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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.11

 なんとか………………なんとか、熊(人でした。でも熊で定着してしまいました)を運んで寝台に寝かせる。あの森の中でこの家に運ぶのは苦労しましたね。ありがとう、バナル。ロロ。さすがに熊は私には無理よ。


 熊(人)を発見してから私たちは助けるかどうかに悩んでいた。理由は簡単。私が結界を張っているからだ。私が結界を張っているのは『私が誰にも見つけられないようにするため』でここに入れるには条件をつけている。心の底から“ 生きたい ”と願う思考を持った者しか入れない仕組み。ようは生きたいと願う孤児たちぐらいしか入れないようにしている。


 私は自分で言うのもあれだけど、魔法に関しては国一番の人より上だと思っている。だって、今の国一番で働いている魔術師は天災魔法を一つも放てないのよ?放てた方が大変だけど、それだけで魔力が違うと分かるのだもの。エルフも人族よりは魔力が高いけど、私よりは劣る。自慢だと言われても、これが私なのだから仕方がない。使ったら本当に天変地異になるので使えない意味のない魔法だけど………


 それで、私は魔法に対しては自信がある。これだけは胸を張れる。だから結界にちょっと制約を付けたってその均衡が崩れる事は今までなかったし、稀もなかったのに。この熊(人)はなぜいるのだろうか。意味がわからなかった。


 しかし、何も知らない子どもたちは面白半分含めて熊さん(人)を助けよう!!と意気込んでしまったのだ。私はまだ危険があるか分からないから待ちなさい、と言えど、無邪気な子どもには好奇心の方が強かった。年長組も、こんな滅多にないトラブルにちょっとした期待を込めて助けようとする。


 私たち以外にふれあいがなかった事は認める。私がそれを許さなかったし、誰も近づけさせなかったから。こんな熊(人)がいたら気になって仕方がないでしょう。しかも、子どもたちに納得させられたら何も言えない。変わりにちゃんと世話をするように言い聞かせてバナルを残してロロを呼んできてもらったのがさっき。男手が少ないのが致命的ね。


 熊(人)の両手を肩に担ぐように運び出して引きずりながらもなんとか家にたどり着いたのだ。この熊(人)は大きすぎる。因みに私のベッドしか空いていないのでそこに寝かせている。ベッドにぴったり………………こんな大熊(人)さすがに子どもたちが使っている部屋には入れられないし………居間だとこの大熊(人)は邪魔である。それにしても………


「熊さんって何を食べるかな!?」


「わかんないね?ホルティーナ様!熊ってなに食べんのかな?」


「イーグ、モルフィーリ。それ(・・)は熊ではなくて()よ」


「熊だよ?」


「熊じゃないの?」


 熊にしか見えないの?なんだか私もそうにしか見えなくなってくるわ。


 運び出したのはいいのだけど、どうも好奇心を掻き立てられてしまったイーグとモルフィーリが熊の人から離れない。二人は義理兄弟でいつも一緒にいる事が多い。好きなものも異姓である事を気にしなければほぼ一緒。今回も楽しそうに熊の人にへばりついている。


 さきほど、戻ったみんなは怪訝な顔で見送っていた。それはここに来る人が子どもばかりだから。大人は初めてでみなが距離を取っていると言うのに。どうしようかしら。外の人間に負けないように簡単に信用しないように少しは警戒しなさいと言ったと思うのだけど。


 私は早くこの熊(人)を消すための計画をたてていると言うのに………仕方ないわね。起きたらこの熊(人)を説得して自ら出ていって貰いましょう。


「その熊(人)を、二人に任せてもいいかしら」


「ええ?」


「えー?なにするの?」


「起きたらまず、熊(人)と色々お話しするの。外傷はないからきっと休めば元気になると思うわ。イーグとモルフィーリでお話を聞いてあげて」


「わかったー!」


「早く起きないかな!?」


 ああ。そんなにはしゃがないで。きっとこんなところにいたんだもの。厄介に、決まっているわ。だってこの熊(人)が身に付けている服、私の嫌いな王国騎士団のものだもの。



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