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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.15
疲れたわ。なにかしら、この疲れ。ああ、熊男に力の無駄使いしたからね。最低だわ。見たいなら横から見ていなさいよっ!むしろ自分でやればいいでしょ!!
とりあえず上の服ば出来上がったわ。それはすぐに熊男へ数枚を渡してある。一着ほど着てみて大丈夫みたいだったからまあ、いいとしましょう。着れるならいいじゃない。ただ、冬物は少しきつそうだったから大きく………羽織る物でも作りましょうか。余れば。余るとは思えないけど。
そして今、私は難関に突入する。熊男のズボン。これを作らなければならないらしい………なぜ私がっ!まあ、子どもたちも手いっぱいよね。冬しかしない作業だもの。今年はお布団も子どもたちに教えようかしら?
まあ、それは置いておいて………早く計って返さなきゃ持ってる私が変態になってしまうわ。上の服をどうしてか熊男に後ろから抱きすくめながら手元を見られてやりにくいったらない。子どもたちが出ていってくれた後でよかったわ………テテラって確か耳がよかった気がするけど。はっ!早くやるんだったわ!
「でかいわね………」
まったく。何を食べたら縦に成長するのよ。しかも筋肉までつけてっ!しかもこの布は少しだけ伸びるじゃない!!サイズ少し大きめで考えて………あら。なにこれ。ポケットになにか………うわ。
ポケットになにか入っていたから取り出してみたけど………これ、国の家紋入りと人の横顔が彫ってあるコイン。これを持ってるって事は王に忠誠を誓ってる証拠じゃない。ちょっと。アーテが言っていた王子説だけはやめてよ?
銅貨、銀貨、金貨、白金貨とはまた模様が違う金のコイン。貨幣には国王の王冠を。王との勲章コインには家紋と国王の横顔を。こっちのコインは複数の石で調合しているらしいから複製しても分かる。確かに色とか重さが違うわね………まあ、熊男が複製していても私は関係ないと言い張るわ。
で、なぜこれがここにあるか………熊男のズボンから出てきたのよ。この国の国王に忠誠を交わして誓わせているのは確か七名。王子は当然、そこに誓いを立てている。そこまでしか知らないわ。これは本格的に王都を調べた方がいいのかしら?
王子の名前を呼んでみる?すごく呼びたくないのだけど。カルヴェルン・グディルハイゲン・フォーラビア。若くして総指揮官に任命されて次期国王にふさわしい、だったかしら?年や容姿まで覚えてないわね………後でみなに聞いてみましょう。
でもこれ、ポケットに入ってたのよね?洗濯してたらしいじゃない。気づかなかったわけがない。実は思い出してる?黙ってるとしたら―――これは見過ごせないわね。
「まだか?」
「っ!?―――鍵は!?」
「空いてたぞ?」
「閉め忘れてたなんて私の馬鹿っ!!」
シーツを腰に巻いた熊男が私の部屋に入ってくるとか見られていたら嫌だわっ!絶対に嫌っ!嫌すぎる!!しかも気づかなかった………もー!!受け止めるんじゃないわよ!!
「勝手に部屋に入らないでちょうだい!カルヴェルン・グディルハイゲン・フォーラビア!」
「………うっ―――……ああ!」
ちょっと!なにっ………コインを当て付けに投げて受け止められたからうっかり名前を呼んでみたのだけど………苦し、そうね。どうしてよ。その名前は―――英雄とも呼ばれているのよ?思い出す引き金にしては苦しそうってなによっ。
頭を押さえ込むように蹲って痛みに堪えるように熊男が呻く。コインはすでに転がって私の元へ戻ってきてた。じゃあ、あの名前?―――迫害を受けたとか言っていたけど、それほど酷い物を受けていたと言うこと?待って。それだと耐えている年数がおかしい。成人はしていたはずだし、総指揮官よ?自分が隠したものがバレたのか、長年隠されながら受けていたものが爆発したのか………加害者と被害者、どっち?
「に、逃げろっ!逃げろ!!」
「っ―――儚い光よ、包むのは囚われの弱者!解き放つのは負に染まる」
「させるかあああああああっ!!」
まずいっ!?―――熊男が狙撃隊だろう、と言うことを忘れていたわ。どうしてこんな事忘れてしまえたのよっ。本当に今日は駄目ねっ!
魔法を使おうとすれば、熊男の体はそれを阻止しようと身体が覚えてる。攻撃しないわけがない。狙うのは私の………喉。さっさと殺ろうって事ね。最悪だわ。
本当は避けようと体が反射的に下がるけど、熊男の手の方が速い。すぐに距離を詰めたかと思えばもう首が触れていた。子どもたちを置いていく訳にいかないから私だって頑張る。
魔法は私の得意分野よ。どうなるか考えたくないけど、熊男が速く動けるなら私だって速く動けばいい。手のひらに風を。初心者向けなら無詠唱でどうにでもなるわ。これを手の甲に風が押し寄せるように威力を高めて放てばいいの。
「この馬鹿っ!」
熊男が私の首を握るその前に。近づいてくれたおかげで私の手はちょうどよく振りかざせる。これで正気に戻らなかったらどうしてくれようかしら。絶対に呪うわよっ。
鈍い音を鳴らして熊男の頬を叩く。私の手のひらが痛い。この毛むくじゃらは弾力がないみたいね。はったりじゃないっ。平手が利いたのか熊男は顔から横に倒れる。熊男を倒せたわ!
「ホルティーナ様っ!」
「ロロ。ちょっとこの熊男を縛りなさい。トッティ。ミミルと一緒にアーテのところへ―――二階に上がっちゃ駄目って、伝えて。………出来る?」
怖がらせてしまった………ロロの後をついてきたトッティが後から顔を出して、怯えてる。きっと、熊男が倒れているから。そして私が少し、怒りに任せて強い口調で言ってしまったから。最後は優しく声をかけたけど返事はなく走り去っていったわ。
「あの、どうしてこんな事に?なんで下、シーツでホルティーナ様の部屋に………」
「何か思い出そうとして頭を押さえ唸りだしたから、私がリカバリーの魔法を唱え鎮めようと思ったら襲ってきて伸したのよ。下は熊男のズボンを作ろうとして服の方のサイズを計るために脱いでもらったの。待ちきれずに来ただけよ」
「………………大丈夫、ですか?」
「死にそうになったわ。これで少しは思い出してくれるといいのだけど………」
「思い出したら―――追い出すん、ですか?」
「追い出したいけど………その後が厄介だと思うのよね」
王か、国か。どちらかが背後にいるにしても、ここの場所を知られるのは嫌よ。子どもたちが危険にさらされるなら、私は熊男の死を選ぶつもりよ?私の平穏のためにも………まずは聞いてみるしかないかしら。




