表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

Devil(2)

「え、何それステキ! 行きます行きます!」

「あっそ。じゃ希望者って事ね」


 悪官のギドーはそう言って書類に何かを書き込む。

 天地交換留学。

 待ってましたよ。それよそれ。リフレッシュ休暇もクソもない地獄なんですもの。ちょっとぐらいこういうのがあってもいいじゃない。

 もちろん即決。交換留学どんと来い。優しくしちゃうわよー。


「ところでギドーさん。なんでこんな事急にするんですか?」

「なんかあれだって。現場の人間にも直接職場を見てもらうのはどうかって」

「ああー、確かにあたしら一般獄職は天国なんて縁ないもんね」

「そうだな」

「やったー。でもこれで一時とはいえ、天国で息抜き出来るわー」

「あ、競争率すごいから頑張ってね」

「へ?」

「この希望者全員通しちまったら地獄すっからかんになっちまうよ」


 ――マジですか。













『それではこれより、天地交換留学選抜トライアスロンを行う』


 地を這うようなおどろおどろしい邪神王ゲオラの声が獄界に響き渡る。姿を見せた事は一度としてないが、その声だけでも十分に他を屈服させる存在感を示している。

 留学を望む者達があまりにも多いため選抜を行わざるを得ない事態となり、この選抜トライアスロンを行う運びとなった。

 スタートラインに集まった獄職員の群れ。皆目がギラついている。何をしてくるか分かったもんじゃない。

 内容は至極簡単かつ地獄的。決められたコースを走破したものが勝ち。焦熱から大焦熱への灼熱ゾーン。からのアブタ~マカハドマの八寒地獄という熱さと寒さを乗り超える地獄名物巡りコース。これはキツイ。でもやるしかないのだ。


『では、スタート!』
















 ――はあ……はあ……終わったー……。


 まあ、この過酷なレースについて語りたい事は山ほどあるのだけれど、とにもかくにも何とか走破する事は出来た。ずっとここにいるから体は適応してるけど、それでもなんともなくへっちゃらって訳でもない。もう寒いのか熱いのかも分からない。この感覚を表現する的確な言葉ってないもんかね?

 

 ――あーでも……こりゃダメだな。


 そう。私はまあまあ頑張った。だがまあまあなんだなーこれが。

 順位はといえば……8位。ベスト8か。人間界だったら評価高いだろうけど、地獄でこれじゃあちょっとな。

 

 ――期待せずに結果でも待ちますか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