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超超弩級戦艦紀伊 ~暁の出撃~  作者: 生まれも育ちも痛い橋
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会談

お久し振りです

中々筆が進まなくて3ヶ月たってしまいました


「角田覚治さんに、松田千秋さん・・・!?」

牧野はその名前を驚きをもって思い出す。

「真珠湾で『大和』達を駆って敵を撃滅したあの!」

二人の事は新聞では触れられていなかったが、軍関係者には広く知られていて牧野も例外ではなかった。


「あの戦艦のお陰で、私が思っていたよりも対米戦が円滑に進んでいます!」

子供の様に目を輝かせてそう話し始めたのは松田だ。

「真珠湾を砲撃する際に発揮した46cm砲のアウトレンジ攻撃、米戦艦とやりあった時に発揮した驚異的な防御力、そして圧倒的な攻撃力。平賀さんや牧野さん達技術陣のおかげです」


「いや、あれはほとんど平賀博士や福田さんの設計によるもので私なんかは助手みたいなものでしたし・・・」

予想だにしていなかった感謝の言葉に牧野はたじろぐ。

「しかし、あの『紀伊』は牧野さんの設計なのでしょう? あれほどの素晴らしい戦艦を造ったのです、もっと胸を張って下さい」


「ですが今は航空機の時代に成りつつありますし、戦場では空母の方が活躍している様ですから私なんかが造った戦艦なんて・・・」


牧野のこの言葉は半分は謙遜であったが、もう半分は認めなければならない事実でもあった。

真珠湾の奇襲、マレー沖海戦、南方資源地帯、珊瑚海海戦、そしてこの前のミッドウェー海戦。

この一年の間に戦艦が活躍した戦いは僅かだ。



「そうだ、航空機の時代が到来したことは事実だ。これは誰もが認めなければならない」

今度は山本が口を開く。

「だからといって戦艦の役割が無くなった訳ではない。むしろ、そうした時代だからこそ新たな役割が出来た。少なくともこの先十年は戦艦は必要不可欠な存在だ。特に『大和』やそれに続く新戦艦はな」

山本の発言はおよそ航空兵装主義者から発せられた物ではなかった。

牧野は目を丸くするが、山本は構わず牧野を見つめ話を続ける。


「牧野さん。私はね、あなたの戦艦に 『紀伊』 に惚れたよ」



それは牧野が抱いていた山本へのイメージを粉砕するには十分であった。

あれほど熱烈な航空兵装主義者である山本五十六が、戦艦を「必要不可欠」と言い切った。

そればかりか『大和』を、自分が設計した『紀伊』を褒め称えている。

牧野は褒められる事の嬉しさよりも「何故?」という困惑を感じずにはいられなかった。

戦艦が、『紀伊』がこの男に一体どれだけの影響を与えたのであろうか。


「ハハハ、まあそう驚かれるのも無理は無いでしょう」

唖然としている牧野に今度は角田が話掛ける。

「長官は先の海戦以来相当『紀伊』に惚れ込んでいる様でしてな、人が変わった様に何とかこいつを最大限に有効活用出来ないかと私なんかにも聞いて回っていたりしているのですよ」


