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遺伝子の調律  作者: さんご
1章 火の竜王の救済
15/27

報告と別れ

数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや感想をお寄せいただけると、作者にとって大きな励みとなります。

なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。

 日が傾くころ、ようやく一行は町の門をくぐった。

 泥にまみれ、服は裂け、しかし皆の手には確かな戦利品――ゴブリンの魔石と、リーダーの大きな魔石が握られていた。


 ギルドの扉を押し開けると、ざわめきが一気に静まり返る。

 「……子供が混じってるぞ」「あの傷の数……本当に討伐してきたのか?」

 冒険者たちの視線が突き刺さる。


 受付嬢が目を丸くした。

 「あなたたち……まさか、この短時間で戻ったのですか? 依頼はゴブリンの討伐だったはず……」


 ハヤトは震える手で魔石を差し出す。

 「はい……これが、討伐の証拠です」


 受付嬢が石を見て息を呑んだ。

 「まさか、リーダー級まで……? こんな子供が……」

 疑いの色を隠そうともしない。周囲の冒険者たちも同じだった。


 「嘘だろ。あのガキが倒せるわけない」

 「どうせリオたちが仕留めて、横から拾っただけだろ」


 ハヤトは悔しさに唇を噛んだ。何も言い返せない。

 その時――リオが一歩前に出た。


 「違う。リーダーを仕留めたのは、間違いなくハヤトだ」

 その言葉に場の空気が揺れる。


 「俺たちは連携で群れをさばくのが精一杯だった。リーダーには歯が立たなかった。だが、あいつは……最後の最後で光のように戦って、リーダーを打ち倒したんだ」


 沈黙が広がる。

 受付嬢は戸惑いながらも、魔石を確認し、ようやく頷いた。

 「……わかりました。依頼達成と認めます」


 だが、その一言の後に付け加えられた言葉が、ハヤトの胸を刺した。

 「リオさんたちが証言してくれなければ、とても信じられませんでしたね。彼らのサポートがあってこそでしょう」


 ――結局、自分の力は信用されなかった。


 (俺は……まだ弱い。姉ちゃんを守るなんて、大口叩ける立場じゃないんだ)

 拳を握りしめ、ハヤトは心の奥で誓った。

 (必ず強くなる。誰に疑われても、俺の力だと証明できるように――!)


 ◇


 報酬の受け取りを終え、受付を離れると、リオが振り返った。

 「なあ、ハヤト、マスリナ。お前たち、よかったら俺たちの仲間にならないか?」


 弓使いの少女も笑顔で頷く。

 「ポーションのおかげで助かったし、あの力……一緒にやれば、もっと大きな依頼もこなせるよ」


 魔導士も真剣な目で二人を見た。

 「命を救ってもらった恩は忘れない。だからこそ一緒に戦いたい」


 マスリナが一瞬ハヤトを見る。だが弟は首を振った。

 「……ごめん。俺たちは、まだ未熟だ。特に俺は、あの力を制御できてない。だから今は、誰かと組む資格がないんだ」


 リオは驚いた顔をしたが、やがて静かに頷いた。

 「……そうか。確かに、俺たちじゃ釣り合わないかもしれないな」


 弓使いが少し悔しそうに唇を尖らせた。

 「でも、また会えるよね?」

 マスリナが優しく笑う。

 「ええ。きっと」


 リオは最後に一言、真剣な声で告げた。

 「ポーションの代金、必ず返す。その時は、また肩を並べよう」


 そう言って彼らは去っていった。


 ◇


 残された姉弟はしばし沈黙し、やがてマスリナが弟の肩を軽く叩いた。

 「悔しい? でも、それは次へ進む力になる」

 「うん。……俺、もっと強くなるよ」


 夜の帳が降り始めた町で、二人の瞳は未来を見据えていた。

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