第二次ミッドウェー海戦
前回、前々回と数ヶ月振りのいきなりの投稿だったのにpvやユニークが結構伸びててビックリたまげました。
更新頻度が致命的だったりと色々と問題がある本作が何故これだけの方に読んで戴けているのか
唯々感謝です
1944年 5月26日 (日本時間27日)
まだ太陽が出きらない頃、空母『赤城』から索敵機が飛び立つ。機体からが誉エンジンを唸らせて飛び立つ。
十七試艦上偵察機は1942年の機動艦隊大演習の際の索敵に対する教訓から開発が始まり、昨年の第一次ミッドウェー海戦の教訓から開発が促進された新型偵察機である。『赤城』にはその最終試作型が三機配備され、実地試験も兼ねて使用される。零偵が後に続いて索敵を行うので万が一の時のバックアップもされている。
更に『赤城』にはもう1種類の試作機が搭載されてた。A7M1 十七試艦上戦闘機である。
当初は誉エンジンを積む予定であったが、近年制式採用された紫電や四式戦闘機ですらエンジンの生産が追い付かず、代わりに手に入れたハ四三・一一型エンジンを搭載した。このエンジンは開発途上の代物ではあるもののA7M1はこれで高性能を発揮し、後で手に入れた誉エンジンでの性能が悪かった為ハ四三が採用された。後にこのエンジンの生産工場の増設や他のエンジンの生産レーン僅かではあるが回される事となる。
A7M1は試験を重ねており、最近は『赤城』で発着艦試験が行われていた。その折りの緊急出撃だったため試作機二機を積んでこれまた実地試験を行うことになった。赤城は修理の際に制動索が新しく更新されてこれらの試作機を唯一マトモに扱える空母だった。
この他『赤城』『蒼龍』『飛龍』は戦闘機の三分の二は新たに零戦五二型となり、戦闘機は五二型、三二型の攻撃と直援の二種類体制をほぼ確立していた。エンジンは同じ物を使用しているため運用や整備に関しての問題は無く円滑に移行出来た。相変わらず爆撃機は彗星、攻撃機は天山である。『龍驤』は艦載数、運用能力双方に問題があるため零戦五二型と彗星のみを搭載している。
船団護衛を務める『瑞鳳』は機体の更新が間に合わず小沢艦隊内で余った従来の二二型と対潜哨戒用の九九艦爆のみを搭載している。
旗艦『紀伊』
「間もなく見える筈です」
航海長の言葉に艦橋に居る者達は思い思いに双眼鏡を覗く。すると、遠くに何条かの狼煙の様な、黒煙が立ち上っているのが見える。
「今朝報告に上がった空襲の跡ですな」
新たに艦長となったのは、鋭い目をしているものの、その温厚さが滲み出ているすっきりとした顔付きの男、猪口敏平であった。
ミッドウェーは最初の大規模空襲以来連日50機前後のB-17をもってして徹底的に基地を ー最早基地と呼べるほどの能力を有していないがー を襲撃していた。なけなしの重機もどきも全て破壊され、著しく設営能力が落ちていて数機の零戦が地下に分解して保存してある以外は航空戦力が底を付いていた。弾薬も燃料も底を尽きかけ、空襲が始まれば全ての作業を放棄して地下に籠もるしかない。
「敵艦載機からの攻撃は無かったのか」
双眼鏡から目を離した山本がGF参謀の宇垣に尋ねる。
「今日も重爆のみとのことです。敵機動部隊は何処に潜んでいるのか・・・」
最初の大規模空襲こそ機動部隊からと見られる攻撃があったものの、それ以来鳴りを潜めている。
敵空母がいるか分からない、その状況とインド洋支援、更にラバウルといった南方方面とに戦力を割かなければならない現状は明らかに日本軍に負担を強いていた。その現状を打破するための山本が勘案した戦線整理であったが、直ぐにおいそれと実行出来る事ではない。そしてこの膠着期に十分に戦略を練り直して、米軍の戦力増強を見越してギリギリと見られる6月から各地で撤退、戦線整理を行う予定であった。
しかし、見込みが甘かったと言うべきか、6月という根拠は米軍の新型空母が新たに戦力化すると見られるがこの時期だと見越したからだ。そうでなければ日本軍が所有する機動部隊の戦力に拮抗する事は難しい。