「そう、今日はそれを探る為に我々はこの旅順を訪れたのです」

山本が言い終わると同時に料理が運ばれてくる。

牧野にとってあまりお目に掛かることが無いような豪華な懐石料理が次々と運ばれてくる。

「ごゆっくり・・・」

それを最後に女将は部屋の戸を閉めて立ち去っていった。


「さあ、先ずは腹ごしらえと行きましょう。腹が減っては浮かぶものも浮かびません」


「では、お言葉に甘えて、いただきます」

まだ夕飯を食べていなかった牧野であったが壮々たる面子を前にして緊張であまり喉を通る筈もなく、味もしっかり味わえない牧野であった。





1943年 12月27日 サンフランシスコ


クリスマスも過ぎて街は数日前と比べると落ち着いているが、どちらかというとそれは暗い雰囲気を放っていた。

この一年での対日戦は芳しくない。

庶民には嘘や誇張の混じった大統領府発表でなんとか誤魔化せているが、実際に脅威に晒されている西海岸ー特に海軍の主要基地が置かれている様な街ーはそうはいかなかった。

今でこそ警戒が厳重になったお陰で潜水艦による襲撃は全くなくなったが、それまで行われていた通称破壊作戦や基地襲撃が現地住民に恐怖を植え付けたのは確かだった。

加えて、基地にボロボロになった空母等の軍艦が帰って来るのが頻繁であれば尚更だった。


その街のとある病院にある病室の一室がノックされる。

「どうぞ」

スプルーアンスが応えると、ドアが開かれる。

「よう、元気にしていたか?」

そこにはニコニコ笑っているハルゼーの姿があった。

「これはこれはハルゼー! どうしてここへ?」


「今度ダッチハーバーに艦隊が移動するんで行く前にここに寄港したついでに様子を見にな」

そう言うハルゼーの手には幾輪かに花を携えていた。

「猛牛ブルと呼ばれる貴方が花を持ってくるなんて、随分と滑稽じゃないか」


「フン、そんな戯れ言を抜かす元気は有るようだな」

ハルゼーはやれやれといった感じで花瓶の水を入れ替え、挿された花を持ってきた花に挿し替える。

「三ヶ月前と比べたら随分と善くなったさ」


「あの時の君は随分とやつれていたなぁ。骨と皮だけで不味そうだった」

花が挿し替えられた花瓶を陽の当たる窓際に置く。

「そんなに酷かったかい? 君みたいに騒がしくはなかった分マシだと思うがね」


「フンッ 怠け者の癖して口だけはよく働くな」

ハルゼーとスプルーアンスは家族ぐるみで付き合いが有るほど親しい仲であり、お互いに絶大な信頼を寄せていた。

だから自分が皮膚病で入院せねばならなかった時もハルゼーは親友であり冷静で航空戦をハルゼーの近くで見てきたスプルーアンスに指揮を任せたのだ。

この軽口の言い合いも仲のよさの裏返しだ。


「私はもう少しで復帰出来そうだが、もう艦隊勤務は無理なのかなぁ・・・」

ふと、スプルーアンスが呟く。


「おいおい何を弱気になっているんだ。お前は十分すぎる仕事をしたさ」


「私がか? ここぞという空母合戦で敗北して大事な空母を沈め、確実に味方が犠牲になる囮作戦を敢行して自分は無傷のまま何ら目的も果たせずおめおめ負けて帰ってきて挙げ句の果てにはそのせいで鬱を患ったこの私がか? 私は指揮官失格だよ」

スプルーアンスは自分の仕出かした事は軍事法廷に引きずり出されて有罪判決を受けてもおかしくな物だと思っていた。


「だがお前のお陰でジャップ共の進撃を食い止めることが出来た。特に6対3というあの不利な状況でジャップの空母を一隻沈め、一隻を沈没寸前にまで追いやった。更に『ヤマト』を大破させた事に大統領閣下はかなりお喜びになったらしい」


「それはまた何故だい? 撃沈したのならまだしも結局は沈められなかったんだぞ?」


「あの時大破して傾斜している姿を潜水艦が潜望鏡越しで写真に撮っていたんだ。俺も見たが、黒煙を噴き上げていつ沈んでもおかしくなさそうな・・・」


スプルーアンスはハッと気付く。

「プロパガンダか!」


ハルゼーはニヤリと笑う。

「そうさ、やはり鋭いなお前は。まだ何時になるかは解らないがその写真をマスコミに発表して厭戦気分を吹き飛ばそう、っていう魂胆さ。また数年前の様に反戦暴動なんてもんを起こされたら俺たちも堪ったもんじゃあないからな。大統領閣下はプロパガンダと次の選挙で自分の成果をアピール出来ると大喜びだ」


「しかし、もし国民にまだ沈んでないということがバレたら逆効果にならないかね?」


「その心配はいらないさ、ハワイからの一般人の避難が終了している今一般人が『ヤマト』を目にする機会は無い。本土に来ようものなら目にされる前に爆撃機やらであっという間に立派な漁礁になってくれる。万が一プレスを通してバレても同型艦が現れたとでも言っておけば大丈夫さ」


