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放課後

作者: もくず

 『枯れた花は元には戻らない』

放課後の図書館でなんとなく開いた本にそんな一文が書いてあった。

一度きりの命だからこそ、花は美しく、そしてどこか儚く咲くのだろう。


 部活も引退し、受験に向けてスパートをかけ始めた年末のある日の昼休み、部活の後輩で現在は僕の後を継いで部長になった女子が僕のもとを訪ねてきた。

「先輩、今日の放課後、5時ごろに部室に来てください。絶対ですよ!」

それだけ言うと彼女は駆け足で去って行った。

 特に断る理由もないし、用件も薄々気づいていたので僕は大人しく図書館で時間をつぶすことにした。


 5時。この季節になるともう外は暗くなり始めている。そのためか生徒の数もまばらだ。

部室に行くのも久しぶりだ。引退してから一度も来ることがなかった教室のドアに手をかける。

「あ、先輩!待ってましたよー」

部長を含め、部員全員がそこにいた。机は一つを残してすべて片付けられており、その上には・・・

「お誕生日おめでとうございます!」部長の言葉に続きクラッカーが鳴る。

今日は僕の誕生日だ。みんな覚えていてくれたのか。

「お誕生日おめでとうございます。みんなでお金出しあって買いました。よかったらお部屋に飾ってください」

大きな花束だった。鮮やかな花とまぶしい笑顔。

「ありがとう、大切にするよ」


 枯れた花は元には戻らない。でも、思い出はいつまでも鮮やかなまま、心に咲き続ける。


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