戦線整理で基地航空隊ともうじき戦力化する空母でこれから増強する米軍に対抗しようとしたが、ドイツを何らかの形で支援したい内閣、その意を汲んだ海軍省と軍令部によって半ば強行されたインド洋支援で戦力の穴が出来ている所に、山本の計画の出鼻を挫こうとする様な米軍のミッドウェー襲撃、連合艦隊は頭を抱えたのであった。
同時刻 ハワイ オアフ島 太平洋艦隊本部
元々ここはオアフ島でも由緒ある高級ホテルだった。
南はワイキキビーチに面し、東にはダイアモンドヘッド、西はパールハーバーを臨める、ハワイ屈指の高級ホテルだ。
ホテルと言う割に、その見てくれは物々しいと言うほかなかった。優美な白色の壁がこれまでと同じく真夏の陽光を反射して眩しく存在感を示すが、それ以上に屋根に付けられたら無骨で巨大なアンテナが鎮座し、エントランスの前には武装した兵士が重火器を手にして立っている様からこの建造物は今並々ならぬ、本来のホテルとは違う用途で扱われていると如実に表している。美しい筈の外観を無骨さで見事に台無しにしている所は、見方を変えれば米軍特有の徹底的な機能美を追求しているのを表しているようだ。
今このホテル、モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾートは米軍に接収されて太平洋艦隊の仮本部として使用されている。
開戦時の基地の破滅的な被害から一時西海岸に本部を置くことが検討されたが、大統領府からの要請もあってオアフ島に留め置くことが決定した。
そこでオアフ島はホノルル市街の住民の殆どが近隣の島や本土に退避していて民間人の出入りも無くなり、営業を休止していた所を接収した形だ。
オアフ島の各基地とは専用の電話線が引かれ、新たに島の各所にレーダー施設が建設され、基地としては申し分ない位にはなっていた。
駐留する陸軍兵は1万程、これは島を守る最低限の戦力として残され、万が一上陸されたら遅滞戦術を繰り返しつつ本土からの増援を待つという貧乏クジの様な部隊だ。
結局そんな事は起こらずリゾート地を満喫する部隊と化すのだが。
モアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾートの一室にいる男、白髪の頭に何処となく紳士的な、流石に海軍軍人として血色は良いが軍人というより事務職員といった雰囲気を放っている。しかしその碧眼には確かに鋭い目を宿している男、太平洋艦隊の司令官チェスター・ウィリアム・ニミッツはとある文書を読み込んでいた。報告を読み、少しだけ笑みを見せる。それはポーカーで捨てたのと入れ違いに入ってきた手札で自分の手が予想外に良くなったと素人が思わずほくそ笑んでしまったような小さな笑顔である。
今日は、5月27日は海軍記念日だ。
「ハハハハッ、ジャップめやっと来たか」
艦橋にて明らかに自分はひねくれてますという顔の、まるで西部劇にでも出てきそうな豪放な男が通信兵から手にした紙切れを読み、笑っていた。
ウィリアム・フレデリック・ハルゼーは旗艦『ニュージャージー』にいた。
ハルゼーは不敵な笑みを浮かべる。
まったくニミッツとキングの言ったとおりだ。イソロクを焦らすためにミッドウェーを一回、全力で叩いたら慌てて不完全なままの機動部隊を寄越してきた。
それにしてもこちらは大盤振る舞いもいいとこだ。空母は『エンタープライズ』『ワスプ』『インディペンデンス』となけなしのマトモに使える全空母、戦艦は完成したばかりの『アイオワ』『ニュージャージー』ときたものだ。戦艦二隻は空母の護衛やこの艦隊の目的の一つを達成するのにお誂え向きの性能をしている。本当はもっと空母が欲しかったが、まだ攻めては来まいと敵を油断させて欺くためにも仕方がない。今回の戦いに勝てば来月以降に戦力化するエセックス級やインディペンデンス級の他の艦が完成してジャップを叩きのめせる。
ハルゼーは索敵機を飛ばす様に命令する。
それから、三隻の各空母からSB2Cヘルダイバーが艦上に上げられていく。1900馬力を誇るライトR-2600-20エンジンが力強い唸りを上げ、やがて空へ飛び立つ。
さあここにきてやっとタグの一つが回収来ました。
こんなに経ってから回収する事になるとは思いもよりませんでした。
やっぱ架空戦記って書くの難しいですね。