ハルゼーがスプルーアンスの肩をポンと叩く。

「だからお前は安心して養生してこの後に備えろ。俺やニミッツは元より大統領閣下の信頼を得たんだ、誰も何も言えないさ。まあお前が復帰する前に俺がジャップの空母を残らず海の底に沈めちまうかもしれんがな」


ハルゼーはガハハと笑う。

「なるほど確かにあんたならジャップの空母を残らずたいらげちまうかもな。だが・・・」


スプルーアンスの顔が曇る。

「あのモンスターには気を付けろ」


「・・・奴の事か」


ハルゼーはそれまでの陽気な表情を一変させる。

「信じられないかもしれないが、確かに私は見たんだ! ありったけの、20本以上の魚雷をぶち当てたんだ! それなのに奴は、奴は平然とそこにいて、気付いたら次々と僚艦が真っ赤に燃えて・・・」


段々と呼吸の荒くなるスプルーアンスの肩にハルゼーが手を置く。

「そんな事を言っていたらキリがない、しっかりするんだ、冷静なお前らしくない。過去に起こした過ちは消えないが反省すれば未来に繋げる事が、死者への弔いが出来る。いいか、今俺達が考えるのはこれだけだ

kill jap!  kill jap!  more kill jap !」


ハルゼーに諭され落ち着いたスプルーアンスの胸の内に、今度はメラメラと復讐心が燃え上がる。


「・・・そうだな、そうさ、やられたらやり返さなければ。特にあのモンスターは念入りに痛めつけなければ! ・・・しかしハルゼー、あれだけの耐久性があるモンスターをどうやって沈めるんだ。何か策でもあるのかい?」

スプルーアンスの疑問にハルゼーは顔をニヤリとさせながら答える。


「簡単さ、君は敵に逃げられない様に左右から挟撃したそうだが、それが不味かったのさ」


「どういうことだ?」


「うちの戦艦もそうだが、水雷防御や浸水への対策はしっかりされている。そしてあの巨体だから浸水に対する余裕も桁違いだろう。だが戦艦というのは重い主砲や装甲を全体に張り巡らさないといけない、特に『ヤマト』やモンスターは艦橋も大きいからトップヘビーになりがちなはずだ、あの防御力なら尚更な。そこに潜水艦隊が『ヤマト』にやったみたいに片舷に魚雷を集中させれば・・・」


「片舷に浸水が集中して転覆するということか!」

スプルーアンスの顔が明るくなる、が

「だが奴はかなり小回りが効くし、対空火力もなかなかだ。それはどうするんだ?」


不安気に尋ねるスプルーアンスにハルゼーは胸を張って答える。

「戦闘機の機銃掃射や急降下爆撃でまず奴の対空火力を封じる、その時は陽動と本命を用意して確実に対空火器を削る、それから雷撃機でじっくりと調理すればあっという間に腹を見せてくれるさ。おまけにあの巨体で喫水も深いだろうから近距離で魚雷を投下しても艦底を潜り抜けることはないし同時に命中率も上がる」


「流石だハルゼー! 私ではとても考え付かないよ」

スプルーアンスは感心して膝を叩く。


「所詮戦艦なんざ前時代の遺物さ、だが・・・」

ハルゼーが苦虫を潰した様な顔をする。


「大統領閣下は『モンタナ』の建造中止を決定した」


「えっ! どうしてだい!?」

スプルーアンスが驚いて尋ねる 


「あの海戦の前に『ヤマト』を元にした新たな戦艦を造ったという情報が入って来たんだ、怪しいものだったから余計な混乱を招かない為に大統領とその周辺のお偉方達のみしか知らされていなかったんだが、どうも16インチを確実に越える大きさの大砲を積んでいるらしいときた。そうしたら、この前の海戦で本当に『ヤマト』を越える戦艦が出てきやがった、しかも航空機も雷撃もあまり効果がないらしい。対16インチ砲に毛が生えた装甲しかない『モンタナ』は奴等のモンスターにとってはおもちゃみたいなものさ、だから起工からそれほど経ってなかった『モンタナ』は建造中止、解体になるとさ」


