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超超弩級戦艦紀伊 ~暁の出撃~  作者: 生まれも育ちも痛い橋
ソロモンの夢
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比叡と霧島

な~んで投稿してなかったほんの半年でこんな滅茶苦茶なことになってるんですかねぇ

1944年 6月25日

 戦艦『比叡』『霧島』は再びトラック島を抜錨し、眩いばかりの南洋の海を南下していた。

 5月に行われたヘンダーソン島飛行場への砲撃は成功した。だが日本軍が把握していなかった第二飛行場が完成間近であり、その後のガダルカナル島から撤退するための輸送船団が空襲で大損害を受けた。

 この日、近藤信竹中将率いる挺身隊は再び今度は完全に飛行場を破壊するべくソロモン諸島へ向けて出撃した。だが


「左舷に雷跡!至近!」


 トラック島を出撃してから数時間というところで見張りが叫んだ数秒後、『比叡』と『霧島』の左舷に水柱が立つ。『比叡』には2本、『霧島』には1本だ。

 護衛の駆逐艦が一部は爆雷をばら撒きに行き、一部は被雷した2隻に寄り添って排水の手助けをする。

 素早い反撃と付近を哨戒していた新型機東海の協力で、雷撃してきた米潜水艦はあっという間に撃沈された。

 だが戦力の中核となる戦艦二隻が大きく損傷し、近藤中将は直ちに作戦中止を宣言、帰投を命じた。

 『霧島』の被害はそれほど大きくない。浸水が激しかったもののトラック島の目と鼻の先だったので、泊地で応急修理をしてから本土へ回航した後の修理期間は僅かで済んだ。

 問題は『比叡』である。

 『比叡』は艦首に2発連続して被雷した。そのせいで帰投中に艦首が10mに渡って分離、脱落した。すぐさま艦長の西田正雄大佐は後進を指示し、何とか環礁内まで沈まずに退避するも先頭が擱座してしまう。

 『比叡』は工作艦の協力を得て必死の応急修理で浸水をせき止めている水密区画を補強、艦首跡を鉄板で覆い、排水に成功して船としての最低限の機能は取り戻した。

 応急修理が済んでから1週間後に『比叡』は後進で本土を往復する輸送船団と共に帰還しドック入りした。新たな艦首を付けるのもあって、修理には1年以上もの時間を掛ける。

 金剛型戦艦4隻は『金剛』が機関故障で本土にて大規模な整備を行ってるのもあり、『霧島』の修理が終わるまで同じ時期に全艦がドック入りせざるを得なくなった。

 




「栗田くん、また行ってはくれないかね?」


 トラック島の庁舎で山本五十六に呼び出された栗田健男中将は、貧乏くじを引かされたという心持であった。


「私で良ければ是非にと言いたいのですが、金剛型戦艦は全艦が入渠しており、『高雄』や『愛宕』といった重巡洋艦だけでは十分な効果が出るとは思えません。それに米軍も以前より守りを固めていて、それを突破するのにかなりの被害が出てしまいませんか?」


 栗田健男という男は、臆病とも揶揄される程慎重だった。だが、それ故にヘンダーソン島飛行場の砲撃は事前の準備と運もあって、把握されていなかった第二飛行場の破壊以外の当初想定されていた目標はすべて達成した。


「君が言うのも最もだ、この写真を見てくれ」


 山本はそう言って数枚の写真を取り出す。手に取って見ると、栗田は目を見開く。


「これは…!」


「先日、偵察機がヘンダーソン島近くで撮影したものだ。サウスダコタ級戦艦、米国の新型戦艦だよ」


 三連装三基九門の主砲に大型の塔型艦橋、それと癒着するような一本の煙突。最新こそアイオワ級に譲ったが、それでもサウスダコタ級戦艦は負けず劣らずの強力な戦艦だった。


「猶更、重巡洋艦では対応できません。水雷戦隊で突撃するにも限界があります」


「分かっている、だから君には『大和』と『武蔵』を任せようと思っている」


 えっ、と小さく声を上げ、栗田はそれから窓の外を見やる。

 その視線の先には二隻の戦艦が、『大和』と『武蔵』が待ちくたびれているような艨艟達が揃い踏みしている。長い修理を終えて今か今かと戦場を待ちわびているようだ。


「『隼鷹』と『飛鷹』も別動隊だが、昼は上空に援護機を出させる。そうして米戦艦群を釣りだして一撃を加え、その隙に重巡洋艦を飛行場に突撃させ、高速輸送部隊がガダルカナル島からの撤退部隊を乗せて撤退する。君は、敵戦艦にほんの一撃を加えて、撃沈するも撤退するも自由にしてよい。ただ、時間を稼いでくれ」






 こうして栗田健男は、再びソロモンの海へと赴くことになった。栗田艦隊は次のような編成である。


遊撃艦隊(栗田健男中将指揮)

戦艦:大和 武蔵

重巡洋艦:愛宕

軽巡洋艦:阿賀野 神通

駆逐艦:第二駆逐隊 第六駆逐隊 第十六駆逐隊 第二十七駆逐隊



挺身艦隊(三川軍一中将指揮)

重巡洋艦:鳥海 摩耶 三隈 鈴谷 衣笠

軽巡洋艦:川内

駆逐艦:第十駆逐隊 第十一駆逐隊 第十九駆逐隊



 この他に角田覚治中将率いる空母『隼鷹』『飛鷹』を中核とする航空支援艦隊、田中頼三少将率いる輸送部隊がいた。

 日本軍は出撃に際し、短期間だが入念な準備を行った。対潜部隊を多数投入し、飛行艇や東海などの航空機を集中投入した結果何隻もの潜水艦を撃沈ないし大破させた。だが、入念過ぎた準備は逆に米軍に察知されることとなる。






 第64任務部隊の司令官であるウィリス・A・リー少将は、戦艦『インディアナ』に座乗していた。


「ジャップが動くらしい」


 受け取った電文を読んだリーは、『インディアナ』の艦長に顔を向ける。


「サボ島東沖に北上しろとのことだ。またヘンダーソンにちょっかいを掛けてくるのだろう、年甲斐もなく走り回る老婦人にはお帰り願おうか」


 米軍はトラック島付近の動きから何か大きな作戦を企てており、予想されるトラック島駐留戦力から南方特にソロモン諸島で動きがあると予想し、それは的中することとなる。

 だが米軍はいくつか誤解をしていた。以前ヘンダーソン島飛行場に夜襲を掛けられたとき、最大でも金剛型戦艦であったことから高速艦艇で一撃離脱を図るために今回も巡洋艦や最大でも金剛型戦艦であろうということ。

 雷撃にこそ成功したが、肝心の報告ができないまま雷撃した潜水艦が沈んだため『比叡』『霧島』が戦闘不能であるのを知らなかったこと。

 大和型戦艦が金剛型戦艦程ではないが、高速を発揮できるということ。その大和型戦艦が最初からサウスダコタ級戦艦を目標に定めていたということだ。





7月7日

 断続的なスコールが降りしきり、水面を甲板に叩きつけられる。

 環礁に別れを告げた大戦艦二隻は、その自然がもたらすエネルギーをその身に浴びて再び嵐を巻き起こそうとしていた。

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