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誤字・脱字を修正いたしました。27.4.12

 家に戻って今度は解体。毛皮とお肉の部分を切り分けて毛皮の部分は明日もう一度町へ行くときに換金ね。お肉は今から干して………熊男がやり方を知らないとは、驚きね。あら。


「マティクだけ?」


「うん。厄介事」


「いったいどんな厄介を持ってきたのかしらね………」


 あんまり複雑なのは嫌よ?まさかアーテと迷子に―――それはさすがにないわよね、ごめんなさい。それで聞いてみたけど………また懐かしい名前を持ってきたわね。マーデクと言えば王国で働いているじゃない。いくつになるのかしら?もう年である事は確かね。


 さらに詳しく聞けば人探し。それも、王族の第一王子。厄介この上ない。聞く話によるともう切羽詰まった感じね。マーデクったらまた焦ってる。まだ方法はいくらでもあるじゃない。


 私はマティクに伝言を頼む。それと部屋から持ってきた魔石をそこらにある蔓で縛り上げて渡した。魔石にも色々な意味合いがあって、火の魔石は『熱意』。水の魔石は『清潔』。土の魔石は『豊穣』。風の魔石は『自由』。闇の魔石が『混沌』で光の魔石が『希望』。光と闇の魔石は滅多に見つからないけどね。


 他にも似たような意味合いがそれぞれにある。けど、私が今回薦めるのは風の精霊だから風の魔石を。それも価値が付けられないほどの『純魔石』をマティクに『転移石』と一緒に持たせてお願いした。


 私の自由を縛らないで。魔法を学んだマーデクなら、分かると思うわ。


「さて―――と。ロロ、ちょっといいかしら?」


「なん、ですかっ!こら、ミミル駄目だよ」


 ああ、ごめんなさい。ミミルにはまだ解体を見せられないわよね。私が行くから待ちなさい。顔を覗かせようと一生懸命壁からその小さな体を出そうと奮闘してるミミル。ロロに止められてちょっとだけ不服そうね。


「ミミルはこっちだって」


「みーちゃーい~!」


「こっちよ。ほら、綺麗な糸でしょう?」


 マティクが持ってきた色とりどりの糸を見せてミミルの興味をこちらに寄せる。案の定、引っ掛かってくれてミミルは丸い毛糸になっている糸をわし掴みにして喜んだ。


「ロロ。悪いのだけど部屋を移動してもらっていいかしら?バナルと相部屋かトッティたちと一緒か。嫌なら別を考えるわ」


「別にいいですよ?因みにもし断ったらどうなるんですか?」


「私の部屋を熊男に貸すわ。これから寒くなるからミミルたちと一緒に寝ようかと思ったのよ」


「それは駄目ですね。僕の部屋を使いましょう」


「嫌ならいいのよ?」


「じゃあ、ガトラさんとホルテォーナ様が一緒でも構わないじゃないですか」


 なにそのにやついた顔。さすがに怒るわよ?ちょっと腹がたったから軽く糸を投げてやったわ。そうしたらミミルまで私の真似をし始めてしまって新しい遊びを覚えてしまったミミルに冷や汗が止まらない。あ、その尖ったやつは駄目よ。それは危ないわ。


「ちょっ、ミミル加減して!地味にいたっ!」


「ほーら。ミミル、物を投げては駄目なのよ?ロロが痛がってるわ」


「めーなの?」


「痛いからだーめ。ロロが泣いてしまうわよ」


「さすがにこれだけでは泣かないけどね………」


 あ。ミミルが疑ってる。そして泣いてないロロに投げてしまうのね。ロロ、痛がってちょうだい。そうしないとミミルに投げる癖がついてしまうわ。そう、倒れていて。


「ほら、ミミルがロロに痛い事したから泣いちゃったわ。だからもうやっては駄目よ?」


「ろー!ろー!めーちゃい!ろー!」


 駄目な事を分かってくれたのか、ミミルがロロに駆け出して謝ってる。素直な子で助かるわ。ただ………とても可愛い光景だけどロロには災難ね。駆け出したミミルは倒れたロロに突進状態で近づいたんだもの………変な声が聞こえたけど………大丈夫よね?


 起き上がったロロが涙目になってる………ここは私も謝っておきましょう。私が発端よね。ごめんなさい。でも熊男と一緒で構わないと言うからよ?私は絶対にごめんですからね?今度言ったらロロの部屋に熊男を押し込むわ。わかった?ロロ。




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