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誤字・脱字等を修正いたしました。27.5.6
平穏ね、と。前に思った事を訂正したいわ………そんな事を思うのは目の前の三人がどう見ても、反りがあわないと思えるから。後悔がずしっと私の肩にのし掛かるから。
今日もいつも通り、子どもたちと暮らしていた。ただ、冬になる前に大掃除を始めましょう、と言うことでみなと手製の掃除用具をもって綺麗にしていたのよ。
ここでミミルとトッティとシェルカが掃除の戦力にならないために、外で遊んでもらうことになった。でも、三人たけで遊ばせるのなんてとてもじゃないけど心配になったから用具を磨いているエーラとマティクを外に移して見てもらっていた。寒いでしょうから焚き火を。水はぬるま湯を。すべてを用意して私は中の掃除を懸命にした。
事が起こればなにが駄目だったのか、そんな問題ではない。懸命に掃除をしている最中に私の強化した結界が壊されたなんて考えてもみなかったのよ。とりあえず中断してみんなには家の中に入ってもらう。熊男は子どもたちと一緒に閉じ込めておくにはまだ信用できないので私と一緒に来てもらう事にしたわ。
この時点で私はどれが駄目だったのか、すでに分からない。ただ、破られた結界の元まで行けば三人の男が立っているだけ。一人は汚れを鬱陶しそうに払った身なりのいい男。もう一人はなんとか身なりを保てている騎士の男。最後に、魔術師のローブを私のように根深く被った背を低い人。私たち二人を見るなり、身なりのよさそうな男の耳障りな声が響き渡った。
「見つけたぞゼフォンド!なにを遊んでいた!さっさと余を守りに帰ってこんか!」
この瞬間―――私と熊男の契約が成立し、砕け散った。つまり………熊男、ゼフォンドの記憶を取り戻したと言うこと。ここに留まらせる理由が―――なくなったと言うこと。
「ここに来た理由など、教えてくれるのかしら」
「殿下をお護りするのが俺の仕事だ。殿下が行くところに俺はついていく」
「知らない、と言うことね」
「おい、そいつは誰だ。ここの結界を張った奴か?なにか知ってるなら教えてくれないか?封印でもなんかあるんだろ?」
騎士の男が聞く。その声はどこか苛立っているわね。結界に手こずらせやがって、て言う口かしら。
「………私がやっておりました。私の隠居生活に邪魔されたくありませんでしたから、ここに結界を」
「こんな大規模な結界を張りやがって。マーデクを連れ出すのに苦労したんだぞ」
………あの背の低そうなの、マーデクって事かしら。マーデクの魔力は一般に比べると高い。けど、私に敵わないわよ。協同でしたのかしら?そうなると魔力余波では殿下ね。………強いと思う。これは………嵌められたと、思っていた方がいいのかしら。
「お声を聞いて、ようやく合致いたしました、ホルティーナ様………とても、お逢いしたかったです」
フードから頭を出せば………そこには年配の老人の頭。マーデクは人族ですものね。もう50年以上も年が回れば老人も頷けるわ。
「へー。こやつがお前の言うホルティーナ様か………だったら話が早い。余をお前の家に住まわせろ」
「………経緯が分かりませんが?」
「そこのゼフォンドが教えているだろう?知らないとは言わせぬ。もうここしかない」
「殿下、申し訳ありません。私は殿下にお逢いするまで記憶をなくしておりました」
「はあ?………それよりお前、毛深いな」
なにかしらね?もう、噛み合いそうにないのだけど。さっさと話を進めようと押し掛ける殿下と騎士。ここしかないと彼は言うけど、どう言うことかしら。住まわせろとは?誰か、説明をしてちょうだい。
とりあえず殿下の方は熊男と言い合っているから私はマーデクに声をかける。近寄ろうとしているけど、それを止めてその場で聞くことにした。押しきられそうだもの。熊男があちらに行ったからほぼ一対四とみていいわね。
「殿下が迫害を受けているのはご存じでしょうか?」
「子どもたちから聞いたわ―――貴方を通して」
「実は………殿下はハーフエルフでございます」
「………ハーフエルフが王族にいたなんて、驚きね」
「御身を隠されていたのです」
「人に見えるわ」
「耳を―――…」
「………よく今までバレなかったわね」
「殿下が国へ、民へ尽くしていたからでございます」
でも、ハーフエルフで迫害なのね。あの他種族嫌いの王族相手に本当、よく隠せたものだわ。それほど彼は国に必要と言うこと………追い出されそうになってるけど。
「やっぱり王族でも、ハーフエルフは認められないのね。黙らせられなかったの?」
「殿下の姫君が混血種を嫌っておいでで………我々はその姫君の国から追われております」
「マーデク、それ以上喋るな」
遮るのはやはり殿下。守るのは熊男と騎士。私に勝ち目はないわね。険しい表情から読み取れるものは王族の素性が少し私に知られたからか。まあ、どうでもいいのだけど………どうしてここにこれたか………
「ここをどう突き止めたの?」
「そなた、先程から言葉がなっておらんぞ」
「殿下に申し上げますに、私はマーデクと話しております。マーデクは私の言いたいことを理解していますし、言わなくてもわかっております」
「誰が余を抜きで話せと言った?」
「お話が出来ない状態でしたから、マーデクに聞いております」
「殿下………私に、少しホルティーナ様とお話しさせてください」
「………………わかった」
あら意外。駄々をこねて割り込んでくるのかと思っていたわ。それでもこちらの様子を伺うようですけど。人をジロジロと見るのは王族としてどうかと思うわよ。




