた。その中でいち早く口を開いたのは松田だった。


「角田司令、残るは敵三番艦だけですが、いかがなされますか?」

 角田は少し考えた後口を開いた。

「このまま向こうが離脱するのであれば、こちらも離脱する。攻撃をしてくる様なら迎え撃つ。『武蔵』にもそう伝えろ」

 発光信号によって角田の旨を伝えた直後だった。


「敵艦発砲!更にこちらに近付いて来ます!」

「テネシー」の艦長は勇敢にも、数でも性能でも負けている相手に立ち向かう選択をした。


「大和」と「武蔵」が迎え撃つ。


 束の間の静寂を保っていた海原という譜面に、また砲撃や被弾の爆発による協奏曲が刻まれる。

「テネシー」はその巧みな操艦により被弾を抑えながら確実に距離を詰める。何とか一矢報わんと奮闘する。


 しかし、世界最大最強を誇る新型戦艦二隻相手に、艦齢20年を越える船体では分が悪すぎた。

 やがて「大和」「武蔵」は共に「テネシー」を捉え、次々と二隻の戦艦を葬った46㎝砲弾を叩き込んでいく。一基、また一基と主砲がスクラップへと変わっていく。

 しかし、ただやられていると言うわけではなかった。

「武蔵」の第三砲塔に当たった弾は砲塔を吹き飛ばす等はしなかったものの、衝撃で旋盤や揚弾機が故障し旋回と射撃を出来なくした。

 それでも二隻合わせた残りの15門の46cm砲が「テネシー」に向けられる。

 みるみる内に、烈火の炎が「テネシー」を包む込む。それは、最早手が付けられない程大きくなる。

 既に主砲は潰され、機関も破壊され、炎上するただの浮かぶ鉄屑と化した。

 既に退艦命令が出ていて、艦の至る所から生き残った水兵達が脱出する。

 彼らにとって幸運だったのは「テネシー」は喫水下の被害は皆無であり、沈没はせず洋上を漂っていたため多くの乗組員が脱出に成功した。

 角田艦隊は他の艦を集結させ、今度こそ離脱する。

 その後に救援の米国の駆逐艦が駆けつけてきた。

「テネシー」は当初はパールハーバーまで曳航していくことも考えたが、パールハーバーのドックや工廠は壊滅したこと、本国まで曳航するのも困難とみなされ、結局駆逐艦によって雷撃処分された。


 それは南雲機動部隊の最初の攻撃からちょうど一日経った、太陽が眩しい朝の、普段なら清々しく思えるような、気持ちの良い朝のことであった。

次回は短めの予定なので比較的早く投稿する・・・かも

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