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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.11
今日は体作りと知識の照らし合わせ。そのために近くの森へ来た。もちろん、私の所有地として活用している。誰にも入ってこれないように勝手に結界を張っているだけですけど。家を作ってからかなりの広範囲を勝手に私の物にして誰も入れないようにした。魔物も出ないように工夫してある。誰もなにも言ってこないので存分に使わせてもらっているわ。
それで今日は薬草探しに年長組の十四歳アーテとバナル。十歳のカトレー、イーグ、モルフィーリ。八歳のエーラの6人と私で出掛けている。さすがにまだ幼いミミルを連れていけないので居残り組5人に家の事を任せてきた。私だけに頼ることのないように。教育はしっかりとしているつもり。まあ、対して事件など起こらないのだけどね。
「ホルティーナ様、傷薬のナール草発見しました!」
「えー!私まだ発見してない~っ」
「まだ来たばかりよ。探してみなさい」
「次は私がみつけるもん!」
「僕だよ!おっ先い~」
「こらカトレー!!森ではむやみに走るなと教えられなかったか!?」
「あ」
ああ。よかった。ちゃんと覚えてくれていたのね。カトレーはすぐに駆け出したくなっちゃう一番の落ちつきがない子。今だってモルフィーリが見つけたからと我先に駆け出しそうになる。悔しいのかしらね?でも森で駆け回るのは本当によくないのよ。ここは魔物を弾いて結界を張って入ってこれないとは言ったけど、私の結界だって完全ではないの。それに、お肉は必要だわ。
ちゃんと咎めてくれたしっかり物のアーテ。彼女の夢は魔法教師を目指していて今一番勉強を頑張っている子。あと一年もすればここを出ていかなくてはならないから少し焦っているのよね。でも、しっかりしている彼女はちゃんと私に相談してくれる。それに答えるのが私。知識は得意なのよ。
「ホルティーナ様………あれは何でしょう?」
「どれかしら?」
私の手を離さない少し臆病なエーラが彼方を指差す。その指の先は少し開けて花畑があるところ。珍しい蝶々でもいたのかと首を傾げれば見慣れない黒い物体がそこにあった。しかも大きい。
気になるので今日の予定は取り止め。私の前に出ない事、取り乱して駆け出さない事を約束させてその黒いものに近づく。近くにいてくれなければ結界もはれないし、攻撃魔法に当たりでもしたら大変だものね。念には念をいれておかなければ………こっそりみなに隠蔽の魔法をかけて進む。近づけば近づくほど黒いものは人間の形に近いものへと見えるようになる。でもそれはなんだか………
「熊?」
「熊かな?」
「熊だ!!」
「熊さん!」
「熊………の、ような………?」
「え、熊か?あれ」
「人に見えなくもないわね」
少しだけ毛むくじゃらの人っぽい熊を見つけました。たぶん………………人、かな、と………………思います。眼はどこかしら?