「それからどうするんだ? 空母でも造るのか? そうだったら君にも私にも喜ばしい事じゃあないか、どうしてそんな顔をするんだ?」

ハルゼーは一息ついてから苦い顔をしたままつづける。


「『モンタナ』を更に大きくした戦艦を造るんだとよ」


「まさか! 反対の声も出るだろうにどうやって押さえたんだ?」

スプルーアンスの疑問にハルゼーは答える。


「『モンタナ』に割かれる筈だった人員や予算をそっちに割くんだと、だからこれからの他の建造計画に支障は出ない。もうすぐで起工するとのことだ」


「設計は? やけに早いじゃないか」


「ジャップの新型戦艦の情報に不安を覚えた大統領はミッドウェーでの海戦前に『モンタナ』を更に大きくした戦艦の設計を命じていたんだ。差し詰め『スーパーモンタナ』とでも言えば良いのか、だからこんなに早く建造に漕ぎ着けたのさ」


ハルゼーは訳が分からない、とでも言いたそうに両手を上げる。

「全く、大統領閣下もいくら『モンスター』が脅威的だからといって完成する頃には再建した俺の率いる空母機動部隊に他の艦もろともとっくに沈められているだろうになぁ」


「おいおい、俺が復帰した後に沈める分も残しておいてくれよ」

スプルーアンスが冗談めかして言う。


「さあどうかな、俺の手柄が減るのも癪だからやっぱり陸上勤務にしてもらおうか」


「勘弁してくれよハルゼー」

ハハハ、と盟友はお互い顔を見合わせて笑う。


その後もハルゼーとスプルーアンスは地中海気候のお陰で冬でも心地好い陽気な中、時間が許す限り対モンスター戦術や空母戦術等を語り合った。








旅順


一頻り食事を取り終えると、山本が切り出す。


「色々と話したいことがあるが、先ず私は君達に謝らなければならないことがある」

山本は牧野ら三人を見渡す。


「平賀さんや牧野さん達の手で建造されたばかりの『大和』と『武蔵』を捨て駒同然に無謀な作戦に出し、君達を、何千もの将兵を危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない」

そう言って山本は深く頭を下げる。

牧野には何の事やら分からないが、松田と角田はもちろん合点していた。


「長官は少々酒が回り過ぎていらっしゃる様ですな」

角田は頬を弛ませながら言う。


「まったくですな」

松田も同様だ。


「我々は軍人です、死ねという命を受ければ祖国の為に何時でもこの命を捧げる覚悟はできております。確かに最初に命令を受けた時はやや憤然としましたが、あれくらいの無理をしなければ米軍には勝てません。それにその長官の命令をやり通したからこそ、その後の戦局が安定したのです。武人たるもの堂々としていて頂かなければ部下に示しが付きませぬ」

角田はそう語り煙草に火を付ける。


「スマン・・・」

山本はそう言って、牧野に向き直る。


「牧野さん、先程も述べた通り私はあなた方技術陣が心血を注いで造った『大和』と『武蔵』を、あれほど素晴らしい戦艦を危うく勿体なく潰してしまう所でした。申し訳ない」

そう言って牧野に対して山本は頭を下げる。


この時の牧野の山本に対する見方は数十分前までとは全く変わっていた。

これまでは四四艦隊の主敵の様な存在であったし、何よりも『大和』を世界三大無用の長物と宣った。

国民の英雄と目されているが、自分はあまり良くは思っていなかった。


それがどうだろうか、実際に会ってみると牧野が目にしたのは配下の者に過酷な命令を出す事に指揮官としての重い責を負っている一人の男である。


「山本長官、顔を上げて下さい」

そして自分の、技術者達の魂の結晶とも言える『紀伊』。

この気持ちはその『紀伊』に惚れたと言わしめた事への技術者冥利に尽きる嬉しさから来るものか。

はたまたある意味敵視していた者を屈伏させたとも取れる事への優越感なのだろうか。

「私は寧ろ長官に感謝しております」

少なくとも本心から出たことばだった。


「兵器というものは只造っただけでは意味がありません、使われてこそ意味があるものです。長官は理由はどうであれ重要な作戦の重要な局面に出して頂き、将校から末端の兵士の努力もあって見事活躍させて下さいました。元々『大和』はあの程度では沈まない様に出来ているのでもしハワイで沈んでいたら我々はその程度の戦艦しか造れなかったということです。しかし、『大和』達は沈まなかった」

