Devil(1)
「あついー!」
「いたいー!」
「さむいー!」
――あーもう、うるさいうるさいうるさい!
いやもうね、分かったっての。あついのね。いたいのね。さむいのね。うんうん。
だってそうなるように創ってんだから当たり前じゃん。
当たり前の事に当たり前の感想とかいらないから。こっち聞き飽きてるし。
「助けてー! こんなの耐えられないよー!」
「死ぬー!」
死んでんだよ。死んでっからここにいるんだよ。また死ぬとかそんな事ないから。
ぎゃーぎゃー喚いてさも悲劇の主人公みたいに当たり前のように助けをねだるけど、そんなのであたしの気なんて惹けないから。
あんたの助けてはこっちからしたら、蚊の羽音レベルでしかないから。なんか聞こえたな、うっとうしいなぐらいですから。
って言いながらちょっと見ちゃうんだけどね。でもどうしようもないからね。
うん、ごめん。
あーもうほんと、騒々しい所だわ。いくらずっとここにいるからってうるさいもんはうるさいんだよ。あたしだってたまにはちょっとぐらい落ち着きたいっての。
――あーあ。あたしなんでこんな所にずっといるんだろ。
そんなあたしにとってその報せは、求めていた一時のリフレッシュという淡い希望を叶えてくれるチケットだった。