松田は誇らしげにウンウンと頷いていて、角田は照れ隠しからなのか手元にあった酒をグイッと飲み干す。

「何より実戦データが取れたのは大きな収穫でした。『大和』の設計に確信が持て、同時に『紀伊』の設計にも自信が持てました。同時に早くに実戦を経験出来たからこそ思いがけない欠陥が早期に見つかるものです」


「あの『大和』に欠陥が!?」

牧野以外の三人は驚く。


「よろしければ教えて頂きたい」

山本の頼みを牧野は快諾する。


「まずは主砲なのですが、元来主砲というのは故障が多くハワイでは不幸にも敵弾によって『武蔵』の主砲が故障してしまいました。『大和』の主砲塔は14インチ程度ではびくともしない筈だったのでこれは少々問題です。当時既に戦いの大勢は付いていたのは幸いでしたが」


「それでは一体どの様に改良なされるのですか?」


「改良したいのは山々なのですが、既に『大和』の主砲は現時点で造れる最良の物と言っても過言ではないのです。1.5トンもある主砲弾を運ぶ水圧式の揚弾機、出来るだけ構造を簡素にするための装填機巧、それらをもってしてやっと軽量化させて駆逐艦と同程度の重量、それを載せて動作させる旋盤、どれを取っても効率と信頼性でこれ以上何とかすることは出来ません。運を天に任せるか、強いて言うのなら日々の整備をより綿密にして頂く他ありません」


「なるほど、それならば私から停泊中も航行中も主砲の動作点検をより綿密にやってもらう様に伝達しよう」

山本は手帳を取り出し、メモを取って言う。


「して、他にも問題がありますかな?」


「はい、こちらは厄介でして、ズバリ言うと水中防御にあります」

牧野の言葉に一番驚いたのは角田だ。


「『大和』及び『武蔵』は潜水艦による5本同時被雷にも耐え抜いたのだぞ! それがどうして水中防御が弱いと・・・」


「本来の設計では『大和』はその程度で撃沈の憂き目に会う筈はありません。少なくとも14度も傾いて弾薬庫注水という事態はあり得ません」

牧野は淡々と話すが角田はまさか、という様子だ。


「確かに『大和』の水雷防御はこれまでに無いものです、しかし完璧ではありません。『大和』は様々な制約の下で建造された為に少々妥協した点があります。例えば艦首辺りの装甲、これは重量節約の観点から削減されました。それから隔壁の数も同様で『長門』よりちょっと多い位で装甲の厚さのお陰で魚雷の直接的な打撃には強いですが大きさの割には浸水に対して脆弱です。それに加えて今回新たに注排水能力も満足ではないとわかりました」


三人はウーンと唸る。

「それだけあるのなら『紀伊』にも何か問題があるのでは?」

角田が牧野に尋ねる。他の二人にとってもそれはかなりの懸念事項だった


「御心配には及びません、少なくともこれまでに述べた問題はほぼありません。実戦での『紀伊』の不沈性はご覧になられたでしょう?」

牧野の言う通りだった、殊山本と松田はその身で実感している。


「成る程分かりました、『大和』の改良については任せます。では本題に入りましょう」


結構四苦八苦してたのでその跡が何となくでちゃってるかも

技術的な考証は今まで読んだ本等を参考に考えてはいますが、まだ若造故にツッコミ所が存在するかもしれません

その時はまあこの世界線ではそうなんだろうと流していただければ

いくらなんでもこれは無いやろw という方は感想等でご指摘いただければ幸いです

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